『冬のはじまり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題を見て、J-POPの歌詞を思い出すことがけっこうある
冬のはじまりと言えば、ずばりマッキーの「冬がはじまるよ」
幸せそうなカップルを歌った曲は、率直に言ってうらやましいw
あーあ、今年もまた孤独な冬がやって来る…
【冬のはじまり】
寒さの匂いがする。
そう言っても、誰も信じてくれない。シズクは目を閉じて鼻をひくつかせた。ついこの間まで、後輩のレイくんに誘われてファッションショーに参加し、忙しくしていたのが嘘みたいだ。初めて、誰かの依頼でイラストを描き、キャッチコピーを書いた。シズクがデザインしたポスターが何枚も校内の至る所に貼られた。
一つ年下の、男の子だか女の子だか分からない後輩。ただそう思っていたのに、彼の内側にあんな情熱が秘められていたとは驚きだった。
あの、妥協を許さない目。言葉はキツくなかったが、いつでもピリリとした緊張感が漂っていた。
思わず背筋をしゃんと伸ばし、指先を空中に漂わせた。
空気が冷たい。あの張り詰めた空気は、冬の空気に似ている。
「何してるの?」
穏やかな低い声に振り向くと、そこにシュンが立っていた。ベンチに座っているシズクを覆い隠すような影ができている。
「あ、特に何も。寒くなってきたな、と思って」
ほんの少し、シズクの声がうわずった。
シュンが来た途端、気温が1℃くらい上がったんじゃないだろうか。
(さすがにそんなわけないか)
シズクは立ち上がってシュンに微笑みかけた。女子生徒の中では長身な方のシズクでも、シュンと並ぶと小柄に見える。
「じゃ、行こっか」
シュンがさっと右手を差し出した。シズクも手を出してそれをにぎる。
じんわりと、胸に暖かいものが広がる。
冬が、はじまる。
消えていく
あんなに鳴いていたのに
あんなに飛び跳ねていたのに
まるで家に帰るように
備えて、じっとまっている
あの匂いもあの音も美しい白がさらっていった。
あぁ、冬がはじまる
#冬のはじまり
こたつを出して、みかんを食べて、冬毛になった猫を抱っこして。
さぁ、寒い寒い冬の始まりだ。
雪がポツリポツリと降り始めたとき冬の始まりを感じる。
冬のはじまり
雪が降ってからが本番
いつから降り積るかが問題
凍るし滑る道には注意
雪が降る地域なら慣れてはいるはず
それでも転ぶこともあるのが冬
雪が降らないと
畑とか田んぼなど困るらしい
どちらにしても困る冬
雪が降る様は綺麗だし雨よりは楽
ただし積もらなければね
何か起これば平常より面倒が増えるけど
面倒さから楽しめる風物もある
冬のはじまりより
いつ雪が降り積もるのか
それが毎年の問題です
なすがままに、なされるしかない
対策は出来ても、天候には敵いません
#冬のはじまり
時が駆け足で過ぎてゆく
言葉が白く風に舞う
ほんの少しキミとの距離が
近づいただけでも
嬉しさが込み上げて来る
街には大きなもみの木が
綺麗に飾られて
遠くからの鈴の音が近づいて来るのを
待ってる
少しだけ冷えてきた指先
キミのポケットの中
キミの右手に誘われて…
今年も六花の舞う季節を二人
優しさを分け合いながら
凍てつく星あかり見つめてる
「やはり冬のはじまりは寂しい」
君はそう言って、ホットコーヒーに角砂糖を落とした。
かっこつけて丸眼鏡。
黒いコートのポケットには古い文庫本とペンと手帳。
昭和の文学青年気取りでひなびた喫茶店に入り浸っている。
「ブラックは飲めないのか?」
「いずれ飲めるようになるさ」
レポートの締め切りが近いのに、いつも僕を付き合わせる。
そりゃあ嫌みの一つも言ってやりたくなる。
僕の精一杯の毒を涼しい顔で受け流し、君はまた角砂糖をぽちゃんと追加した。
「寂しいなら友だちでも作ればいいじゃないか」
「いらないよ。やつら、どうせ退屈な話しかできないんだから」
「失礼なやつだな」
自分は他の人間とは違うとでも言いたいのか。
昔から君はそういう冷ややかな眼差しで世間を見つめている。
いつまでも10代の少年のようなとげとげしさと鮮やかさで夢を語る。
なぜか僕だけに寡黙な口を開く君が、僕はけっこう好きだ。
「僕の貴重な時間分、奢れよ。早くレポート書かなくちゃいけないんだから」
「冬は金運が下がるから無理だ」
「バイト辞めたからだろ」
ため息をついて、僕は伝票を掴んだ。
冬のはじまりを感じる頃には、すっかり日も短くなっている。日照時間が短く、寒さで家に籠りがちな冬は、心が沈みやすいそうだ。もし今、気分が落ち込んでいるなら、冬のせいで必要以上にふさぎ込んでしまっているかもしれない。いつもより気分転換を心掛けると良いだろう。
氷点下ならもう冬だ。
分かれ目が分からん
【冬のはじまり】60 kogi
冬のはじまり
寒い。寒い。
白湯を飲んで、ため息。
うちにはストーブもこたつもない。
毛布にくるまってなんとか寒さをしのぐ。
寒い。寒いよ。
パジャマに着替えたらもう何もできない。
予定したことができなくなってからがスタートライン。冬の到来だ。
お湯を沸かして、加湿器をつけて、温かい部屋着を来て、予定を決めてから行動する。
頑張れ私。
布団の中が温かく感じて
街は12月の彩りを
寒い中にある温もり
今年もやって来る
幸せそうな人達が通り過ぎる
僕は僕の嬉しいこと 叶えるため
走って行くよ
暗い道を照らすのは
街灯だけじゃない
暖かい気持ちにさせてくれる
人がいるから
今日も美味しい食事と
楽しいひとときを
過ごしましょう
「冬のはじまり」
布団に潜り込んで来た相手の足があまりに冷たくて
思わず声が出た。
「さっき湯舟から出たばかりだよ?」
そういう相手の髪は確かにしんなり濡れていた。
一方で自らの足を構わずこちらの足に絡めて来た。
まるでこちらの熱をその足で舐めとるように。
だが今度はその足をさせるがままにして、
──明日の朝は布団から出るのに苦労しそうだ。
そんな予感を抱きつつ眠りについた。
『冬のはじまり』
ファンヒーターから漂う灯油の匂いと
毎年聴いていても 飽きることのない
クリスマスソング
(今年もきっと君は来ないし
ラストクリスマス、なんて 言って
去年のクリスマスを思い出す)
イルミネーションが煌めく街に 少し心躍る僕ら
今年は何を贈ろう
あんなに綺麗だった紅葉やイチョウがまた終わりを迎えようとしていた。
いつまでも、いつまでもそのままでいて欲しい。その反面どこか春の訪れを期待する。
あぁ、早くはやく迎えに来てくれ。
冬の始まり、森の中で小さな狐を見かけた。
雪道を軽い足取りで走っていく姿は、なんだか愛おしかった。
寒い。
本格的に冬が始まったようだ。
去年も使っていたこたつを出す。
すると、こたつのあたたかさを求めて家族や飼い猫が居間にやってくることが多くなる。
「だれ?この足。もっとそっち行って。」
「お願い、みかん取ってきて?」
「こたつの外出るの寒くて嫌ー。」
こたつを巡っての団欒。
これが、我が家の冬のはじまり。
231129 冬のはじまり
冬の始まりに
温かいホットチョコレートを飲む
マシュマロとチョコレートの甘さが下に広がり
飲み物の暖かさが体に染みる
窓を見てみると
葉の色は寂しい色に移り変わり
生命の終わりを告げる
黄色い絨毯が並木道沿いにできていき
鳥たちさえ目覚めが遅くなる。
空はだんだんと澄み渡り
朝に吐く息が空に登っていく
そんな日たちがゆっくりと静かにやってくる
ねぇみて、星
ねぇみて、紅葉してる
ねぇみて、雪だ
緑とは少し違う
また綺麗な季節がやって来た
綺麗な景色と
大好きな人と
そろそろココアでも飲みたいかも
冬のはじまりの中で
「…………さっっっむ……」
目覚ましのアラームに叩き起された午前6時半。
ぼんやり2度寝をかましたい、と思う間もなくやって来る、寒さ。
毛布から飛び出した足や顔が、とんでもなく冷たい。
慌てて毛布の中に引っ込めば、もう外には出たくなくなる。
「さむすぎじゃん……?まだ11月じゃん……?」
布団の中でぶつくさ言いながら、スマホで今日の気温を確かめる。
午前6時、気温8度。
なんなんだ、寒すぎ。
もう一度言おう、まだ11月だろ。
いかんせん寒すぎて、何もやる気がしない。
ずっとお布団の中にいたい。
「起きたくないんじゃあ……」
起きたくはないが、起きなきゃ仕事に遅刻する。
しぶしぶ布団から這い出て床に足をつければ、ぞわぞわ這い上がってくる冷たさ。
ぴょんぴょん跳ねるように移動して、急いで靴下を履く。
去年も同じようなことしたなぁ、と思いつつ、朝ごはんの準備。
1年周期でやって来るこの寒さ、最近来るのが早いような気がしないでもないけれど、存外嫌いじゃない。
あったかいものが美味しくなる季節だ。
今日の夕飯はラーメンにしようかなぁ、とか考えながら、カーテンの隙間から差す白い光を眺めた。
[冬のはじまり]