【待ってて】※長文注意
―喫茶店の薫り―
「母さん、?」
夜、物音で目を覚ますと、母さんがどこかに行こうとしていた。俺は眠い目を擦りながら定まらない視点を母さんに向ける。
母さんはこっちに気付き、目を見開いて驚いていた。
「どこ、行くの?」
母さんは何も答えない。俺の家は貧乏だった。だけど、心優しい母さんがいる。それだけで、俺は何も気にしなかった。
「いい?亮?」
母さんは俺を抱きしめて、優しく語りだした。
「こんな、ダメな母さんでごめんね。」
「そんなことない、母さんがいれば、俺はそれで…」
「いい子でいるのよ。」
母さんは俺の額に優しくキスをして、ドアに手をかけた。
「待ってるからね、!母さん!」
「……」
少し立ち止まった後、母さんは優しく微笑んだ。
「ええ。待ってて。」
けれど、今も、母さんは帰ってきていない。
約束なんて、口だけだった。母さんは、分かってたんだ。きっと。
「八木!起きろ〜今日バレンタインだぞ!チョコ位つくれ!喫茶店の中でも一番料理美味いのお前なんだからな!トリックオアバレンタインチョコ!」
「それ、ハロウィンだぞ?訳すと、バレンタインチョコをくれないと悪戯するぞ、になるけど大丈夫か?」
「あ、起きた」
同い年の京に起こされた。なんだか、過去の夢を見ていた気がする。
母さんは帰ってこなかった。でも、仲間ができたんだ。
「?亮?」
母さん、今、どこに居ますか?俺は今、元気に楽しくやってます。
俺は、待ってるからね。
「生チョコなら昨日作って冷蔵庫に入れてある」
「よっしゃ!食べていいの?」
俺は、俺の道を進むから。
2/14/2026, 2:24:48 AM