文緒

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Love you



 深夜一時の公園。ブランコを椅子にして、目の前にある大きなマンションを見上げた。真っ暗な空に、窓の灯りが星のように光っている。
 春に向かう生暖かい風の中に感じる、ほんの少しの冷たさが気持ちいい。おもむろにポケットからスマートフォンを取り出して、翻訳アプリに「愛してる」と打った。すると、翻訳されたアルファベットが現れる。
 「Love you」

 再生ボタンを押すと、私より少し低い声が、それを言った。
 私は画面を伏せる。
 言葉は、水に落としたインクみたいに暗闇のどこにも触れずに、消えた。

 マンションの灯りも一つ、消えた。

 私は、マンションまで飛んでいける。そんな気持ちでブランコを漕ぎ出した。

2/24/2026, 6:12:15 AM