愛を誓い合ってから10年。
健やかなる時も病める時も、確かに一緒に過ごした日々があった。
けれど何故だろう。
今目の前にいる人間を。
私の心を確かに傷つけ、それを意に介していないものを、なぜ愛さなければいけないのだろう。
違う、そんなこと考えてはいけない。
最近お互いの仕事が忙しくて、ようやく顔を合わせて食事ができると思って、張り切って食事を作った。
でも貴方は味がしない、嫌いな具材、と言って残し、ほとんど食べないまま席を立った。
私の前には一人では食べきれない量の冷め切った食事。
ごめんなさい別の料理を用意するね、と声をかけると、もう要らないと一言だけ返される。
後で隠れてコンビニでもいくのだろうか、既に私からは意識を外しリビングのブラウン管を見つめている。
どうして何も言ってくれないの。
私が悪いの、私がこんなこともできないから嫌になったの、家事も仕事もどうして出来ないの、どうして、ねぇ、私は貴方を
「ごめん」
いつのまにか目の前にいた貴方は椅子に座っている私を包み込んだ。
「違うんだ、その、苛々を君にぶつけてしまった…なんでも完璧にこなそうとする君に」
僕のために、となんでもしてくれる君に甘えて任せているけど辛い時は頼ってほしい。
優しく髪を撫でながらいう貴方の体温を感じながら私はゆっくりと喋る。
「貴方だって忙しいじゃない」「お互い様だよ。だから言ってね、分担しよう」
「嫌いな具材なんて知らない」「うん、だから今度から言うね。入れないでくれると嬉しい」
「私は薄味が好きなんだけど」「じゃあ鍋を二つ分用意しよう」
めんどくさい、とポツリと私が溢すと貴方が笑う気配を感じた。
「しょうがないじゃない」
これから私たちは何度だって同じことを繰り返すだろう。でも、その度に話してこんな事もあったね、って皺が増えた顔で笑い合えたら嬉しい。
(…って事もあったよね)
(だからあの時は仕事が忙しくって、塩と砂糖を間違えたの!)
(あ、トマトは感触が嫌いだから温めてね)
(ああああ、もうめんどくさい!)
2/23/2026, 11:47:49 PM