その化け物に殺されると、最期に言った言葉と声を模倣されて、他の人間を誘う囮にされてしまうらしい。
「愛してます。あなたを愛してます。」
だからその声が聞こえてきた時、あぁ、僕の想い人は化け物に殺されてしまったのだと分かった。
それでも、僕は、彼女ではないとわかっていたのに……その化け物の所へ、近寄ったのだ。
僕と彼女は、1年前に恋人になった。
最初の頃は確かにラブラブで、熱烈な関係だったと言えるだろう。けれど、そんな関係は数ヵ月後に終焉を迎えた。
彼女は僕に興味を無くしてしまっていた。どんなに愛してるの言葉をかけても、彼女の目はスマホから動かない。プレゼントを買ってきても、数日後にはフリマサイトに上がっていたりもした。
極めつけに、彼女は僕と付き合って退会したマッチングアプリを再開していた。
けれど僕は……別れようの5文字が声に出せなかった。未練たらしいが、それでもまだ、今でも彼女のことが好きで仕方ない。だから、彼女の口から別れようと告げられるまで、僕は彼女の愚行を見ないふりし続けようとしたのだ。それが、2週間前からの出来事だ。
そして今。彼女は、化け物に殺されてしまったらしい。
多方、マッチングアプリで繋がった相手に会いに行っていたんだと思う。そしてそこで愛の言葉を囁いている時に、悲劇が起きたのだろう。
「あいしてます。あなたをあいしてます。」
これが化け物の囮だとしても、僕は。数ヶ月聞いてなかった、あなたの言葉が嬉しかった。
その言葉を聞く為に、あなたに僕も愛してますと伝えるために。僕の体は無意識に、化け物の傍に駆け寄って行って……。
「僕も、あなたを愛しています。」
「ぼくも、あなたを、あいしています。」
「ぼkUも、ぁnaたを、あぃ、してiまsU。」
(お題 Love you)
2/23/2026, 12:58:41 PM