『0からの』
人生を初めからやり直したいと思ったことが何度かある。そう思うくらいには、失敗の多い人生だった。
嫌なことが起こる度に、現実を巻き戻したくて身悶えする。だけど、そんなことはできなくて、変わらぬ日々が私を襲う。
後悔の波が引いたあとの足元には、いつも「もしあの時」という空虚な言葉だけが転がっている。それを拾い集めては、あり得たかもしれない別の人生を想像して時間を浪費してきた。どう足掻いても時間は不可逆だ。ゲームのように都合のいい地点からやり直すことは叶わないし、昨日の失敗は今日の私に確かな重みを持ってのしかかっている。
そんな閉塞感の中で、ふと考えてみたことがある。過去の出来事そのものをなかったことにはできないが、それに対する「意味付け」は、今この瞬間から変えられるのではないか、と。
失敗ばかりの過去を「マイナス」と捉えるから、真っ新なゼロに戻りたくなるのだ。そうではなく、これまでのつまずきや痛みのすべてを、これから歩き出すための地固めだったと考えてみる。傷跡は、次に同じ石で転ばないための目印として機能してくれるはずだ。
時計の針は戻せないが、明日のページはまだ誰にも書かれていない。これまでの不器用な日々をすべて背負い込んだこの場所を、新たなスタートラインとして引き直す。過去を消し去るのではなく、今の私から始まる「0からの」一歩を、再び不格好に踏み出してみるのだ。
2/21/2026, 3:57:24 PM