『落ち葉の道』
夏の暑さに嘆いていたのがつい昨日のように思えるが、いつの間にか吐く息は白くなって、冬の気配がすぐ側まで来ていた。もう11月か。そう思った時私の心を読んだかのように聞きなれた声がした。
「もう11月か...あと3ヶ月?」
「あー!!登校中は受験のこと言うの禁止だって!」
「ごめんごめん笑」
もう、と冗談っぽくふくれた顔をする私を見て彼女は笑った。そしてまたふたりで歩き出した。
彼女と私は幼なじみで、幼稚園、小学校、中学、高校と同じ学校に通っている。こうして彼女とふたりで学校へ行くのは果たして何回目なんだろう。
冷たい空気のせいだろうか、少しセンチメンタルになった私は彼女の言葉を思い出す。
⎯⎯⎯もう11月か、
高校を卒業したら大学は離れてしまう。そのことはもちろんずっと知っていたのだけれど。私は彼女との毎日は永遠に続くものだとどこかで思い込んでいた。
私の思い出には常に彼女がいた。だから、それが終わってしまうことなど想像すらできなかった。
⎯⎯⎯私たちは、どうなるんだろう。
次の瞬間私の思考は彼女の声によって遮られた。
「あっ!ねえ、見て?」
見るとそこにはたくさんの落ち葉が落ちていた。
アスファルトは赤や黄色で覆われ、まるで絨毯のようだ。絨毯...いや、これは道だ。
落ち葉でできた終わりの見えない長い道。
「ね、すごいでしょ?でもこれ、掃除大変だね」
「そうかも、でも、そうだな。私はしばらくこのままだと嬉しい!」
「ええ〜なにそれー笑」
落ち葉で彩られたこの道が。彼女と歩くこの道が。
冬の手前のこの季節が。どうかもう少しだけ、長く続きますように。
11/25/2025, 11:29:37 AM