"スマイル"
笑顔は技術だと、先生は言った。
訓練の賜物、磨き抜かれた努力の結晶なのだと。
ちょいと失礼、と先生は僕の顔に手を伸ばし、
頬をぐにぐにと捏ねくり回す。
指で口の端をぐいーと持ち上げたり、
目尻を下げたり、顎の位置を調整したり。
最後に、これが君の笑顔だ、と鏡を見せられた。
"君に極意を教えてあげよう。
重要なのは、形とタイミングだ。
共感なんて出来なくていいし、理解なんてしなくていい。
だから、全部覚えて?
いま作った笑顔の形と、どういう状況でそれを使えば効果的なのか。
もう少し広げて、どんな反応をしたら他人はどんなことを思って、どういう風に対応するのか。
それが出来れば、君は"皆"みたいに"普通"になれるよ"
"ぼくも笑うの苦手だったからねー。
苦労したよ、ホント"
ほんわかと笑いながら先生は言う。
それはとても自然な笑顔で。
綺麗に笑える人は本当に凄いと、そう思った。
2/9/2026, 5:54:39 AM