ーお母さんの花ー(枯葉)
僕はいつの間にか、沢山の兄弟の上に重なっていた。
あれ?
いつ落ちたんだろう。
立派に根を張っているお母さんを見た。
お母さん、僕落ちちゃった。
くしゃ
痛い。
痛かった。
なんだ?
上には大きな人間。
あれ?
僕の方が高かったのに。
そいつは何度も僕を踏んだ。
痛い、痛いよお母さん。
助けて。
あれ?
お母さんって、なんだっけ?
何だったけ、それ。
なんの「名前」?
くしゃ
そもそも「名前」ってなんだっけ。
「お母さん」っていったい、何を指す言葉なんだ?
くしゃ
痛い。
酷い。
どうして僕は、…あれ?
僕ってなんだ。
どうしてここにいるんだ?
くしゃ
そう、僕は葉っぱ。
なんで、思考できてるんだろう。
僕のこの意識は、一体どこから?
くしゃ
ふわっ
別の何かが、僕に触れた。
あ、これ、お母さんの、子供。
綺麗に形が残っている。
もう閉じない花弁は、少し切なさを持っていた。
春に、落ちたんだ。
これ。
一気にぼんって咲いて、綺麗だったな。
濃いピンク色がとても、印象に残っている。
あれ?
そういえば僕って、いつからここにいるんだっけ。
いつから、意識があったんだっけ。
僕は知っている。
「お母さん」の花と一緒に、そこで見えた景色を。
それを、下から見たときの景色も。
僕の意識は、誰のものなんだ?
くしゃ
視点が高くなった。
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おやすみなさい。20:28
2/19/2026, 11:28:42 AM