NoName

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凍える朝、
登校中に冷えた手をこすりながら教室へ急ぐ。
突然、後ろから
「おはよう」と声をかけられた。
ふりむくと、笑顔の君がいた。

今日何の授業があるとか、たわいのない話をしながら
階段を登る。

ふと、「寒い」という言葉が口から出た。
すると君は、「僕の手は温かいよ」と言って
私の手を包みこんだ。
確かに彼の手はじんわり温かくて、心まで温かくなるのを感じた。
「手が温かい人は心も温かいって言うでしょ」って
なんだか君は得意気で。
すぐに「じゃあ、また」と手を振って去ってしまった。
照れているのか寒さのせいなのか、赤くなった頬を隠すように。

入った教室は、なぜかいつもより温かく感じた。

11/2/2025, 8:37:35 AM