私は15年前にこの世界に生まれ落ち、物心が着いた時から『勇者』になる夢を掲げ、剣を振ってきました。
きっかけは酷く単純な物で、この村を襲っていたモンスターの大群を一人で倒した『勇者様』が、まだ幼かった私に手を振ってくれた事です。
そんな些細な思い出を胸に抱いて、私はトレーニングを欠かさず、弱いモンスターを倒して経験値を稼いでいたのです。それ故、長くやり続けたからか、時折村の人から褒められる事も増えてきました。
けれど、それは突然起きました。
私達とは違う、変な服を着た青年が、突然召喚されたのです。村の司祭いわく女神の力らしいのですが……。
彼は初めて剣を握ったにも関わらず、私が10年以上かけて覚えた剣術の倍以上の強さで、モンスターを屠りました。
彼は魔法を知らないと言っていたのにも関わらず、死んだ人間を蘇生させる魔法をいとも簡単に扱いました。
村の人たちは喜びました。彼が召喚されて1日立たずに、彼は『勇者様』と呼ばれるようになりました。
それ以来、前の『勇者様』の姿を見ていません。
私は、『勇者』になることが出来ませんでした。
0から必死になって覚えてきたスキルをもってしても、やっとこさ記憶の中の『勇者様』に追いつけるようになったとしても。
突如現れた天才には叶わなかったのです。
ねぇ、女神様。私の15年間はなんだったのですか?
女神様。ねぇ、女神様。お答えください。お答えください……。
(お題 0からの)
2/22/2026, 8:23:10 AM