光の回廊

パイプオルガンの音楽が響く。
僕は今日、黒いスーツに身を包んでいる。周りからの視線を感じ、手がじんわりと汗ばんでくる。
そんな中、僕は少し離れたあそこにある扉が開かれるその瞬間を待ちわびる。

重々しく開いた扉の奥には、光で白くなっている。
そこに、人影が2つ。1人は同じように黒いスーツに、もう1人は白いドレスに身を包んでる。
1歩、また1歩とゆっくり僕の方へ歩いてくる。

彼らは僕の前に着くと、黒いスーツの男性が僕の背中をポンと叩く。その重さを感じながら、僕は彼女の手を取る。男性に力強く頷くと、彼女と共に更に前へ進む。
神父の前で、神の前で、参列してくれたみんなの前で、僕は彼女と共にある事を誓う。
そして、指輪を交換して、彼女のベールをあげる。
やっと、愛おしい彼女の顔が見えた。いつも可愛らしいが、今日は特段に可愛らしく見える。
そんな彼女と、いや、奥さんと。参列者や家族たちからの祝福の拍手を受けながら2人で、光の回廊へ歩いていった。

12/22/2025, 10:53:28 AM