とある恋人たちの日常。

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 クリスマスが終わって今日は休み。
 イベント事の時には仕事が忙しくなってしまうので、一段落してようやく貰えた休みだった。
 
 一緒に住んでいる恋人と出掛けようかなと思ったんだけど、「今日くらいゆっくりしたい」と彼女が言うので家でのんびり過ごすことにした。
 
 普段わがままを言わない彼女。
 自分のわがままを全力で言う時は大体俺のためだったりするんだよね。
 
 だから今回の言葉を翻訳すると「今日くらいゆっくり休んで」となる。
 嫌だとは言えません。
 だって大切にしてくれてるんだもん。
 
 そして午後になってから気温が一気に下がり、陽も落ちると外は雪がちらついていた。
 
「出かけなくてよかったかも」
 
 そんなひと言をつぶやくと、夕飯の用意をしてくれた恋人が首を傾けつつ隣に立った。
 
「どうしました?」
「ん、君の言うことを聞いてよかったってこと」
 
 彼女を見つめていると自然と笑顔になってしまう。そして俺を見てからふわっと笑ってくれる。
 
 彼女の色素の薄さが外の雪景色と相まって、雪の妖精みたいにキラキラして見えた。
 
「ありがと」
「私がゆっくりしたいって言っただけですよ?」
 
 そんなことを言いながら、俺の雪の妖精はまた夕飯の準備に戻っていった。
 
 
 
おわり
 
 
 
五八九、雪明かりの夜
 
 
 

12/26/2025, 1:43:23 PM