夜空の音

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手のひらの贈り物

いつもよりまだ暖かい方だと思いながら、自分の手を見る。変色していないし、シワも少し見える程度。
いざとなればポケットで温めたらいい。なんて思っていると、隣から手が伸びてきた。
「あいっかわらず、冷たいなぁ。」
触りたくないと言いながら、彼は私の両手を自分の手で包む。
温かい彼の手は、私の手によってすぐに冷たくなっていく。申し訳なくて、手を離そうとすると、ギロリと睨まれた。
「....ごめん。」
彼はまたギッと睨むと、何も言わずに私の手を握り続けて、息を吐いて温めてくれた。
「手、温かいね。」
「お前と違って心温かいから。」
そうだね。と言いながら、頬が緩むのを止められない。
「ありがと。」
ん。と言いながら、彼はやっと笑ってくれた。

12/19/2025, 10:39:26 AM