夜空の音

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雪の静寂

目を開けると、美しい女性たちが踊っていた。彼女たちは私に気づいて、駆け寄ってきた。
『踊ろう』
『遊ぼう』
彼女たちは私にそう告げて腕を引っ張る。
私の頭はぼんやりとしていて、その誘いに導かれるままに彼女らと踊った。
あたりは1面白く、雪が優しく降り注いでいる。そして、真っ白に相応しく音がしない。
....あれ?
そこまで考えて、急に背筋が凍った。
音がしないのに、どうして彼女達の言葉がわかったんだろう。思わず動きを止めた私に、彼女たちは、どうしたの?踊らないの?と尋ねてくる。
ここは何かがおかしい。
彼女たちを振り払って、私は走った。
『ばれた』
『つまんない』
そう聞こえ、走りながら彼女たちを振り返ると、妖精のように美しい女性達はいなかった。そこにいたのは、おぞましいお化けのような姿をする生き物だった。
その姿を認識すると、頭が一気に晴れた。
ひっ。と喉の奥が引き攣る。
白い世界は、赤く血の色に染まり、雪は血の雨となって、私の目に映った。

12/17/2025, 10:17:19 AM