圧倒的にペンギン

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【ぬくもりの記憶】

会社にて。

高橋「あ、あ〜うまい!」

後輩の高橋は自分の机の上でお菓子を食い散らかしていた。
机の周辺はゴミ屋敷みたいになっている。
おそらくこれまで甘やかされてぬくぬく育ったのだろう。

私「高橋君。5Sって知ってる?」

高橋「え?ドSですか。先輩みたいな人のことでしょう?」

ピキッ。

私「いや、自分の机ぐらいは片付けようという話で」

高橋「ちなみに僕はSSS(トリプルエス)ですかね。戦力的に」

ピキッピキッ。

高橋「あっ。ちなみにSSSというのはスマホのガチャのレアリティのことですよ。無知な先輩は知らないと思いますが(笑)」

ピキッピキッピキッ。

私「あのな─」

高橋「あっ。危ない」

ドン。

不意に高橋が私を突き飛ばした。
後に分かったことだが、私の足元にてんとう虫がいたらしい。

私「ぐふぅ」

あり得ないくらい渾身の力で突き飛ばされた私はビルの壁を突き破り50メートル下に転落した。
即死だった。

その後、事情を聞かれた高橋は先輩が急に壁に激突したと証言した。

明らかに無理がある話だったが、高橋は私より100倍仕事が出来るので会社の方針で正当性が認められた。

12/10/2025, 12:52:52 PM