『10年後の私から届いた手紙』
昨日、彼女からもらったバレンタインデーのチョコレート。
ラッピングの隙間から、はらりと1枚の用紙が落ちた。
「ん? なんだ?」
拾い上げたそれはベージュを基調にしたシンプルなデザインの便箋ながらも、所々に星型の金箔が施されている。
彼女らしい上品なセンスに口元が緩むのを感じながら、几帳面に綴られた文字を追った。
『23歳の嶺姫(れいじ)くんへ』
生真面目な彼女にしては珍しい遊び心に、目を見張る。
『拝啓 ますますご健勝のこととお慶び申しあげます。』
便箋のデザインからは程遠いかしこまった文面に、彼女の照れ隠しが垣間見えた。
あの人、手紙書くの好きなクセにそういうところあるよな。
微笑ましく感じながら、俺はこの堅苦しい手紙に目を滑らせていく。
『この手紙は34歳になった私が書いています。23歳の嶺姫くんは、ことあるごとに結婚しようと急かしていました。』
え。
これ、破局フラグじゃないよな……?
別れる気も手放す気も毛頭ないけど?
若干、心臓が嫌な音を立て始めるが、内容は俺の想像とは180度異なるものだった。
『現在、私は嶺姫くんと幸せに暮らしています。子どもにも恵まれました。3人ともかわいい女の子です。ネコちゃんをお迎えする予定でしたが嶺姫くんがネコアレルギーだったので、ペットの夢は叶いませんでしたが毎日楽しく過ごしています。』
ネコアレルギーとかはないけどな?
俺に対する雑な解像度に、フッと息をこぼしてしまう。
『嶺姫くんの気が変わらない限りではありますが、私が25歳になったあかつきにはこちらからプロポーズさせていただく所存です。
つきましては、今後のプロポーズの頻度を減らしていただければ幸いです。 敬具』
……おかしい。
ここはこれからも、好き好き大好き超愛してる結婚しよう♡ という俺の告白を受け入れる場面では?
これではこれ以上ウザい告白は辞めろと言わんばかりの文面ではないか。
俺は、先に寝室で横になっているであろう彼女のもとへ移動した。
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いつもありがとうございます。
むしろここからだろ、というところで力尽きました……。
すみません。
体の節々が言うことを聞かず。。。
快調したら続きを書きたいです。
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2/16/2026, 8:16:34 AM