何も見えない日
ある雪の降る日のことだった。
僕は時空制御装置の前でカップラーメンを啜っていた。
僕の仕事は、くるくる回るこの装置に異常が起きたらすぐに対処すること。
とは言ってもこれは博士の最高傑作だから異常なんて滅多に起こらない。そのお陰で一日の大半、いやほとんどずっとここに常駐している。
暖房がまた息を吹き返した。
僕は空になったカップ麺の容器を流しに置いて、また時空制御装置と向き合う。
ウィィィィン......と機械的な音を立てて中央の紫のランプがほのかに光度を変えている。
何故か電球のワット数が小さく、部屋全体が薄暗い。
窓はあるけど小さく、それに加え北向き。
一日中、明るくなる時がない。
僕はぼんやりと窓の外を眺めた。雪がしんしんと降り、外との温度差で窓は曇り、何も見えなかった。
12/21/2025, 10:27:17 AM