私はひとに心動かされる。ある時は異性の容姿に、ある時は同じ身体を持つ者に憧れと所有の欲求を通じて。そしてある時は、孤独を纏う自身の存在に。
誰かを特別視する気持ちは、その情の深浅によって案外長く引き摺ったり、気付かぬうちに散乱して消失したりする。私が孤独を抱えているのには、誰をどんなに強く、そして長く想いつづけても、結局のつながりを作り出せないところにあった。
誰かとつながり、心身甘え、濃く溶ける期待を持ちながら、“おともだち”という見え透いた文句から必死になって走り逃げる。人間の追い求めるものは、ふたつの精神の融合であるが、私はそれを避けつづけている。ひとつが裂けたこの半身でも生きて行けるのだと闊歩する。
流動的で何も得ることのない私の情念は、いつ認められ、実体を持つようになるのか。私は先の孤独をみる。ひとり暗く包まれるような一室で、体を縮める自分をみる。
誰彼に衝突するはずであった私の情念は、その身体に留まり、身ひとつあれば満たすことのできる貪欲な欲求へと変容していく。私は幾度となく溺れ、過度な程に自分のからだを知り尽くしていく。その手は他者の温もりを感じたいであろう。その心は別の物体を求めているであろう。
かわいそうな半身は極限を迎えている。またひとつ自分の切なさを知っていく。
そろそろ千切れた片方とつながるべき時機が来たのだ。
(空恋)
7/7/2025, 9:33:07 AM