『みかん』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『みかん』
食事を終えて、洗い物をして、私はダイニングテーブルでうとうとしていた。
お風呂からあがってきた彼が、眠っている私を見て、頭に何か丸いものを乗せる。
「……?」
私が起きると、コロンとみかんが転がった。
彼はベッドで寝ている。
私は彼に近づき、額の上にみかんを乗せた。
フフッと、目を開けずに彼が笑った。
みかんを持ち上げて見つめる。
「一緒に食べる?」
「うん!」
彼は起き上がって、私を膝の上に乗せた。
「はい、あーん。」
「え、あーん。」
剥いたみかんを一房口に入れる。
フフッと私も笑って、
「はい、あーん。」
彼の口元にもみかんを寄せると、パクッと食べてもぐもぐ。
「今度は口移しかな。」
「えー。」
「えーって。」
彼がみかんを一房口にくわえて、口唇を寄せる。
私はパクッとみかんだけ食べた。
彼は笑って、
「今度はお前を食べたいな。」
私に口唇を寄せる。
「私は食べ物じゃありません!」
言うと、彼は目を閉じたままフフッと笑った。
「お前は甘酸っぱいな……」
口唇を合わせる。
甘酸っぱい味がした。
前の僕にはなかったこんな暮らし。
みかんを食べることは出来ないけど暖かいこたつ暖かい家に暖かい家族、それだけで僕は十分かな。
無意識にゴロゴロと喉がなり、瞼が重くなる。
これが幸せっていうんだね。
子供の頃家族みんなでこたつに入って
みかんを食べるのが好きだった
いつからだろう、歳を重ねるごとに
それをしなくなったのは
忙しくてそんな余裕もない
あの温かかった記憶は
もう記憶のままなのだろうか
寒い日に こたつに入って みかん食う 草摩信乃
みかん
みかんを一つ。
みかんを二つ。
みかんを三つ。
皆で、食べれば、美味しく、あっという間になくなる。
みかん、されど、みかん。
みかんの美学は、いずこに。
みかん色
雰囲気がだいすき。
オレンジ色とはちょっと違う
やっぱりみかんいろ
みかんのヘタの裏を見ると
ふさの数がわかる
白い筋はアルベドといって
栄養価が高い
みかんを揉むと甘くなるのは
細胞修復にクエン酸が使われるから
色々な人が教えてくれた豆知識
みかんを囲むと 話題が弾む
みかんは冬の大切な
コミュニケーションツール
みかん
みかんはどうも好きにはなれなかった。においといい、味といい、食感といい、なんだか苦手なのだ。
だから、ずっと避けてきた。それなのに、君が言うから。
「冬はこたつにみかんだろ」
さも当たり前かのように、当然といったような表情で君がそう言い切るから。
君のためだけに普段買いもしないみかんを買う。良さなんて何もわからないけど、君が満足そうにしているから、それでいいか、と思っていた。
それなのに、君が急に別れを告げるから。食べもしないみかんが大量に残っていて、せめて持って行ってよ、と言えば、買ってなんて頼んでないし、なんて言われてしまう。たしかに、と返す言葉もなかった。
ああ、さらにみかんのことが嫌いになりそう、そんなことを思った。
「みかん、食べすぎると手が黄色くなるのって本当かなぁ?」
「えっ、何急に。」
「この前おばあちゃんから大量のみかん送られてきてさーここ最近、毎日私みかん食べてるからさぁ〜比べさせて?」
手の色なんて気にしたことないんだけど…とは言えない。
まぁでも、比べてるみるのは面白そうだ。
お互い、手のひらを比べ合う。
「……手って手相の見え方とか質感?とかも結構違うものなんだね」
「確かにー。でも、私の手割と乾燥してるからますますそう見えるのかも」
まぁ、でも、
「色は違うけど、これ何色?一言で言えない感じがする」
「肌色でいいんじゃない?」
「いや、なんでそこだけ適当なのよ」
彼女の手は黄色い感じは確かにある。
でも、黄色かと言われたらわからない。
そもそも私と比べただけじゃ参考にはならないだろう。
「結局、よく分からなかったなぁ」
「良いんじゃない?人の手の色気にする人なんていないでしょ。それに、もし黄色くなるにしても1日7個とか8個とか…食べ過ぎなければ平気でしょ」
「私多くても1日3個」
「なら大丈夫だよ…って1日3個ってまさか」
「あぁ、お弁当にあるよ。みかん」
「えぇっ、お弁当のみかんだけは私無理…」
「えー何でー?」
「なんか、感覚的に?わからないけど」
「どうゆうこと?あ、〇〇いるじゃん。おはよーねぇ、突然だけどお弁当のみかんどう思う?」
…その後もその質問をして説明をするの繰り返しだった。
あれ、私今日、みかんの話しかしてなくない?
まぁいっか…面白かったし。
みかん、明日食べよっかな。
【 みかん 】
俺には幼馴染が居る。
家が隣で家族ぐるみで仲がいい。
そいつは明るくて元気で、みかんのような明るいオレンジ色が似合うやつだ。
俺はずっとそんな彼女が好きだった。
今日も彼女はアポなしで俺の家に押しかけてきた。
「やっほ〜!」
「やっほーじゃねぇよ。俺さっきまで寝てたんだけど」
「ごめんごめん。でもさ、今日はいいお知らせ持ってきたんだよ!」
いい知らせ...?
まさか
「人生初の恋人ができたの!」
「...」
言葉が出ない。
予想していた最悪のことが起きてしまった。
そりゃいつかはこいつにも恋人はできる。
でも、俺が勇気を出すまで少しくらい待ってくれてもいいじゃないか。
俺が何も反応出来ないでいると、
「どうしたの?」
彼女は俺の顔をのぞきこんで心配してきた。
こいつは何も知らない、俺の思いを。
悪いのは勇気を出せずに、幼馴染の関係に甘えていた俺だ。
「うっせぇよ。そんなこと言いに来たなら帰れ。」
「釣れないなぁ、でも人生初の恋人だよ?
ちょっとくらい祝ってくれてもいいじゃんか〜」
彼女は口をとがらして言った。
少し間が空いて俺は口を開く
「...良かったな。」
ただ一言だけ。
「うん」
彼女は幸せそうに笑う。
その笑顔は俺に向けられたものでは無い、
ここには居ないこいつの恋人に向けてるんだ。
そう思うだけで胸が苦しくなる。
今、俺はちゃんと笑えているだろうか、
引きつっていないだろうか。
「そうだ、お母さんに言われてミカン持ってきたの、食べよーよ。はい」
「ん」
渡されたミカンの皮をむく。
ミカンなんて何時ぶりだろう
ひと房口に入れると酸味と甘みが口の中で溢れる。
涙が出てきそうだ。
俺の恋もみかんのように甘酸っぱい恋だった。
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最後、無理矢理繋げた感があったかもしれないです...
「みかん食べたら爪きいろくなるー!」
にこにこしながらそう言ってみかんを頬張る娘をみると心が暖かくなったり。
私にもこんな時代があったんだなぁ。
冬になるとなぜかいらない記憶が蘇るんだよね。
未来
「みかんってさ、家族で食べるものじゃない?」
伏し目がちにみかんの皮を剥きながら、彼女はそう言った。
「…そうかな?」
「そういうイメージがある」
僕の曖昧な返事に、彼女はみかんを剥き続けながら答えた。
「こたつに入ってさ、このみかん酸っぱいねーとかこっちは甘いよーとか言ってさ、…食べてたなぁ昔。冬になるといつもこたつの上に置かれてあったし」
…たしかにそう言われてみれば、そんな思い出もあるような気がする。僕が昔の事を思い出していると、
彼女は剥き終えたみかんを一房口に放り込んでいた。
「うわ、酸っぱい」
大袈裟に顔をしかめて言うもんだから、思わず笑ってしまった。
「ね、そっちのみかんも酸っぱいの?」
彼女は僕が食べていたみかんに視線を移してそう尋ねた。
「ううん、こっちのは甘い」
そう答えると、なんだか彼女は照れたように笑った。
みかんの皮に爪を立てる。ぷつり。
そこから指を少し深く沈める。指を鍵形にしてみかんの実を引き出す。
みかんの皮がはじけて、すっきりと爽快な香りがする。
口にひとふさ含むととても瑞々しい。
この果物と同じ名前をつけた猫を飼っていた。
茶トラで、その毛色がみかん色に見えたのでそう名付けた。
みかんはよくしゃべる猫だった。
日田とこちらを見据えて、こちらへ向かって歩いてくる時にも、にゃおにゃおにゃおとしゃべっていた。
玄関に出る時はその前に立ちはだかり、しばらくしゃべる。どこへ行くのかとか何するんだとか、そう言う声音だ。過保護な親みたいな声の掛け方だった。。
帰ってくると玄関マットの上にスフィンクスのように横たわって、やっぱりにゃおにゃお言っていた。
おそらく、おそいとか、変なもん食べてくるなよとかそういう小言だったのだろう。
みかんと言う名前は、物心ついた時についていたから、由来は知らない。
おそらくみかんの箱に捨てられていてみかん色だからとかそう言う理由じゃないかと思う。
みかんは、最期も、何かたくさんしゃべってからこときれた。
最後の最後まで心配していてくれたのかもしれない。
この季節、初めてみかんを食べる時、
もう一つのみかんのことを考える。
みかん、私は今年も元気だよ
私は和歌山に縁がある人間なので、
みかんといえば有田みかんと信じてる。
が、愛媛出身の彼氏は、
温州みかんが身体に染み込んでいるらしい。
…という話を友人たちとしていたら、
その中に静岡出身者がいて
三ヶ日みかんの素晴らしさを説いてきた。
くまもん好きの別の友人は、
えー みかんって熊本じゃないのー?
なんて言ってる。
みかんって、なんか愛着湧いちゃうんだよね。
バナナと並ぶ日常を象徴する果物な気がする。
地元民や縁故民の愛情を受けて、
ますます美味しくなるんだよ。
みかん
コタツに潜ってぬくぬくと暖を取る
しんしんと外ではこと辺りの地域では珍しい雪が降っている
(雪降るとかマジで寒いじゃん…。)
そう思いながらコタツにさらに体を埋める
テーブルに顎をのせて唸ると正面にオレンジ色が広がっている
(みかんあるじゃん♪)
少しルンルンでみかんをとり皮を剥いていく
(お、剥きづらいぞ。なんかでみかんは剥きづらい方が甘くて美味しいって言ってた…気がす…るっと。)
剥き終わったみかんをパクっと一欠片食べる
(あまぁー。)
みかんは甘くて美味しかった。
(コタツにみかんてなんでこんな美味いんだ?)
なんてことない一日当たり前のような常識のような一日
(やっぱり冬でコタツって言ったらみかんだな〜。)
そんな一日が幸せに感じる
みかん
みかんって、他の果物と違って
いつも集団でいるよね。
寂しがりやなのかな。
仲が良いのかな。
寒いから、押しくらまんじゅう
しているのかな。
“みかん”
こういう、ゆる~いお題がよき
私のおばあちゃんはツンが強い。私がみかんを苦手としていると知っていながらみかんを送ってくる。やれやれと思いながらダンボールを開けると、みかんとそれから手紙付きのお菓子も入っていた。
「緩衝材だからね」
私のおばあちゃんはツンデレだ。
テーマ:みかん #47
※この物語は#20からの続編です
「ラクラくん。君はこの国の王子だね?」
そうサカキさんに言われて一瞬頷こうとした。でもここで頷いたら…。ミデルに自分のことを打ち明けたときのような緊張感が走る。
「はい…」
僕はそう言った。もしかしたら責められるかもしれないと。
「そうか…。やっぱりな……なぁに、そんなに強張った顔をしなくたって大丈夫」
僕を見てクシャっと笑うサカキさんにあぁ、この人は大丈夫だと思った。
「それじゃあ…時期、国王になるラクラくんに1つ、いいことを教えてあげよう」
サカキさんがそう言って、立ち上がると僕の隣に腰を下ろした。
「ミデルは魔法使いたちをまとめることができる子だ。『神の子』と呼んでいるのは、俺だけじゃない。彼女のことは誰でも知っているし、名1つ出せば魔法使いたちは動くだろう」
サカキさんは内緒話をするかのように俺に小さな声で言った。
「これは…ミデルの育ての親として、お願いしたい。これからのあの子の未来を明るくしてほしいんだ。特別何かを望むわけじゃない。今のあの子を『ラクラくんが』守ってほしいんだ」
サカキさんは今にも土下座しそうな姿勢になった。
「サカキさん、落ち着いてください! 僕は彼女を見捨てるなんてこと絶対にしません! 保証します」
僕が慌ててそう言うとポカンという表情で、僕を見つめるサカキさん。かと思えばサッと僕の手を取り
「かたじけない…」
目に涙を浮かべていた。
朝起きると、
ーードンドンドンドン
という足音が近づいてきた。
「ラクラくん!! 大変だ! これを見なさい!」
まだ寝ぼけている僕の目の前に文紙(新聞紙)を見せるサカキさん。僕は眠い目をこすりながらその文紙を受け取る。
「は…?」
僕は飛び込んできた文章に目を疑った。そしてその文紙に載っている写真を見た。
「父上と…母上と…セピア…?」
僕は嫌な予感がした。これが夢なら早くこんな悪夢から抜け出したいと思った。
「サカキさん。ミデルは?」
「今、朝ごはんの支度をしてるけど。そんな暇ないよね…」
僕にそういうサカキさんの顔は青くなっていた。それはそのはずだ。この文紙の表紙にデカデカと書かれている文字。それは『早期の新国王、任命』だった。
「ミデル、ごめん…。もっとゆっくりサカキさんと話したかっただろう?」
「ううん、いいの。元気良さそうな顔見れたから。それよりもラクラ…大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ」
とは言ったものの正直焦っている。普通の『早期の新国王、任命』だったら、こんなに焦っていない。僕が何を見てそんなに焦っていたかといえば……。
約1年ぶりに王宮内に足を踏み入れると
「結構早かったね。ラック」
聞き慣れた声。
でも僕の名前を呼ぶ声に、いつもは感じない苛立ちを覚えていた。
「セピア! なんでこんなことを!!」
僕が自然をセピアに合わせようと上げたその時、セピアの下に寝たばる2つの影が視線をよぎる。
「ラ、ック…」
「母上、父上……」
そこにはボロボロになった父上と母上の姿。
「ラック。君が出ていかなければこうはならなかったんだよ? というか…そこの女と関わりを持たなければ、僕たちの関係は崩れなかったんだ!!」
キッと後ろにいるミデルを睨めつけるセピアの目は僕の知っている優しい目とは違う、冷たくて鋭い目だった。
「でもね、ラック。君が出ていったあとは別に悪くはない生活だったよ。苦労もしないし、堂々と裏仕事もできる」
僕は奥歯を噛み締めた。セピアは裏社会のオーナー(最高幹部)だったのだ。僕は気づかなかった。ずっと一緒にいたのに。
「君の親は感が鈍いなぁ。全く僕のことを怪しまず僕と君を一緒にいさせたのだから。そして自分たちは痛い目を見る。本当に滑稽だよ」
高らかに笑うセピアはなにかに取り憑かれたようだった。でもいつも僕が見ていた、一緒にいたセピアが本当のセピアだったのかはわからない。これが本当のセピアなのかもしれない。
「何が目的だ」
「おぉっと、そんな怖い顔しないでよ、ラック。これでも1年前くらいはずっと一緒にいた仲でしょう?」
今のセピアには僕の言葉は届かないだろう、そう感じた。だから…
「ごめん、セピア。少し大人しくしてて」
僕はセピアに手をかざす。
「ちょっと、ちょっと〜。聞いてないよ? 君まで魔法を使えるようになっているなんて」
ニヤリと笑うセピアは信じられない行動を起こした。
「僕に攻撃したいんだろうけど、それは無理。だって被害に合うのは『実の親』だよ〜?」
セピアは僕の両親を盾にし、肉壁をつくっていた。
「あ、そっちも大丈夫そう?」
僕の後ろに声をかけるセピア。僕は嫌な予感がして振り向くとそこには捕らえらているミデル。そして、見覚えのある顔ぶれと知らないゴツい男たち。やはりアイツ等もセピアの手下か…!
「あ~ぁ。どうするラック。大切な人み~んな僕に捕まっちゃった」
楽しそうにしているセピア。僕はふぅ〜と深く息を吐く。
「諦める? 諦める?」
セピアの挑発には乗りたくないが、ここまでされたら流石に俺だって怒るぜ?
「悪ぃな、セピア。俺の逆鱗に触れちまった。手加減できねぇから覚悟しとけ。そんで、お前らも喧嘩を売っちゃいけねぇ奴に売っちまったなぁ~」
僕は後ろにいるセピアの下っ端達にニヤリと笑った。
その後、記憶が飛ぶ。記憶が飛ぶ前、後ろの方でも魔力が膨らむ感覚がした。
「ケホッ、ケホッ…」
流石に魔力を多く使いすぎたか。僕は咳き込む。自我は保っていられないし。やっぱり慣れないことはするもんじゃないなぁ…と感じる。
「ラクラ!!」
そう言って、近づく気配を感じる。ラクラなんて呼ぶのはミデルだけだ。少しだけソレと話してくるか。
僕は意識をもう一度、現実から外した。
『なんで来たんだよ』
ソレは言った。いつものように背中を丸めソレは後ろを向いている。
「今回は、僕のために頑張ってくれたから」
『ケッ。だから人間はキレーなんだよ』
ソレは言葉を投げるように言った。
「ありがとな」
僕がそう言うとソレは少しの間、黙っていた。
『お礼を言われる筋合いはねぇ。俺は悪魔だからなぁ』
ケケケッと笑うソレ…悪魔は、こっちを向かない。
「悪魔か」
『なんだ? 気づいてなかったのかよ』
「いや、なんとなく予想はしていた。でも悪魔としたら随分お人好しな悪魔だなぁ」
僕がそう言うと悪魔は、ケケケッと笑うのをやめ
『なんとでもいいやがれ』
ぶっきらぼうに言った。照れ隠しなんじゃないかって思う。でもあんまりいじめないでおこうと思った。
『はやくいけよ。俺との話なんかいつでもできる』
「あぁ…ありがとう」
そう言って意識を現実に戻そうとしたとき、悪魔が振り返った。その顔は僕と瓜二つの顔だった。
「あ! 起きた!!」
1番最初に見えたのはミデルの顔だった。
「流石、ヒーリング能力を持っているだけあるな」
ミデルの顔や手に目立った外傷はなし。
「違うよ、ラクラ。これはラクラが治してくれたんだよ? ラクラの両親も」
僕は口をぽかんと開けた。
「ラック!!」
部屋に飛び込んできて僕を抱きしめたのは母上だった。ミデルがいるのに恥ずかしい…。
「無事で良かった」
そう言ったのはいつもの服を身に纏う父上だった。
帰ってきたのだ、そう実感すると温かいものが頬を伝うのを感じる。それは涙だった。ふと、王宮の中に育てられているみかんの香りを風が運び、僕の鼻をくすぐる。
「ただいま」
僕は母に抱かれたまま言った。
みかんのふさ
目の前に一粒のみかんがある。
このみかんがあるから、私はみかんを食べられる。
この一粒のみかんがここへ来るまでに、
どんな旅をしてきたのだろう。
一粒の種がまかれ土の中から芽を出す。
雨や太陽、土の恵みを受けて、小さな芽が一本のみかんの木になるまで見守ってくれた人たち。
そしてみかんの木に実が成る。
木からもがれ出荷され、店頭に並び、たくさんの仲間の中から私の母に選ばれたみかん。
その中のたった一粒が今、目の前にある。
気の遠くなるような年月と、様々な人の手と
そして自然の恩恵
それらのつまったみかんが、私の目の前にある。
あんまり勿体ないので 思わずかしこまる。
ありがとう と思う。
いただきます と思う。
みかん
手軽に食べられる
ビタミンC
食後のデザートや
小腹が空いた時にも
ちょうどいい
いっぱい食べ過ぎると
手が黄色くなるけど
つい手が伸びちゃう