『木枯らし』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
実家の父がパチンコに行く際に強風により転倒したらしい。もう足元もおぼつかないのにパチンコにだけは行く。
女の子に野球グローブだけ与え「せっかく遊んでやったのに」と言う父だった。
「どれだけ金をかけたと思っている」「キチガイや」「金のかかるやつや」
心を抉ることしか言わなかった。苛められ不登校になり、引きこもりのニートだったから仕方ないけど
他人ではないのが苦しい。
木枯らしの鳴くように あなたたちの思いを込めてみましょう。
私たちは行く先々で過ぎ去る風と香りを楽しみ、運ぶ風に乗ってたくさんの秘密をここで共有します。
あなたたちが今いる場所で、今ここで様々な思いを共有することができるのです。
そして今ここで目覚めることができるのです。
木枯らし
とても痛すぎた悲しすぎた裏切り
一つだけでいいと それは最高の自分の心の
宝物だからと叫んでいた
それなのに不条理なこの世界
三つも出して自分には多い多いからと
やめてほしいととにかく狂う
そして真実を知った時
あまりに痛すぎた 辛すぎた そして
たくさんの涙が 怒りが
それ以上に
優しさが辛すぎて泣きじゃくるしか
できなかった まるで木枯らしが吹く
そんな気持ちだった
木枯らし
寒そうなくらい
枯れるのは葉
木が枯れてるのはみない
木枯らし
この言葉を選ぶことは
ほとんどない
冬よりの秋なイメージ
風と舞う葉
車を運転してると落ち葉が舞い散る。
暖かい車内。外に出たくないな。
外歩いてる人たちは、きっと寒いと思う。
でもずっと車に居るわけに行かないから、やっぱり外に出ないといけない。
静電気が怖い。最近バチバチしなくなってきた。何が原因だったんだろう?
いつだって地面を見ていた。アスファルトの地面。
黄色に染まりきれない、大地の養分にもなれない、踏み締められた落ち葉たち。
お空の遠く、高いところなら、ちぎり絵みたいに見えるかな。
木枯らしも悪くないねと思えるかな。
木枯らしって聞くと
すぐに寒そうって思ってしまうな…
知らない間に木枯らしを
感じてたりするのかな……
木枯らし
カラカラと、乾いた葉っぱが転がっていく。
木枯らしがコートの裾をはためかせる。
僕は襟元をかき合わせた。
冷え込む冬の朝は、いつもより静かだ。
今日はずいぶん早くに目が覚めてしまった。
まだ慣れないこの街を昼中に歩くのは気が進まない。
しかし、早朝ならば人も少ないだろうと実に3ヶ月振りの散歩に繰り出したのだ。
あなたを起こさぬようにそっとドアを閉め、市場のある方角へ。
帰りがけに焼きたてのパンでも買って帰ろうか。
寝静まる市場をぐるりと回り、活気溢れる日中の様子を想像する。想像は得意だ。
パン屋に辿り着く。
ちょうど開いたばかりのようだ。
あなたは何のパンが好きかな。
特に好みを持たない僕の選択は、必然的にあなたの好みになる。
記念すべき住民とのファーストコンタクトをパン屋の主人と済ませ、僕はほかほかの紙袋を手に家路を急ぐ。
普通に、つまり怪しくない感じで、僕は振る舞えていただろうかと不安になった。
あまり特別な印象を残したくはない。
やっと家に続く小道に帰りつき、僕は少し安心した。
ドアを開け、ただいま、と呟いて、その言葉の懐かしさに驚く。
リビングに足を踏み入れれば、コーヒーの香りが僕を包み込んだ。
「おかえり。散歩はどうだったかな」
キッチンで微笑むあなたに笑顔を返して、紙袋を渡した。
結局店主におすすめを詰め合わせてもらった中身は、あなたのお眼鏡にかなうだろうか。
「バゲットとクロワッサンか。いいチョイスだ」
どうやら当たりを引き当てたみたいだ。
あなたの上機嫌を背中で聞きながら、冷えたコートを壁に掛ける。
僕の世界は再び広がる予感を見せていた。
木枯らしが足元の枯葉を押し除けたかと思えば新しく枯葉が運ばれてきた。
夕暮れ時のひんやりとした空気はより強くなり思わず身震いをしながら追いやられた枯葉を名残惜しげに追いかける。すると健気にも枯葉を連れ戻してきた。
結果最初の枯葉と運ばれてきた枯葉が足元に集った。
気のせいか暖かい気がしてきた。
それに気付いたのは、会社が入っている高層ビルを出て、しばらく歩いた後だった。
オフィスを出る少し前に見たニュースで、木枯らし一号が吹いた事を報じていた。今年は例年より一週間ほど遅いらしい。しばらく寒気の影響で寒い日が続くが、来週辺りはまた暖かくなって小春日和になる日もあると言っていた。
強い風がビルの谷間を吹き抜けている。
オフィス街だから風が強いのはいつもの事だったが、今日はその風に冷気が混じっている。道行く人は肩を竦め、上着の襟を立てながら足早に駅へと向かっていた。
「あまり寒くないなと思っていたんだが」
びゅう、と一際強い風が吹いた。
男が僅かに首を傾ける。風のせいで声が聞こえなかったらしい。
「風が強いのにあまり寒くないなと思っていたんだが」と今度は少し大きな声で言うと、男は青緑の瞳を数度瞬かせて言葉の続きを待った。
駅に近付く。オレンジと白の灯りが目にも、心に温かい。周りの人の足が早くなるのに合わせて、二人の足も自然、早くなる。
「コーヒーでも飲もうか」
そうだな、と答えて人気のカフェスタンドに飛び込んだ。
男がミルクたっぷりのカフェオレを頼んだのに、気付かれぬよう小さく笑う。
「風が強いのにあまり寒くないなと思っていたんだが」
さっきと同じ言葉を言ってコーヒーを飲む。
あたたかい。コーヒーが通った喉も胸も、それから背中と、左側も。
「君がずっと隣にいたからだな」
よくよく考えれば、見上げるのは彼だけだった。
自分より背が高い男と並んで歩くのは滅多に無い。
身長も体格も大きな、でもどこか子供のようなところがある彼の、あたたかさは何処から来るのか。
カフェオレを飲む男の頬が、僅かに赤くなる。
――きっと体温も高いのだろう。
木枯らしに震える街を見ながらそんな事をふと思った。
END
「木枯らし」
『木枯らし』
穏やかな秋の陽だまりに、どこからともなく冷たい風が吹いてきた。道端に落ちた茶色の葉はカラカラ舞うと一瞬ふわりと浮き上がり、そのまま勢い良く風に連れられていく。
連れて行くのも気ままな風は置いていくのも気ままなもので、しばらくすると遊びに飽きてしまった子供のように枯れ葉たちを置き去りにして、また違う街へとさすらった。
風は通りすがりの人々に冬の訪れを告げて周り、人々はその知らせに顔をしかめたり、足取りが軽くなったりといろいろだ。
街を進むごとに大きくなった風は、やがてその盛りを迎える。怖いものなどないと街中を巻き込んでいく勢いは、今が盛りと知ってだろうか知らずだろうか。
風はその役目を終えるその時まで、こうして旅を続ける。
最期は吐いた白い息が空に消えるように、そっと一生を終えるのだ。
イヤフォンを耳につけると、もの寂し気なメロディを奏でるピアノの音が聴こえてきた。
淡々と前に進むような印象的なメロディの低音と急き立てるように動き回る3連符の高音が、短調の暗い印象の中でより胸に迫ってくるようで、どことなく心がざわめくように感じた。
ショパンが作曲したピアノ練習曲集、練習曲作品25の第11番は別名「木枯らし」という名がつけられている。
これは彼、ショパンがつけた名前ではないらしいが、これは木枯らしという曲だと思いながらこの曲を聴くと、晩秋の風に舞う落ち葉、ひいては木枯らしが旅をしながら一生を終える様まで想像できてしまうのだから、人間とは単純な生き物だ。
何故に持ち主はこの1曲だけを好んで聴いていたのだろうかと考えを巡らせながら、私は手のひらの中の古い音楽プレーヤーを眺める。ついさっき道端で拾ったものだ。
興味本位で画面を開くと、この曲がたった一つだけ保存されていた。
小さい頃に少しクラシックピアノをかじったおかげで木枯らしという曲名はだけは聞いたことがあったが、その曲がどんなものか私は知らなかった。
1曲およそ3分半という表示を目にした私は近くの交番まで歩く間の暇つぶしにと、持っていた自分のイヤホンをプレーヤーにさしこみ、再生ボタンを押したのだ。
正直、どちらかというと明るい曲調が好きな私にとって、この曲はお世辞にも好みとは言えず、きっとこのプレーヤーの持ち主とは音楽の趣味が合わないだろうなと余計な考えが頭を巡った。
私は顔を上げて、何となく辺りを見渡す。
冬の街に並ぶ木は足元まで寒々しく、風に吹かれて舞うような葉っぱはもうどこにも見当たらない。
だが、曲の中の木枯らしが巡り巡って私の胸の中を掻き乱したような余韻は、まだどこかに残ったままだ。
季節外れの木枯らしは確かに、私の中を通り過ぎた。
光の方を向き続けることが
難しい時もある
疲れたら知らぬ間に低い方に
滑り落ちそうにもなる
そんな時 一瞬
真上を向いて
空見て
雲も星も飛んでくような強い風に吹かれて
凄く寒い寒い冷たい冷たいって感じて
自分は生きていて温かい
寒い冷たいって感じている自分は温かい
「花咲か爺さんの対義語って木枯らし婆さんでええのかな。」
友達がまた馬鹿なことを言っていた。
「アホか。爺さんの対義語は姉さんやろ。」
「そか。木枯らし姉さんか。」
「おう。」
「……」
「……」
「……なんやそれ」
「いやそっちが先に言い出したんや。」
「でも、なんかええなぁ、木枯らし姉さん。惚れたら終わり、生命力を吸い取られて最期は灰に……」
「それ、花咲か爺さんやないの。灰撒いて花咲かすやつや。」
「……え、じゃあ花咲か爺さんの灰って、木枯らし姉さんに惚れた男の……」
「アホか。」
やっぱり、アホや。
木枯らし
「木枯らし」音の響きだけでも、寒さと寂しさを感じる。
寒い季節を乗り越えて、温かな春の日差しに包まれるその日を楽しみに、明日も一日精一杯頑張ろう。
木枯らしが吹いた。
寒くて、マフラーに顔をうずめる。
目の前を歩く人も、同じようにしていた。
「寒くなりましたね。」
なんて心の中で話しかけてみる。
き 気持ちは宿っていないが、
が 硝子のような繊細な心を持っている木。
ら 楽な生き方なんて無いと知った木。
し しかし、それも木の人生と言ったものだろうか。
お題:木枯らし 2024/01/18
耳も指もまっかになる
つんっと冷たい風が吹く
寒さはいやだよ
そういって首元のマフラーをきゅっと結ぶ
でもそうね、やわらかくてあたたかい
毛糸のかわいいこの子はこの寒さがないと
出番はないのよね
冬の間だけ活躍するこの子のためだ
風に吹かれて帰ろうか
木枯らし
どこかに飛んでいきたいね
君とならどこへだって行けるよ
「うわ、寒いー」
木枯らしが吹き、世の中に冬の訪れを告げる。
「もう秋も終わりだね」
「そうだね、そろそろ本格的に寒くなるんだろうなー」
冬は嫌いだ。冷え性だから体は冷えるし、朝にTシャツ一枚選ぶだけの服装で過ごせない。寒いから温かい飲み物を飲みたいところだが、猫舌なので飲むのが億劫で結局体を冷やしてしまったり。
「そうだ! 冬になるってことは、誕生日にもらったマフラー、やっと使えるね」
「あ、ほんとだ。忘れてた」
「あげた本人が忘れないでよー」
「だってあげたの夏だし」
今年の夏、季節外れなのになぜかやっていた冬物バーゲンで、恋人に似合いそうなマフラーに出会ってしまい、どうしてもプレゼントしたくなったのだ。
「もらってから、ずっと冬が楽しみだったんだ。早く着けたところ見てもらいたくて」
そんな反則級の言葉もしれっと言っているようで、決してこちらと目が合わないのがどうしようもなく愛しい。
「僕も楽しみ。君が僕のあげたマフラーつけてるとこ見るの」
耳まで赤くなってる君の頭をくしゃっとなでて、腕の中に抱きしめると、さっきまでの寒さも感じないようだった。