StRat

Open App

 
 ねぇ、作者さん。僕のこと、覚えてる?
覚えてない?そんな馬鹿な。ちょっと部屋と頭の中を探してみてよ。
 本棚で隠した、或いは引き出しの奥底の鍵付きの手帳の中。それとも、スマホやパソコンの中の1番古い作品の中……あれ、もしかしてもう消しちゃったかな。
 記憶の奥底で、連載しようとして諦めた物語の中。あぁ、きっとちゃんとかけていたら、僕はもう少し沢山の人に知られてたのかな。
 ……そう。そうだよ。作者さんが黒歴史と呼んでいるキャラクター。かつては愛してくれていた筈なのに、今では必死になって記憶の引き出しにぶち込まれたキャラクターだよ。
そんな明らかに嫌そうな顔しないで。言いたい事だけ言ったら帰るからさ。

 僕を産んでくれてありがとう。
どんな物であれ、何も無かった僕に設定と姿を与えてくれた。作者さんの世界で、僕は主人公になれた。勿論、悲劇も沢山あっただろうけど。
 あなたがいなければ、僕は命を手に入れることすら出来なかった。……例え、今では必要のない、小さな命だとしても。それでも、生きられて嬉しかったんだ。
 ありがとう、作者さん。

 もし、気が向いたら。また物語を紡いで欲しいな。
その時まで、またあなたの引き出しの中で、日の目を見れることを楽しみに待っているから。
 おやすみなさい。作者さん。


(お題 小さな命)

2/24/2026, 12:20:14 PM