とある恋人たちの日常。

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「うわ、寒っ」
 
 仕事終わりに恋人と待ち合わせ。
 彼女が車で迎えに来てくれるっていうので、待ち合わせ場所に走って向かった。
 
 頬に当たる風が冷たくて痛みを感じる。もしかしたら雪でも降るのかもしれない。
 それくらいの寒さだった。
 
 角を曲がると待ち合わせの駐車場だから足元に気をつけながら曲がると車のそばに彼女が立っていた。
 
「ちょ!?」
 
 うっかり出した声に彼女が反応して、俺に笑顔を向けてくれた。
 色素が薄い上に、白や水色をメインに服を選ぶ彼女だから冬の精霊みたいでドキッと胸が高鳴る。
 
「なんで外に出てるのー?」
「え、早く会いたいからです」
 
 当たり前のように言う彼女。
 
 確かにコートは着ているけど、どう見たって寒いのに。
 
 俺は彼女の手を取ると冷たくてびっくりした。
 
「冷たっ!」
「え、そうですか?」
 
 俺は彼女の両手を取って口元に寄せてハアと息をかける。
 
「うふふ、暖かいです」
 
 体温を分けたくて、しっかり手を覆った。
 
 あ、でもダメだ。
 
「ねえ、俺が運転する。キー貸して」
 
 こんな寒いところに居て、指先がこれだけ冷たいんだから身体だって冷えているでしょ。
 
 暖かいところにさっさと向かおう。
 
 
 
おわり
 
 
 
五七二、凍える指先
 
 
 

12/9/2025, 1:19:59 PM