とある恋人たちの日常。

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 もうお店に行けばクリスマスのコーナーがあって、時期だなあと感じる。
 
 うちではクリスマスツリーを飾ったりしていないから、あまり気にしていなかったんだけどツリーの飾りも沢山あって目を引いた。
 
 ツリーか……。
 
 小さいのがあってもいいかなと思ったけれど、恋人とふたり暮らしとはいえ狭い部屋だからやっぱり厳しいかなーと悩んでしまう。
 
「ん?」
 
 近くに置いてあるスノードームに目をうばわれた。
 
 少しアンティークめでサンタクロースと小さい雪だるまがクリスマスツリーを囲っている。
 
 手のひらサイズだし、丁度よさそうだな。
 
 持ち上げて台座を見ると左右に動かせるスイッチがあった。
 
 このスイッチはなに?
 
 普通に考えるとオルゴールみたいなのはあるかと思ったんだけど……なんだろう。
 
 カチンとスイッチをオンにすると、下から青いライトが光って雪を散らしていた。
 
 うわ……これ、絶対彼女が好きそう。
 
 スイッチをオフにして値段を確認する。
 手が届きにくい値段じゃない。
 
 どうしよう。
 
 でも、これを暗くした部屋の中で光らせて、雪を降らせたら絶対に喜ぶだろうな。
 目をキラキラさせて顔がほころぶのが容易に想像つく。
 
 んー。
 
 俺はスノードームを持ってレジに並んだ。
 
 だって絶対喜んで破顔した彼女は可愛いに決まってるもん。
 
 
 
おわり
 
 
 
五七五、スノー
 
 
 

12/12/2025, 12:46:32 PM