香草

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「今日にさよなら」

こんな天気の日は洗濯日和だとウキウキになるのはジブリの中だけだ。
洗濯機も置けない6畳一間の部屋を出てコインランドリーに足取り重く辿り着く。
洗剤を入れてピッとスイッチを押せば重い音を立てて回り出す。
ぐるぐると、ごろごろと。
たくさんの人の服を洗った洗濯機に入れると私の服が私のじゃなくなっていくみたいだ。どうせいいのだ。
もともと私のじゃないし。
シャネル、エルメス、ルイヴィトン…
古い洗濯機に安っぽい洗剤で洗われるブランドたちは何がなんだか分からない様子で回っている。
シルクの生地は光沢を失い、金属のベルトが傷つく音が聞こえる。
私にはまだ早かった。すべてが。身の丈に合わない服に身を包んで愛を知った気になって。
こんなブランドよりも私が洗われたい。清らかに綺麗になって一から全部やり直したい。
でも私に新しいスタートラインがあるのだろうか。
今日にさよならを告げたところで新しい明日が来るのだろうか。
私は汚れ切った体を脱ぐことはできないのだ。

2/18/2026, 1:32:58 PM