中学の頃からか、毎年、10年後の自分から手紙が届くようになった。中身は他愛のないメッセージで、青い鳥の話とか、灯台下暗しとか、なんだかよくわからない内容が続いた。これ未来の俺が書いたのか? どうせなら試験の答とか、宝くじの番号とか(知っても買えないけど)、競馬の大穴とか? これも学生は買えないか。何か役立つ情報をくれれば良いのに、未来の俺は気が利かないんだな。いやいや、そんなSFだかオカルトみたいなことが起こるわけがない。誰かのイタズラ、それも手の込んだ、ちょっと偏執的な、目的のわからない不気味なイタズラ……。それでも悪い内容ではないので、毎年届く手紙で少しはポジティブな気持ちにさせてもらっていた。
その後、卒業し、就職し、結婚した。そして未来からの手紙が届かなくなった。なんだかよくわからない手紙とはいえ、10年後の自分から届かないということは……、10年後に自分はもう死んでいるのではないか? いやこれイタズラの手紙だよね? それでも気になると気になってしまい毎年あと9年、あと8年と時々思い出しては不安になる。ただ、ちょうど子供ができて忙しい日々が続いてそれどころじゃなかった。
子どもも大きくなり手がかからなくなってきた頃、久しぶりに、10年後の自分から手紙が届いた。やれやれ一安心。
「いつもありがとう。変な手紙でごめんね、でも気づかないんだね、だって10年後の自分から届いた手紙を、10年後の自分は書いてないでしょう? ふふふ」
それは幼馴染の妻から届いた答え合わせの手紙だった。
2/15/2026, 2:59:00 PM