文緒

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枯葉



 冷たい風を頬に感じて、本の世界からふと現実にかえる。

 あたたかい日差しに誘われて公園へと足を運び、ベンチに座って本を広げてから知らない間に時間が経っていた。
 公園がオレンジ色に染まっている。
 遊んでいたたくさんの子供達の数も片手で数えるくらいになってしまっていた。

 私も家へ帰ろう。
 鞄に仕舞うため本を閉じようとしたときに、ふと足元の枯葉に目を留める。

 ――いいことを思いついた。

 カエデ、モミジ、クヌギ……どれにしようかな。
 よし、これにしよう。

 オレンジに染まる世界で、やわらかく光るイチョウ。
 イチョウの枯葉を手に取ると、読んでいたページに挟んだ。

 次にこの本を開くときの道標として。

2/19/2026, 1:10:40 PM