『バカみたい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題《バカみたい》
出せない手紙を握りしめ、通学路のポストをまた今日も通り過ぎる。
何度目かのため息と共に消えたのは、あの人への淡い恋心。
あの人の言葉を信じたのも私。
何度裏切られても信じ続けたのは私。
わかってる。なにがあっても好きな人を信じる私、という悲劇のヒロインを演じる姿に酔っていただけ。
向こうも私と同じ気持ちでいてくれていると盲目的になっていたせい。
でも、もうおしまい。
なにもかも失ってしまったことに気づいた瞬間、見ないふりをしていた事柄が容赦なく降りかかって、ひたすらツケを払っている。
夢から醒める瞬間って、あんなにも怖いのね。
安全なところで、滑稽だと嘲笑っているんでしょうね。捕食者のあなたは「勝ち組」だものね。
ほんとうに、バカみたい。
唇から血がにじむほど噛みしめても、壁を殴りつけても、ただ、私自身が痛いだけなのに。
バカみたい。――馬鹿野郎だ。
お題:バカみたい
【バカみたい】
※愚痴回です。ごめんなさい。フェイクはちゃんと入れます。
約5年前、小学生からの友人と絶交した。
私はやっと解放された…と同時に友人(仮)からの最後の言葉のせいで今でも心が苦しくなって消えたくなる。
きっかけは友人の身勝手な行動。言動。
相談した内容は無許可ですぐスクリーンショットして第三者に送って『〇〇はこう言ってるよ!』って言われる。
ちなみに、あなただから相談したんだけど。なんで他人に言うかな?私より頭いいのに何でもかんでも他人に言うの?大学行ったのにバカなの?っていうのは内緒。
同窓会メンバーに私居ないのに『四葉(仮名)行くよね?同窓会!四葉行かないなら私も行かない!話し相手いないもん!』っていう謎アピール。グループ内の会話のスクリーンショットももちろん送ってくる。『この子行くって!あの人たちは来るのかぁ…。』とか色々聞いてないこと言ってくる。
SNSで友人はよく『明日休みだから誰か遊ぼ!お願い!』って投稿していた。休みがあう人はコメントしていくのだが、誰もいなかったら私にlimeでメッセージを送ってくる。
『ねえーこの日休みなんだよねー。どうせ暇でしょ?遊びに行こうよ。行きたい場所あるからそこに行って解散しよ』
こんな感じのメッセージ。
ちなみに遊びに行くと、友人はずっとずっとずっとスマホいじり。そしてそれが終わったと思ったら『ごめんね〜今から彼ピに会いに行くからちょっとまってて〜』って言われて30分~1時間待たされることが多々ある。
彼氏が出来ると私との約束を勝手に無言で破って彼氏優先になる。もちろんメッセージなんか来ないし返ってもこない。
いつもどこで出会うのかわからない人と付き合ってる。
そんな人。
リアル優先ではなくてネット優先の人。
あと、学生の頃……いや、もういいや。
思い出したくもない。(自主規制)な人。
それと誰だって「この人には相談したいけどこの人にこの相談しても無意味だからしたくないな。」とか「この人に迷惑かけたくないから言いたくない。」って思うことあるでしょ?
そういうのわかんない奴なのよ。
『なんで相談してくれないの!?親友でしょ?相談もしてくれないなんて…あんたなんか大嫌い!』
なんて言われたこともある。(最初の方にも書いたけど、勝手に第三者に晒すから嫌なんだよね。)
まぁ、でも、その時の私は「大変だ。悪い事をした。すぐに相談しないとダメだ。」って思ってなんでもかんでも相談した。
……でもあの人は、何もしてくれない。相談聞いたら、定型文みたいに毎回毎回同じような返事をして、適当なアドバイスして、終わり。
まぁ、そんな感じの人。
めんどくさい。自己中心的な人。
でもいい所も……あった、よね?
なんで仲良くしてたんだろ。
ほんと、バカみたい。
私ね、最初はなんとなくの違和感だったの。「今日調子悪いのかな。」「忙しいのかな。」「疲れたって投稿してる…仕事頑張ってるんだもんね。この前の相談のことなんだけど言うのやめておこう。」とか色々と私なりに頑張って考えていた。
それでもあの人は『また相談してくれないの。私の事信用してないのかな……あっ!もしかして察しろってこと!?何様のつもり?ムカつく。』っていう投稿。
次第に嫌気がさして、すごくイライラしてきて、この人のことをSNSに投稿した。
「片思いの人を横取りしてきて、暇な時だけメッセージ送ってきて本当に迷惑。約束も破って何がしたいの?」
みたいな感じで。
そしたら即limeが来て(いつも忙しいから〜とか彼氏と通話してた〜とか言って全然メッセージこないのにね)
『あんたどういうつもり?私のどこが悪いの?言い分聞いてやるからさっさとメッセージ返しなさいよ。毎回毎回私に助けてくださいって言わないのってさ、私に察しろってことでしょ!?(以下略)』
っていう長文メッセージが来たので、本音で今までの気持ちも相談してもしなくても結局変わらないことも全部言った。
もちろん相談しなかった理由もした。仕事頑張ってるのわかってるから疲れてるみたいだから相談しなかったっていう話もした。
結果?
無視されましたよ。話し合いで解決するような内容なのにね。所詮私とあの人はこういう関係っていうことなのよね。
それにSNSでは『私が悪いって言ってればいいよ。私悪くないもん。あいつのこと大嫌い。』ですって。
私と喧嘩別れしてからのあの人は、ほとんど投稿しなくなった。(毎日投稿してたのにね。)
何故かはわからないけど。
まあ、もうどうでもいいや。
以上。
ただちょっとした相談しなかっただけで、何故か憎まれて恨まれるようになった人のお話でした。
不快な思いをした方、本当にごめんなさい。
同じような経験した!って方、どんなに苦しくなっても消えたくなっても一緒に生きましょうね。
あの人たちは、性格なのかなんなのかわからないけど…周りがしっかりとちゃんと言わないと治らないからね。
あの人は、治りそうにないけど。
ここまで読んでくださった方。
本当に、本当にありがとうございました。
当たり前のことを今更ながら、人の影を踏むこともできず、あまりにわたしは言葉を知らない。世に美しいと言われる文章すらむずかしく思う、大人はとうに捕まえているうさぎを未だ追いかける身体。
なんという、呆れたひとだろう。かしこくなりたい、かしこくなりたい、と思ううちはずっと愚かなのだ。
本日のお題『バカみたい』
わたしだけ、こんなに振り回されて
わたしだけ、こんなに悲しくて
わたしだけ、こんなに大好きで
離れられないなんて
(バカみたい)
バカみたい
この世は、金よりもフォロワーなのではないかとつくづく思う。
認めてもらいたい、自分には価値があると知ってほしい。
そんな、承認欲求を満たしたいという思いが
どんどん強くなっているような気がする。
まあ、フォロワーに比例して、お金が増えることはあるが、
収入については個人情報であり、
一般人の俺からすれば、
インフルエンサーを知る方法の大半が
フォロワー、いいね数である。
それが、自分のキャリア、
求められているものの確立に繋がると思う。
流行に合わせ、自分の個性を無駄にする、
そんな世の中がバカみたいだ。
自分の個性を知ってもらい、
共感、または、価値のあるものだと理解されることで
自信が持てると、俺は思うので、
[発信していくことをするやつは強い]
そう思う。
やりたいことを、周りを気にして素直にできず、
方針を乗っ取られ、集団の思うがままに流される。
それで本当にいいのか?と、
今を生きる俺と、君に、問いかける。
今日のバイト、朝と夕方2回出勤した。店長が頭抱えてたから ついシフト入っちゃったけど 何でこんなことしたんだろう。ほんとバカ。
私が片想いしてた時は辛かったな。
相手の言動の一挙一動に期待したり落ち込んだり。
今思い返してもバカみたいだった。
相手にコントロールされているみたいでそれも気に入らなくて恨み節も混ざっちゃったりして。
でも、ひょんなことから彼との仲が縮まって、私の想いがバカみたいじゃなくなったのは、例えられないぐらい嬉しかった。
今でも、嬉しいのよ?
星と植物を愛してる、誰よりも大好きな貴方へ。
物語の中の物語を読んで、
「私にはこんなことないんだろうなぁ」
って嘆くけど
結局のところ
イケメンや美女と恋をすることになる主人公がいる。
その主人公たちの話を読んで
「そんな気配ないけど、もしかしたら私も_ 」
…なんて、淡い期待をする私。
いつまでそんな夢見てるつもり?
ほんと、バカみたい。
【バカみたい】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
3/22 PM 0:10
「そういえば、野球の試合を見てると、
時々指をキツネの形にしてることが
あるけど、あれってなんのサインなの?」
「……2アウトってことじゃないかな」
「――なるほど! 謎が解決したよ!
ありがとう、真夜(よる)くん」
「WBCの優勝が決まって、日本中が
沸いてるっていうのに、何を今更
バカみたいなこと聞いてるのよ……」
「大丈夫だよ~、宵ちゃん!
ペッパーミルパフォーマンスは
今回ちゃんと覚えたから!」
=====================
創作なのに、ちょいちょい現実と
リンクしがち。
WBC優勝おめでとうございます。
仕事で決勝戦は見られなかったけど!
次の休みの日にのんびり見ようと
思います。結果が分かってるって安心。
何日も寝れない日が続いた。
寝なければと目を瞑ると、彼が瞼の裏に浮かんでくる。怒りの様な喜びの様な、色んな感情に振り回されて、歪んでいるような。
それが最後に見た彼の表情だった。
それからどうなったか、記憶の無いまま「居なくなった」と彼の事をよく知る人から伝えられて、寂しくて悲しい、なんて良く分からず、ただ静かに状況を飲み込む。
最後に会う数週間前、彼から別れ話を切り出されて、戸惑ったが一瞬で「そうですか」と、ただその言葉を受け入れた。
特に何も言わず、表情一つ変えなかった彼が、私を殺す時にだけ複雑に歪んだのが心残りで苦しくなる。
浸かっていた顔を水から出す。
温水のプールなのに、体中を包む水は冷たく感じる。ただそれもどうでも良くなってきて、水底に自分をまた沈めた。
重力に逆らって空を見ているよりも、水の中でただ光の揺らめきを見ている方が楽しい。
寂しくて悲しい事も、その感情すら忘れられるような気がして、水の泡が光に吸い込まれるのを見つめる。
手を伸ばしてそれを掴もうとしたが、すり抜けて消えてしまい、何も残らなかった。
結局愛しているかどうか分からずに、関係は終わってしまって、私の愛も嘘だらけだったんだなと嫌になる。
彼に対して何を思っているのか分からなくて、好きでもないのに「愛している」と言われて、愛なら分かると手を取ったのに、最後には一人で何もせず沈んでいる。
残ったのは何色にも光ることの出来ない、透明な自分だけで、彼の最後の表情の意味すら感じ取る事が出来なかった。
息が続かなくなってきたけれど、このまま沈んでいけたら苦しさも忘れるだろうか。既に私は死んでいるのかもしれないと思うと、もうどうでも良かった。
彼を愛していると、私みたいなやつでも、
誰かを愛せると勘違いをして、
自分だけ浮かれて、本当に、
バカみたいじゃないか
あんなにも共にやってきたのに
いきなり居なくなるなんて
同じ道を進んできたのに
この先も共に進んでいくものだと思っていた
共に作り上げていき
楽しい時も苦しい時も乗り越えて
ここまで来たのに
いきなり別々の道を歩むなんて
本当は分かっていた
いつか別れが来ることを
君はどんどん進み続ける人だから
先に行ってしまうんだね
でも君は先で待ってるんだろう
だから必ず追いついて
また共に歩んで行こう
待っていろよ友よ
いつかバカみたいって笑い合おう
バカみたい
バカみたいって
誰に言われたっていいの
私の気持ちは私のものだ
失敗だらけだ。みっともない。
的から外れたボールの後が壁を汚している。コンクリートに落ちた汗の染みが夥しい。照りつける太陽が、体から水分を搾り取っていく。
ふらふらと日陰に置いた飲み物に寄っていって、拾い上げようとしたところでペットボトルを蹴って倒してしまった。緩くなっていた蓋が外れて、中身が地面に溢れ広がった。
「ああ〜……」
声だけ出ても体は動かず。追いかける気力がない。
まぬけな声をあげながらダークグレーの水たまりを眺めていると、背後から声がかかった。
「大丈夫か」
振り返れば彼がいる。逆光になって顔は見えなかったが優しい口元をしていた。手には私が投げたボールを拾い集めたカゴが握られていた。
彼がそうして集めたということは、まだ今日の練習は終わらないのだろう。
眩しい太陽から目を背ける。
もうやめよう。向いてない。ふらふらだし。
そう言いたくても、彼が脇に挟んだボトルを差し出して、「もう一セット頑張ろう」と言えば私は受け取ってしまう。言われた通りもう一セット頑張ってしまう。
バカみたいだと思う。
でも、こんなにふらふらでも、的に当たらなくても、それでも私はやれると彼は笑顔で言いきってくれた。
そうやってバカみたいに信じきってくれるから、私もバカみたいな努力をし続けていた。
バカみたい
ほんとに、本当にバカみたい。なんであんたが死ぬの? どうして?
どうして私を助けたの? あんなに冷たくしていたのに。あんなに突き放したのに。
…私はあなたのことが嫌いだったはずなのに。あなたに対してこんなに気持ちがほだされるなんて、バカみたい。
こんな気持を私の中にとどめておくなんて無理よ。
私はゴメンなのよ。
だから、今から相当馬鹿なことをするわ。
「スゥ…」
バカみたい。本当に、バカみたい。私、本当にここから飛び降りるのよね?
ここは高層ビルの屋上だ。私はあいつが死んでしばらく経った後、ある噂を耳にした。
『あそこにある、ここらへんで一番大きなビルには時を戻せる神様が小さな神社に祀られている。そこで屋上から飛び降りれば、時を戻してくれる』
という噂だった。
もちろん最初は疑った。だってあそこに神社なんてものはなかったはずなんだから。でも、少しだけ気になって見に行った。
そしたら、本当にあったんだ。神社が、そこにあるはずのない神社が。
そこで完全な疑いから、半信半疑までランクが上がった。
でも、もう我慢が出来なかった。あいつが勝手にかばったくせして、私にとんでもない置き土産を遺していったんだ。あいつは本当にバカだ。
だから、もう楽になりたかったんだ。でも、私は死ぬ気なんてひとつもない。だから、ここから飛ぶのも死ぬためなんかじゃない。
覚悟を、決めるんだ。
…行ける、行くんだ。
頼んだよ、神様。
トンッ
私はふわりと飛ぶように、ビルから飛び降りた。
私は目が覚めるとあいつの横にいた。
日の位置や周りの様子を見るに、今は下校中のようだ。
ここなら、まだあの時までは時間があるな…。あれが起きた原因は私が横断歩道でカバンから小物を落としてしまったのが原因だった。
あの時はたまたまカバンを開けっぱなしにしてしまっていた。今回はきちんと閉めなければ。大丈夫だ、何も問題はない。あの横断歩道を渡りきればもう問題はないはずだから。
「…大丈夫? ぼーっとしているみたいだけど…。調子悪い?」
「ッ…。別に、なにもない」
「そう? ならいいけど」
どうやらかなりの時間考え込んでいたらしく、あいつから心配の声がかかった。
「そうだ、次に渡る交差点のことだが…。お前はなにがあっても気にせずに渡れ。いいな」
まあ、こんなことを言ってもあいつが言うとおりに動いてくれるとはあまり思わないが、一応言っておく。
「え? うん。でもなんで?」
「なんでもない。別に普通に渡ればいいだけのことだ」
「そ、そっか。わかったよ」
そこからしばらく沈黙が続いている。
ドッドッドッ
私は柄にもなく緊張していた。それはそうだろう。一人の命が私の手にかかっているのだから。
正直バカみたいだ。あいつを助けようとしていることも、あいつを助けようとしてあのビルから飛び降りたことも、実際に過去に戻っていることも。
でも、もうそんなことを考えていてもしょうがない。
…もう大通りに出てしまった。もう、横断歩道はすぐそこだった。
横断歩道までたどり着いた。今は赤信号だ。この信号が赤に変われば…。
ピッポ ピピポ ピッポ ピピポ
信号が青に変わった。二人で歩き出す。
大丈夫だ、もう半分は渡り終わった。あと、あと少しだ。よし、もうこのまま行けば無事に着ける…。
どてっ
後ろで誰かが転んでいる音が聞こえた。
思わず後ろを振り向く。そこには横断歩道でコケてしまい泣きじゃくっている子供。
そして横目に見えるのは、猛スピードで子供に向かってきているトラック。
「おい、お前は…」
私があいつを止める前にあいつは子供へと向かっていた。
あいつは子供の元へと向かい、そのまま私たちが先程までいた方に戻ろうとしている…が、トラックはもうすぐそこまで来ていた。
あいつのみだったら、きっと助かる。でも、子供を抱えながらは無理だ。
私は、気がついたら走り出していた。
ドゴッ! …ドサッ
二つの衝撃音があたりに響いた。
ああ、私は死ぬ気なんてものはなかったのに。
気がついたら、私は走り出していた。あいつの背中を突き放していた。気がついたら…、私はトラックに跳ねられていた。
あいつがこちらへ走って来ているのがわかる。大粒の涙をボロボロと流しながら。野次馬の一人が電話しているのが見えた。おそらく救急車を呼んでいるのだろう。
私は思っていたより冷静だった。
「…ほん、とう、に、バカ、み、たい」
「ねえ、なんで? なんで君が轢かれているの? ねえ、どうして? …死なないでよ」
あいつは轢かれて醜い様になっているだろう私を見つめてそういう。
弱々しく震えていた。
「お願いだ、から、お前、は、私み、たい、に、は、なる、なよ。い、き、てく、れ」
「ねえ、最期みたいなこと言うのやめてよ! 死なないでしょ? ねぇ、死なないでしょ?」
こんなことをいうのはバカバカしいとは思っていた。でも、言わずにはいられなかった。私が気づくよりももっと前から
「わた、しは、あん、た、が、すき、だった…み、たい、だ」
「…え?」
ああ、本当に柄じゃない。私がこんなことをするなんて。私が他人にこんな感情を抱くなんて。私が他人のためにこんなことをするなんて。
本当に、ほんっとうに…
バカみたいだ。
ほんとうに、君はお馬鹿な人だよ。…大丈夫、君は僕が助けるから。
片思いだった人を追いかけて
届かないから背伸びをして
本当の自分を隠して
接してた
嫌われたくなかったから
後からわかった
自分がその人に執着してたこと
バカみたいだと笑ってくれよ
背伸びまでして追いかけて
大好きだった人を失ってしまった私を
執着だって本当は気づいてたのに
気付かないふりして必死でしがみついてた私を
だいたい自分で自分のことを
『バカみたい』
って思ってることが多いかな。
それだけ浅はかな行動を
衝動的にとっている
ってことなんだろうけれども
その度に反省しつつも
一向に良くなる気配なし。
周りがいいひと過ぎて
支えてくれているから
私は私でも成り立っている。
なんて幸せ者のバカなんだ!
ある男子が、自分のことを度々見てるような気がして
それで少し気になってきて、
結果的に好きになってしまったことがある
実際には見てたわけじゃなかったのに
なんて自意識過剰なんだろう
バカみたいー!
でも誰かを好きになってたあの頃楽しかったな!
バカみたい
「バカみたい、また泣いてる」
彼女が子供の時、一度だけキスをしてあげた男の子がいた。
足が遅くて頭が悪くて貧乏な家の子で、いつもいじめられて泣いていた。ある時いじめられて怪我をしながらうずくまっているその男の子があまりに目に余ったので、彼女は涙で濡れるその頬にそっとキスをした。
驚いて涙が止まった男の子の明るいブラウンの瞳を、彼女は綺麗だと思った。
「ぼ、僕と付き合ってください!」
跪いて小さな花束を震える手で差し出す男の瞳は子供の頃と変わらない明るいブラウンだ。緊張を漂わせるその瞳に見つめられて彼女はため息をついた。
「バカみたい、アンタと付き合うわけないでしょ」
そう言われてがっくりと肩を落とす男に背を向け、彼女は歩き出した。
彼女は駆け出しのモデルであり、街の酒場で美声を披露する歌手であり、その美貌で何人もの男をパトロンに持つ娼婦だった。彼女は金と力のある男にしか振り返らない。それ故に金をかけて自分を磨くことも怠らない。金も力もない平凡な男の相手をしている暇はないのだ。
彼女は満たされていて幸福だった。
若く美しくスタイルも良い。彼女の為に金を出す男はいくらでも居た。特定の相手など必要ない、愛だの恋だのと時間を使うのはバカなことだと思っていた。
戦争が始まるまでは。
モデルの仕事は激減し、歌を披露していた酒場は休業となった。彼女を支援してくれた金のある男たちは国内から逃げていった。
彼女が何年も努力してようやく作り上げた、金に恵まれ人に求められる生活は、たった数ヶ月の間に崩れ去っていた。
彼女は貯金はほとんどしておらず、自らを美しく魅せるために収入の殆どを費やしていた為に国外に逃れる事もできず途方に暮れた。
(バカみたい…私は結局何も持ってなかったんだ)
自暴自棄になりかけていたある日、あの男はまた彼女に声をかけた。
「あの、これが最後かもしれません…どうか受け取って下さい」
手の中には以前よりも小さな花束があった。この混乱の中、よく手に入れたものだと彼女は初めて男に感心した。
「…バカみたい、あなたのお母さんにあげたら?」
小さな町だ。噂もすぐに耳に入る。一人息子であるこの男が出兵することになり悲しみのあまりに寝込んだという話も。
彼女の言葉に小さな花束を持つ男の腕がだらりと落ちる。その哀れな姿に眉を寄せ、ため息をついて彼女は男の頬にキスをした。
「帰ってきたら私の顔が隠れるくらい大きな花束を持ってきて、そしたら受け取ってあげる」
男は耳まで赤くし、明るいブラウンの瞳を輝かせると満面の笑顔で大きく頷いたのだった。
「僕と付き合ってください」
「今さらこんなしわくちゃのおばあちゃんに」
彼女の顔が隠れるほど大きな花束を差し出したのは、穏やかな瞳の老人だった。その瞳の色は子供の頃から変わらない、綺麗な明るいブラウンだ。
老人は杖で体を支えながら、跪いて満面の笑顔を五十年連れ添った妻へ向けた。
「俺たちの結婚記念日だからね」
「…バカみたい」
そう言いながら、彼女は笑顔で彼の頬にキスをした。
バカみたい
とある人物が最後に発した言葉だった。
誰に向けた言葉ではない。
虚空を見つめる眼は、嘆きと絶望で塗りかためられていた。
だから、誰も慰めの言葉をかけることはなく、視線を僅かに下へと向け、その「うらみ」の言霊を背負っていた。
時代に生き、移ろい行く世に信念や尊厳を殺された人物の言葉は、ありきたりながらも重く、残酷なものであった。
バカみたい
バカみたい
本当にバカみたい