『バレンタイン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「うっわ! それ、めっちゃおもいろやん。ほんで?」
「それ以上のことなんてなんもないよ。通学路にある竹藪にチョコ捨てられて、そんで終わり」
「なあ、ガチなんか? ほんまにガチなんかそれ。あいつ最低やん。顔面バチクソに叩いたろかな」
「いろいろしんどいことになるから、それだけは絶対にやめて」
「とりあえず、捨てられたチョコは俺が見つけたるやん」
「いいよ、やめて。そんなことしなくていい。大体、見つけてどうするの」
「決まってるやん、そんなん。食べ物なんから食うやろ。普通に」
「打ち捨てられたやつ食べるとか不衛生の極みだから。下手しなくてもワンチャン死ぬよ」
「全然平気よ。俺、気にせんもんそういうの。全然食うし」
「危機感どうした? お母さんのお腹の中に忘れてきたん? ……てかもうないから」
「なんで? あるかもしれんやん」
「ない。ないんだよ。回収しようと思って夜中に見に行ったら、なんかゴソゴソ音してスマホのライト向けたら、わけわかんねえくらいでっけえ犬がチョコ貪ってたからもうない」
「……ッ、ふふふふ、ごめ、あははははは!!!」
「は? 笑わないって言ったのになんで笑ってんの? 今日を命日にしたいってこと? いいよ、わかった。今からあんたの頭をそこの鉄バケツで叩いて、花壇に埋める」
「ごめんごめん。ほんまごめん。そんな怒んなて。てかさ、それやったらその犬ごと俺がチョコ食うたるやん」
「なんで? なんでそうなるの? そこまでしてチョコ食べたいなら、もう買いなよ。お金やるから買って食べな」
「いや、それはあかん。バレンタインデーに自分でチョコ買うんはセンシティブすぎるっちゅーのもあるけど、そこはさぁ、お前の作ったやつやないと意味ないんよ」
「そんなの知らないし、別にあんた宛にチョコ作ったわけじゃなんいだけど」
「俺宛ちゃうくても構わへんよ。どんな形でもあっても、お前のチョコ食えるんやったら、俺はめっちゃ幸せやねん」
「なんかさ」
「おん?」
「割とグロいこと言ってんの気づいてる?」
一頻り笑ったあとマックに寄り道して「バッドバレンタイン乾杯!」とかわけわかんない掛け声と共に三角チョコパイを食べた放課後を馬鹿みたいにいつまでも憶えてる。
いつか忘れてしまったとしても、死ぬ間際に思い出す気がする。
おじいちゃんが言ってた。薄れてしまった何気ない日々が、ふわっと色鮮やかに蘇るって。それは人生で最も豊かな時間で、最も大切な記憶らしい。
あいつが今でも自分の隣に居てくれたらよかったけど、そういうのって概ね叶わない。
どうしてこうなってしまったんだろう。たぶん、自分が悪い。
ゆったりした心地良い関係性に永遠なんてない。わかってたはずなのに、甘え続けたから崩壊した。
どれだけ後悔を重ねても、完結を決定として過ぎてしまった結果は覆せない。
いつからか、あいつ今なにしてんのかなって思うことしかできなくなってた。
今はもうあの日に食べた三角チョコパイの味も、あいつの顔も、ぼやけてる。
頭の中に居座ってるくせに、ぼやけるなんて卑怯だろって思いながら、煙草の煙を吐き出す。
夜の闇に燻る煙草の煙は、記憶がぼやけていく様と似ている気がする。
きっとハッピーで溢れているだろう日に、こんなにも切ない気持ちになるなんてさっていう感傷は過ぎていく今日と共に薄れていく。バイバイ、バッドバレンタイン。
【バレンタイン】
2月14日。
この日になると女子が揃って落ち着かない。かくいう私も、先生に見つからないように好きな男子にチョコをプレゼントする機会を伺っていた。
放課後、チョコを渡し終えた女子は落ち着きを取り戻し、かえって男子が落ち着きを無くす。
好きな人に堂々とプレゼントができるというこのイベントが楽しみだ。
友達に渡すチョコを手作り。あの子に渡すチョコは、他とは違う特別デザイン。そんなことを考えながら、当日を待ち侘びる。
先生に見つかるかもしれないというハラハラ感も、いつもの日常と違う刺激になる。
渡したあとの返事は貰えるのかな?
そんなことを考えながら過ごしたその日の夜は、少し興奮して眠れなくなる。
買ったチョコを自分で食べた
大丈夫。そんなの、
明日にはまた普通のことになる。
【バレンタイン】
もう10数年。バレンタインはわたしの戦。
彼氏の分は、私のお裾分けね。
私は同性愛者
こんな私がチョコを渡してもいいのかな、
貴方は、優しいから受け取ってくれるだろうけど
本命なんて思わないよね
友チョコじゃないんだよ?
こんな私が好きになっちゃってごめんね
バレンタイデーだからって、気張ってデパートで高くてちっちゃい箱のチョコレートを買って、バイト上がりにうちとは反対方向の池上線に一緒に乗った。
五反田の駅のホームで、「こういう日にこういうものをこうやって渡すのは、そういうことだから」って言いながら、「だから嫌なんだよ」って言うひとに押し付けた。
若かった。好きだった。大好きすぎて、気持ちが伝わりすぎてた。10歳以上も年上でいまだにバイト暮らしのひとには、きっと眩しかった。重すぎた。全部わかってた。だから、安心してた。叶わないことも折込ずみで。
何度も「そういうことだから」と「わかってるよ」を繰り返して、ふたりとも居心地がよかったんだと思う。
一粒、500円くらいするチョコレート。「そういえば、うまかった」って言った声がまだ聞こえる。
#バレンタイン
初めて使ったリップカラーは、ピーチピンクだった。
初めて使った香水は、甘い青りんごの香りがした。
…ラッピングって難しい。
文字付きのリボンを買ったのは失敗だった。
あのときチョコを渡した人とは違う人と一緒になって。
今は、娘が名前の響きで決めたであろう「フォンダン・ショコラ」と格闘する姿を後ろから眺めている。
題目「バレンタイン」
「バレンタインは当日夜が狙い目なんだよ。百貨店の特設コーナーのチョコが割引される。」
スーツ姿の貴方に手を引かれて、初めて百貨店に入った。
こんな事になるとは思って無くて、モッズコートにジーンズだった自分は、店員さんにどう見られるかドキドキした。
貴方は堂々としていたけど、少しだけ手が汗ばんでた。
どれがいい?と突然訊かれて、咄嗟に買ってもらってしまった惑星を模したチョコレートは、なんだか食べるのが勿体なかったけど、美味しくてちゃんと全部食べたんだった。
たしか帰りがけに、自分は子豚の形のチョコレートを渡したんだっけな。
あれは貴方なりのデートだったのかな、と、今でもこの時期になると思い出す。
題目「バレンタイン」
バレンタイン
へえ、チョコもらいたいの?
無理だね、ボスはそんなこと考えちゃいない
ずっと好きな人のことでも考えてんじゃない?
それともあの執事となんかしてるか…。
はあ、とにかく今年もチョコはもらえそうにないな
ん?部屋の前にチョコが…!?
はあ…新手の心臓に悪いドッキリだな
なんでチョコってわかるんだよ?
…お、お前が用意したって!?
はあ…サービス精神止めろよ
どきどきするだろ…!
バレンタイン
今年のバレンタインはお父さんとお兄ちゃんにあげる!他にあげる人がいないから今日はお兄ちゃんだけにあげてお父さんは単身赴任でいないから帰ってきた時にあげようかな
心の奥底からの贈り物。
その中には、チョコレートでも、ミルクでも無い。
愛情という名のスパイスがある。
それに気づいた時、
祝福は、訪れる
貴女の気持ちはたくさん伝わったの。
私があとは決めるだけ。
【バレンタイン】
この時期のチョココーナーは面白い。
主婦、学生、会社員、おばあちゃんなど、あらゆる女性が悩みながらチョコを選んでいる。
この時期にしかみないチョコ製造メーカーであるが、こんなにあるんだなと驚く。
フランスやドイツなどの国名が出るほど、すごいんだろうかと思わざるを得ない。
貰われた人はそんなこと気にも留めないのだろうだろうが。
バレンタインはいつから始まったのだろうか。
女性が男性にチョコを渡す。
企業絡みとしか思えないが、このイベントは今では学生を中心に喜ばしい結果をもたらしている。
悲鳴をあげる人も多いだろうが、私は純粋にこのイベントを楽しんでいる。
あげる人も貰う人もニヤニヤしている。
女子同士であげあったり、家族でチョコを食べたり。
さも気にしてませんよ、と強がっているあいつはきっと誰からも貰えないのだ。
チョコを渡すなんて変なイベントである。
相手に気持ちを伝えるという名目だが、気持ちはいつでも伝えられるであろう。
その口火を切るのがこのイベントなのだ。
誰かのためにチョコを買って(作って)渡すってのが粋なのだ。
この瞬間の感情は、次のバレンタインまで続くはずはないのだから今渡しておくべきだ。
それに比べてホワイトデーの取って付けた感は何なのだろうか。
3月の何がホワイトなのか。う~む不思議である。
毎年、浮足立ってたな。前年の惨敗も忘れて。
しなくてもいい期待を胸に、万が一の逆転ホームランを信じて。
そして踏みにじられるプライド。人生の厳しさを噛みしめる。
良くないよ、あーゆーイベント。(一部の)青少年の健全たる成長を妨げる。
バレンタインさんが尽力したのは、結ばれてるカップルの結婚を成就させることで、
別に「ねるとん」とか「あいのり」とか「テラスハウス」とか「バチェラー」を流行らせた訳じゃない。
なんでそれがいつの間にか、恋愛の成就に置き換えられたのか。
まあ、バレンタインさんには会ったこともないから、ホントのところは知らんけど。
それでも、いくつかは貰えてたんだっけな。
あれが、異性を恋愛対象として意識した始まりだったのかもしれない。
自分達とはまったく別の、何だかドキドキさせられる存在。
貰ったチョコレートが嬉しくて、机の引き出しにテトリスみたいに並べて、引き出しを開けるたびにニヤついてた。
ゲームを始めたばっかのちっちゃなテトリスだったけど。
まあ今は、家族にもちゃんと貰えないし、職場ではそんな日であることを微塵たりとも思い出さなかった。
でもそれは、血糖値高めの自分には願ったりなことだし、すでにこうして結婚を成就させているのは、バレンタインさんのご利益なのかもしれない。
…まあそれはさておき、今頃、今日一日を思い出して、ほくそ笑んでる人、悔し涙の人、いろいろなんだろうな。
明日は明日の風が吹くから、調子に乗らず落ち込まず、気を取り直して明日を迎えよう。
今日はドキドキしても、明日はフツーの平日なのです。
忙しい貴方には渡す暇なんてないわ
言い訳を並べる臆病者は、
少しだけ前進した今年だって甘い想いを持て余してる
バレンタインというけれど あまり私には興味がない話だと思いますというのも 独り身であまり売れた経験がないので 義理チョコ しかもらったことがありません 風俗でも義理チョコ 飲み屋でも義理チョコ 昔の嫁はんからも義理チョコ 義理チョコ 義理チョコ 本命チョコ なんか もらったことないわ
バレンタイン
あなたに渡せなかったこと、
いつか思いだして後悔するだろうか
皆でわいわいと手作りお菓子を自慢し合うようなあの空気は大嫌いなのに
あなたに渡したかったものは、私の臆病のせいで、もう渡すことは出来ない
あなたに笑ってほしかった ただそれだけ
我が家にはオーブンがない。
今でこそオーブンなしのレシピが世にあふれているが、少し前まではお菓子作りと言えばオーブンが必須で作りたくとも作れず悔しかったものだ。
そんな中、恐ろしく簡単で恐ろしく美味しく出来るお菓子のレシピがあった。生チョコである。
溶かした板チョコを生クリームと混ぜて冷やし固めるだけ。あとは四角く切ってココアパウダーをまぶしてもよし、丸めてチョコをかけてトリュフにしてもよし、タルト生地に流し込むもよし。
今日はバレンタインデーだ。きっとどこかでは甘酸っぱい青春が繰り広げられているのだろうと思いながら、市販のキャンディ包みのチョコを口に含む。あげる人がいなければ作りがいもないのだ。
『バレンタイン』
彼女は綺麗なリボンが結んである、
可愛いピンク色の箱を取り出して
「はい!友チョコ!」
彼女は私に笑顔で渡してくれた。
私は笑顔で「ありがとう!」と答えた
彼女は他の友達にも渡しに行く。
私は友チョコなんて欲しくない。
私は友達でいたくない、
「いつか私に本命チョコをくれる日がくるのかな」
なんて淡い期待を
甘いチョコに溶かしながら喉を通した。
甘くて苦いこの恋はいつか実るのかな
#バレンタイン
愛おしい人に愛を伝える日。
昔は友チョコ、義理チョコ、世話チョコなんて色々ばら蒔いていたけど、今は一つだけ。
――愛おしいあなた。また1年、よろしくね。
バレンタイン
渡したことがあるのは、
弟だけ。
好きな人も
いないし、
本命チョコを
渡したことなんてないな。
お父さんも
バレンタインを
意識する年頃には
離婚しちゃってるし、
今更になって
そういえば
渡したこと無かったなって
気づいた。
なんだかんだ
私にとっては、
バレンタインデーって
普通の日と一緒。