『バレンタイン』
どこかの企業が販促の為に作ったイベントでしょ?そんなのに踊らされるなんてバカばっか....
頬杖をつきながら窓の外をボーッと眺める。
外は快晴。暖かな日差しがポカポカと体を温める。最近までは寒さから日中もマフラーをひざ掛けにしていたのに、今日はそれだと少し暑くて鞄の奥深くへしまってある。
午後2時半。お昼後なことも相まって現実との意識が曖昧になる。
そう、あの時もー。
今日みたいな暖かく日差しがポカポカと自分を照らしてくれた日。
...様、....⚪︎様?、、𓏸𓏸様!!
さわがしく名を呼ばれたかと思うと手元に数滴墨が垂れていた。
歌を詠みながら庭を眺めていて、気づいたら微睡んでいたらしい。
どうやら宴のための装束の確認をしたいらしい。垂れた墨を拭きつつ季節にあったものを選んでいく。
...場面は移り、宴の席にてー。
皆が集まり雅楽の演奏が始まったかと思うと、装束の披露が始まる。やれ、春めく色目やら、やれ、あてやか等各々の装束を愛でている。
装束の披露が終わると政治的交流を持つもの、歌を詠み交わす者など各々が宴を楽しむ。
それを横目に見ながらも自身は混ざろうとはせず庭にある梅の木を眺める。
すると、突然視界に影ができる。ふらりと現れた人は横に来て自身と同じく梅の花を見上げ口ずさむ、梅の木いとをかしー。
自身も部屋で詠んだ歌を、
梅の花を見上げながら詠みかける、ーーー。
外は快晴。梅の花弁がひらりと宙で揺れる。
ーーー...𓏸𓏸さん?
その声ではっと現実に戻る。
考え事をしていた、なんて咄嗟にバレバレな嘘をつく。そんな姿を見て笑いながら"何か"を手渡してくれる。白い箱に薄ピンク色のリボン。じゃあ、と言い颯爽と行ってしまった。
そんな姿にクスッと笑いながらふと思う。
あの時と同じ色........
...........あの時?
夢なのか現なのか朧気な記憶。
午後3時。外には梅の花弁が風に揺られてヒラヒラと上へ舞い上がっていく。
たまにはこんな日も悪くないかも、なんて。
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※登場人物の性別、年齢は読者様のご想像にお任せいたします。
※史実と相違点があるかとは思いますが、フィクションとして楽しんでいただけると幸いです。
2/14/2026, 1:27:16 PM