komaikaya

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 寒風に揺らされた、大樹の枝から。
 ぷつり、と命の音を立てることもなく、彼は──『枯葉』は、ただ一枚きりで故郷を離れた。

 思えばそれが、最初にして最期の旅路、地に落ちて粉々になって姿がそれとわからなくなってなってしまうまでの間に彼は……枯葉は。
 いったいどんなものを目にして、なにを思うのだろう──。


 ……と、散歩中の公園でふと思いついて立ち止まり、そんな文章をポチポチと打ち込んでたら。
 ボクの肩に引っかかってからずっとスマホを覗き込んでいた彼、枯葉が、呆れたように言った。

「そんなふうに『同情』などを寄越している余裕などが、果たして、お前たちにはあるのか?」

 ……同情?
 ボクそこで少し考え、浮かんだことを、ゆっくりと口にしてみることにした。

「ええっと、うーん……余裕があるかないかってことより、ボクたちは、同情せずにはいられない生き物で、だから……万物すべてのそれぞれになったつもりで、物事を考えがちなんだ。ああそう、いろんなものをついつい擬人化してしまうのもきっと、そのせいで……って、あれ?」

 いつの間にか、枯葉はいなくなっていた。
 地面に落ちたのか、と探してもどこにもいなくて、それに時間を取られたお陰でボクは、アプリのお題更新の締め切りに間に合わなかったりして、まぁそれはどうでもよくて……でも。

「……そうだね。そんな余裕かましてる場合じゃないんだろうね」

(枝から切り離されて最期の旅路を往く、その道程にいるのは、お前たちのほうだろう?)

 ──枯葉が言外に言ったのはたぶん、そういうことなのだ。


 ……なんて、ね。
 それこそ「自分ではない者の身になったつもりで、勝手なことをでっちあげてくれるな」、って。
 そんなふうにまた、呆れられてしまうだろうか?

 

2/20/2026, 3:09:16 PM