ミヤ

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"白い吐息"

まだ微睡みに沈む街をのんびり歩く。
薄暗い中、人の気配のない道はちょっと特別感があるよね。
白い息を吐き出して冷たい空気を肺いっぱいに取り込むと、気分がスッとした。

いつも猫が屯している通りに差し掛かった時だった。
パチッと弾けるような音の後、大音量で流れる高音。
思わず耳を塞いだ。
辺りを見渡し、生け垣に隠れる様にして置かれた小さな機械を発見する。
猫避けの、超音波が出るタイプのやつ。
動くものを感知するとキーッという高い音が延々と続く、恐ろしい機械だ。
若干ふらつきながら足早にその場を後にした。


猫が集まることで迷惑する家もあるだろうから、猫避けを設置すること自体は仕方ないのかもしれない。
でもね、あれ、普通に聞こえる人もいるんだよ……。
とくに不意打ちでくらうとダメージが大きい。
まだ耳鳴りがする耳を押さえながら、通り道を変えるべきだろうか、とため息を吐いた。

12/8/2025, 6:04:52 AM