凍える指先
夢さえ没になる
まやかしを追って壺の底を這う
再生の瞬間が映えるのは
腐敗寸前の時間があるから
生まれなければ。
待っているようではいけない
大概、壺の外は余裕のない存在で溢れている
削れた爪に冷気が沁みる
歩かねば進まない、当たり前。
外界にはもう来ない、姿を現さないと思われていた。
己は死骸だと、最初に認定したのは自分
喉も冷えて乾く
有り合わせを巻きつけて、外に出なければいけない
過去も、塵になった思い込みも捨てて
まっさらに、さっぱりお別れをしなければ。
二度と戻らないのだから
もう瑣末な延長線上に生きている場合ではない
全く違う場所に飛び込んで、またそこで溺れるなら
手足のやり場があるだけマシだ
まだ誰も踏んでいない新雪が
いずれ眼前に広がるだろうから
剥がれ落ちた抜け殻を拾わない
この際、自虐も捨てていく。
どこへ行くのだろう
道中、行き倒れなければいいか。
12/9/2025, 2:17:24 PM