【0からの】
新しい新居というのは慣れないものだ。
ただのだだっ広い部屋だけの家。まだ家具も何もない、0からの家だ。
家、と言ってもアパートだから家ではないのだけれど、と自分に言い聞かせながらここからの生活をどうするか考えてみる。
この時間が俺は好きだ。
元々、頭を使うことが好きな性格だから、イメージを膨らませている時間が至福だ。
0からの私生活。0からのイメージ。
「よし。まずは…」
「おっじゃまっしまーす!」
低くて根暗な俺の声とは大違い。元気で明るいこの部屋にはそぐわない声が響いた。
「……お前、何故来た?」
「え?LINEしなかった?」
「見たけど見てない」
「なんだよそれwちょっとした豪華な食いもんとか惣菜とか持ってきたから、一緒に食おうぜ!」
「嫌だ。断る。」
こいつは俺の友達だ。どんなに拒んでも結局は強引に俺を誘う。
俺の0からの私生活はコイツによってぶち壊されたのだった。
2/22/2026, 3:33:25 AM