光の回廊
私たち幽霊の間で囁かれている噂があります。光の回廊を抜けた先に、本当に求めている場所、魂の安寧が約束される場所がある、というものです。今のこの時期、街のあちこちで光の回廊とも言うべき美しい光景に出くわします。ただの電飾と分かっていても、あの光に吸い寄せられてしまうのは、今度こそはという淡い期待があるからなのでしょう。電飾の中に何か影が横切ったとしても、どうか怖がらないで欲しいのです。それは私達が何処にもたどり着けずに漂っているだけなのです。
降り積もる想い
思い描いてみてください──触れたとたん消えてしまいそうな雪の結晶。ひとつひとつは儚くても、いつの間にか辺りを白く覆っている──そんな風に静かに深く、誰かを大切に想ったことが、あなたにあったでしょうか。あるいは悲しみ。胸の内に悲しみをきちんと留めたことがあったでしょうか。あなたはいつも自分の想いさえ曖昧に希薄にしてきました。誰かが離れていくことに、痛みより安堵を感じてしまうあなたなら、仕方のないことだったのかもしれません。そうしてずっと何も降り積もらせることのなかったあなたの心は、空虚なものになってしまいました。あなたのその心を、私は抱きしめたいんです。
12/23/2025, 5:33:45 AM