『秋恋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
御縁というのは不思議なものです
何処から運ばれてくるのでしょう
外側ばかりを見ていたら気付かず
見落としてしまうかもしれません
いつも側にいてくれる人の存在が
大きくなっていたことを知るのは
居なくなってからが多いようです
恋愛は自由です好意を伝えるのは
とても勇気のある行動ですいつも
後悔のない選択が出来たのならば
人生は豊かなものになるでしょう
想いの果実は大切に育てて下さい
『秋恋』
【秋恋】
秋恋
誰にでもあるかもしれないし
私だけに起きたことかもしれない。
近所のスーパーが改装リニューアルオープンイベントをやっていた。
特段待ちに待ったというわけでもないが、家から1番近い店だったから、ついでの買い物をしに立ち寄った。
記念セールということもあり思っていたより買ってしまった。
持っていたエコバックに入りきらない、4枚切りの超熟をプラプラと遊ばせながら店を後にした。
家に帰るまでの道すがら、小さな公園がある。
砂場と鉄棒、ゾウやパンダのスプリング遊具、キリンが首を垂らしているすべり台。
沢山の木々が公園内に柔らかく影を落とす。
季節がいい時にはベンチで読書をしたりする、お気に入りの場所だ。
ここを突っ切ると若干の近道になることと
なんとなし警備のような気持ちで、公園内を歩くようにしている。
今日も子供はいないなあと通り過ぎようとしたら
大きな子供がいた。
いやあれは大人だ。
先ほどのスーパーの入り口で配っていた、宣伝文句がデカデカと印字された風船が木の枝に引っかかっている。
ジャンプをしたりなんだか手をバタバタさせている。
まわりに子供がいないことを確認して改めて驚く。
あの人、一人で何やってるんだろう。
あまりにじっと見すぎたのか、目があった気がした。
視線を逸らし1、2歩歩き出した時「あの!」と声をかけられた。
常々面倒ごとに首を突っ込みやすいのは長女だからだろうか。
足を止めて[子供に見える大人]の方に視線をやると、彼は安心したような顔で笑う。
「よければ、手伝ってもらえませんか?」
長女には効く文句、よければ。
よくないことなんてない、頼られたらだいたい嬉しい。
「手を離しちゃったんですか?」
ぼーっとしてしまって。と彼は言う。
「どうやって取りましょう?」
「いや、いいんです」
あいつが飛べる瞬間を見届けて欲しいと、風船がよく見えるであろうベンチを指さす。
怪しさの中にも清潔感もあり無害そうな人をむげにするのは、気が引けたので共に見届けることにした。
災害時、トイレにもなるコンクリ製のベンチは、日陰だと少しだけ冷たい。
「今日は35℃もないんですね」
「十分、暑いですけどね」
「蝉は35℃以上だと鳴けないそうです」
「知らなかった、そうなんですか?」
「ええ、僕も最近知りました」
ジーワジーワと鳴く声を聞いて
蝉も暑さに弱かったりするのかなと思った。
1日1件投稿するXのネタができたのは収穫だ。
彼は面白い人だった。
その場だけで完結する、最高の会話をたくさんした。
あと何分であの風船が飛び立つか予想しよう、から始まって
感情に色をつけてみましょう、とか
太陽に名前をつけるとしたら、とか
好きな季節とその理由、とか。
さみしいの色は薄めの青色。
太陽の名前は勤勉熱血太郎くん。
好きな季節はやはり夏、祭りの屋台のソースの匂いは唯一無二だね、なんて得意げに。
彼が話題を出して、彼が自分で話す。
その答えになんで?どうして?と子供のように質問をしていたら、その瞬間は唐突に来た。
風がびゅっと強く吹き、赤い風船は飛び立った。
「どう、見えてるんだろう」
初めて私から言葉をかけた。
「どうでしょう、不自由に見えているかもしれませんね」
主語もない私の疑問に100%の答えをくれた。
私は、
はたから見た私たちのことでも、たった今、しがらみから解放された風船の、宇宙的な視点のことでもなく
【地上を這いつくばって生きている人間】が、どう見えるのかと、問うたのだ。
ベンチから立ち上がり手でひさしを作ると高く、高く登っていく自由な風船を見送った。
後ろから聞こえる「ありがとう」と言う声に「うん」とだけ答えた。
しばらく揺れる赤い点を見送ってから、ベンチのほうを振り返ることなく、私は去った。
もう人影がないことだけはわかっていたから。
家に帰りパソコンの電源を入れる。
[風船、どこまで飛んでいく]
[蝉、35℃鳴かない]
気になったことを淡々と調べ
心にメモをする。
調子が良ければエベレストと同じくらいの高さまで風船は飛ぶし、蝉の寿命が7日というデータはもう古いということ。
きっと、木の上、空の上から人間は
不自由な生き物と思われているということ。
あの日見上げた空に舞う風船がまだ目の中に焼き付いている。
__________________
唐突に終わりましたが
反省と自戒のために書きます。
一夏のふしぎ体験の相方を、お化けと捉えた方も、少し運動音痴な忍者と捉えた方も、いるかもしれません。
作者は【蝉】を想定しております。
昆虫は
寒色しか認識しないそうです。
ではなぜ赤い風船にしたか?
これは幼少期に読んだ本と関係があります。
心に宿した初恋を【赤い実】と比喩した作品に出会ったことがありました。いうたらオマージュです。
触角はあるはず!
にほいを嗅ぐ能力もある、はず!!祭りの夏、羨ましく焼きそばを見てたのかもしれない。
35°以上では鳴かない、私も今年はじめて知りました。
【空蝉うつせみ】は蝉の抜け殻を示す言葉で風船も空っぽかも?とか思ったりしていました。
設定は元々普通の男女の会話劇にしようと思っていたのですが、ね、何かが起きますよね。アハハ。
秋恋
"もー!今はそんな気分じゃないの!'
ごめんと返したが連絡が途絶えた。
いつも通りゲームのお誘いをしたはずだが...
今日はなんだか機嫌が悪そうだ。
30分後...
仕方ないと1人でゲームの準備をしていると連絡が来た。
"ごめん...イライラして当たった。
ほんとごめんね。"
すぐに既読をつけて返信する。
"大丈夫。今日はゲームせずに電話だけでもする?
良かったらそのイライラ聞かせて欲しいかな。"
既読はすぐについてわかったと返ってきた。
女心と秋の空...なんて言うがその通りだ。
だがそれを迷惑とは思わない。
彼女だって人間だ。そういう時だってある。
だからこそ彼氏である僕が支えるんだ。
そう思いながら電話をかけると電話が繋がった。
「もしもs」
「私がいいって言うまで待って!」
そう言って電話を切られた。
まあ...そういう時だってあるよ。
人間...だからね...。
語り部シルヴァ
紅葉狩り
読書に昼寝
葡萄踏み
君とやりたい
ことがたくさん
【秋恋】
今日は、友達からの突然のさようならがありました〰️(´;ω;`)
何時も音楽のお話しをしてもらっていた🎶お友達でした……。
蒼さんのこともおしゃべりをしました(*^^*)🎵『蒼さん、優しいね✨️』と、言って下さいました✨️
弱虫モンブランが蒼さんが歌われてはりました。と、言ったら、私も好き♡と、言われました✨️
私には、ちょっと刺激がキツイ曲だった。ので、当たり障りなく、素敵ですネ(*^^*)🎵と、逃げました。(-_-;)
それから、空白が続いたの。まっ、何時ものことだから…。また何時か会えるよネ🎵と。信じていました。……(´;ω;`)えっ、さようならなんて、ズルいヨ。
友達だと思っていたのに。胸の中が、空っぽになり涙が溢れました。
夕方、もう一人の推しが『バニーガール』と、いう曲歌われてはりました。
何処か秋めいていて、『伝えられない想いも恋』というフレーズがありました(´;ω;`)ウッ…ーー鼓動から、始まる恋……。
私は、恋をしていたのでしょうか……?理解りません。
会話は、弾まないけれども、君がいるだけで、私には充分だったの。私のエゴだったのかしら。
夜、歌枠の配信で、Mr.Childrenさんの『星になれたら🌟』を歌って下さい(>ω<)とリクしたら『知っているヨ🎵』と、ワンフレーズ🎵✨️を歌って下さいました(´;ω;`)
『さようなら会えなくなっても、寂しくなんかないよ。そのうち、きっと大きな声で笑える日が日が来るからーー。』と。
ジーンと、した……。仲よくしてくれてありがとう💐✨️(。>﹏<。)と、いう想いが溢れていた。ーーその続きのラストは、『虹🌈なれたらいいな……。』だった。
リクを歌って下さりありがとうございました💐素敵な想い出に、しますネ……✨️
気分を変えて、モーツァルト🎵✨️の物語の続きをまた、書きま〰️す🎵_φ(・_・
もっと、読み込みま〰️す🎵_φ(・_・(-_-;)🙏すみません💦(_ _;)
父は、私のプリクラを見た😫すごいなぁ〰️。プリクラは、と、言って笑った。
カラコンにメイク✨️イエベ&ブルベ✨️カワイイスタンプ✨️ステキ〰️ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。
どうせ、私は陽葵ちゃんとちがいますようだぁ〰️www☹️
でも、いとをかしと、何ごとにも私らしく頑張れたら素敵だなぁ〰️✨️🌻
お父さんと見るちびまる子ちゃんの時間も大好きです〰️🌟✨️
終わり
→短編・名前知らず
秋の恋は苦手。その人が好きとか関係なく、冬を前にして人肌恋しいだけかも、と気持ちにブレーキをかけてしまうから。つまり秋の恋のイメージは……――「冬籠りする動物の本能と一緒」
恋のイメージを訊かれて、思わず語ってしまった。変なヤツだと思われたかな? まぁいいや。どうせワンナイトだ。
「好き系の答え」
呆れもせず、レンは頷いた。彼のレンという名は、多分本名ではない。如何にもマッチングアプリ用の偽名。
「ここは巣。明日の朝までプチ冬眠しようよ」
そう言って、彼はベッドのシーツを大きくはためかせた。
降り掛かったシーツが私たちを頭からすっぽりと覆い隠す。
「レンにとって、恋ってどんな感じ?」
シーツに二人分の熱。シーツの下、彼は微笑んだ。
あれ? 彼ってこんな顔してたかな? 妙に可愛く見えるし、彼の体温に安心感を覚える。あー、これ、ヤバいかも。
レンは私と額を合わせて囁いた。
「今みたいな感じ」
ズルいな、私のイメージに乗っかったんでしょ、と私は口にしなかった。だって、私も彼の答えに乗っかろうとしてる。
明日の朝、本名を訊いてみよう、かな?
テーマ; 秋恋
秋恋ね
秋も秋でまだ暑いんだよな
そろそろガチ夏服も着づらいし
早く、汗かかない季節来ないかな
あ~、冬来い
(秋恋)
春は出会いの季節。新たな環境で思わぬきっかけから恋が始まる予感に満ちている。
夏はあらゆる場所にエネルギーが溢れている。山に海に花火大会と、一時の興奮が刺激的な恋愛のスパイスとなる。
冬は人肌恋しい時期だ。クリスマスにバレンタイン、イベントにかこつけて気になるあの人とお近づきになれるチャンスだ。
では、秋の恋とはどういうものだろう?
「秋といえば……食欲の秋?」
「そうだけど、恋愛って感じじゃないよね〜」
「あんたにはまだ早かったか。花より団子だもんね」
「うるさいな……。じゃあ二人は何か思いつくの?」
「うーん……秋ってちょっと切ない気がするよね。別れの季節とか?」
「切ないは分かるけど、別れってイメージはないんじゃない?」
「だよね。あ、芸術の秋ともいうから美術館デートとか、映画デートとか!」
「えー!私どっちも興味ない。それより果物狩りとか、モンブラン食べに行きたいなー!」
「結局食欲の秋じゃん!!」
「やっぱり私たちに恋愛はまだ早かったか〜」
「秋恋」
冷凍庫が壊れたからアイスを一ヶ月も食べていない。家まで持ち帰れる暑さにも中々ならない。残暑だって。でも秋分が来たよ、って。今秋なんて呼んだら向こうだってちょっと気まずいって思うよ。
救急車のサイレンを聞くことが減ったなあ。秋がもし今年は来るのなら、近くの公園にピクニックに行ってみたいなあ。思ってるだけじゃなくってさ。
秋口の恋は続きやすいって噂の当事者になることなんてたぶん一生ないけど、それでも秋は美味しいし結構好きだ。こっくりと熟れた果実みたいな色が街を覆って、今が一番食べごろだよって教えてるんだ。
秋は好き
過ごしやすいから、、
食べ物も美味しいし、、
でも、、、
カメムシが出るから微妙〰️
お題とかけ離れてます
#秋恋
秋恋
私は余り人を性的に好きになったことが無いため、世間知らず故かこの言葉をはじめて聞いた。涼しくなって人肌恋しい季節に始める恋らしい。
私の友人の話をしようか。若さ故か、皆彼氏だ彼女だ、皆おるから私も私もと、雛のように泣きわめく。私からすれば、恋人を求めてる間はまともな人は誰一人寄ってこないもので、互いの利害が一致してる何となくの組み合わせの人間が晴れて恋人になる。これは、恋人と呼ぶものだろうか。私からすれば、それはお互いを道具と思っているのも同然だろう。恋人が欲しい、恋人が。相手は誰でも良いのかい、どんなに嫌なやつだとしても、良いのかい。と問いただしたい。
芸術の秋、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋…
とにかく秋は、結びついているものの数が他の季節より飛び抜けている。
そしてこれらの言葉を掲げたイベントの開催が多くなるのも自然なことだ。
そう、自然なことなんだ。
だから一緒に行かない?って、俺が君を誘うのが週1なのも秋のせい。
「秋恋」
・秋恋
なんとなく過ごしやすい。
訳もなく意欲が湧く。
趣味が楽しめる。
秋と同じくらい居心地のいい恋愛がしたいものです。
今宵の月は、その姿を消していた。分厚い雲に覆われていて、空は灰色がかっている。辺り一体は仄暗く、怪しい気配を纏っていた。
今日も来てくださらないのですね。
蚊帳の中から透けて見える夜空を見上げ、私はため息をついた。お慕いしている彼の方がいつ訪れるのか。今日も夜通しお待ちして差し上げなければならない。
いつからいらしてないのか。考えただけでも切なくて胸が張り裂けそうだったから目を逸らしていた。けれど、日を追うごとに彼の方への想いを募らせるばかりで苦しくてもどかしい。
きっとそれなりの月日は経っている。彼の方が最後に私の元へいらしてくださったのは、確か夏の夜。しとしと降り続いていた梅雨がようやく明け、屋敷の南西にある川の増水が落ち着いた頃を見計らってだった。
他の季節に比べてじっとりとまとわりつく空気で、なんだか会う気分にもなれなかったはずなのに、彼の方にお会いしただけで晴れない気持ちが吹き飛んでしまった。おかげさまでとても幸せで夢のような夜を過ごせたのだった。
その日以降、お姿も、お手紙も頂戴していない。こちらからいくつかお手紙をお送りしたけれど、お返事はいただけなかった。
お勤めお忙しいのだろうか。都を離れてどこか違う土地へ旅立たれてしまわれたのかしら。
もしかして、私に飽きられましたか。
この屋敷から出ない私にとって、彼の方を知り得る方法が何もないのだ。ただ、彼の方がまたここをお訪ねになることをお待ちするしかないのだ。
貴方と過ごした夜をいつも夢に見て、目が覚めては枕を濡らす毎日です。紅葉が色を移り変えるように、貴方の想いが変わってしまったのなら、私はこの先どう生きればよいのでしょう。
日が昇ってしまったことにひどく落ち込みながら筆を取った。書いたお手紙は使いの者へ渡した。きっとあのお手紙にも、お返事はいただけない。
他の生き方など、私は知らないのですよ。
『秋恋』
秋といえば思いつく人がいる。
その人は、
自分自身と
自分の人生と
自分の恋と
自分の音楽と
ちゃんと向き合うことができる人だ。
繊細で優しくて、
逃げずに向き合ってきたからこそ、
たくさん苦しんだ人だ。
そして、それを自分の強みにしてる。
側から見れば弱いと言われる部分をうまくいかしているんだ。
僕はそんな彼に救われた。
僕もそんな風になりたいと思ってしまった。
ー秋恋
秋恋
飽くほど永いこいをしてきた
紅葉のように 燃える 想いも川を流れて
『秋恋』(創作)
「秋恋」という言葉はないですが、イメージ的に大人の恋が浮かびました。ポエムにしてみます。
ウィスキー色した秋は
別れがとてもよく似合う
秋の風は透明な琥珀色
涙のあとを乾かすように
心の中に吹き荒れる
カランと鳴る氷と
グラスの結露が時を知らせる
ウィスキー越しにあなたが見えた
夢か幻 ほろ酔い気分
あなたはここにもういない
ウィスキー色した秋を
一気に飲み干す涙ごと
秋の風は透明で寂しくて
秋恋運んだその風は
別れも一緒に連れてきた
小説「秋恋」
今日夢を見た、何年も片思いしていた人と話す夢。私は真っ赤になって上手く話せなかったけど幸せでした。
ウンザリするほど暑い夏、気温がだんだん下がってきてようやく秋が来たと安心していますが、お元気ですか?
もう諦めてしまった気持ちだけど、楽しかった日々や幸せな気持ちは私の中で大切な宝物です。
あなたがずっと幸せでありますように。
秋になると『君』を探す
普段は読まない小説を
読書の秋のせいか読みたくなる
だから今年の秋も恋をする
小説の中に現れる『君』に
筆者のイメージの『君』とは別に
私のイメージで『君』をつくりあげる
実在しない人に恋をする
アニメとは違う想像の世界に住む『君』に
去年の『君』は服には疎いけど音楽センスは秀でる
実際に会って話してみたかった
そう思わせる人だった
秋になると『君』を探す
秋になると紅葉のように頬は染まる
【お題:秋恋 20240921】
「女心と秋の空ってやつなのかぁ」
『いや、ただ単に先輩がうざくなっただけなんじゃないかな?』
なんて事は、口が裂けても言えない。
そんな悲しいサラリーマンな俺は、三連休の初日の夜、会社の先輩に呼び出された居酒屋でだし巻き玉子をつついている。
うん、この大根おろしがあるのと無いのでは味が全然違うよな。
「おい、宝条、聞いてるのか?」
「聞いてますよ、横溝先輩。俺は彼女さんと会ったことがないので分かりませんが、先輩にはもっとお似合いの人がいますよ」
「そうか、本当にそう思うか?」
「はい。だって先輩はできる男じゃないですか。先輩くらい仕事が出来る男の人を放っておく女性なんていませんって!」
「いやぁ、まぁ、そうだよな」
「はい、ですから今日はもっと飲みましょう!」
そして早く潰れてほしい。
「あ、すみません。この日本酒とこの焼酎、それと軟骨の唐揚げにホッケをお願いします。あ、ホッケに大根おろしは付いてます?無ければつけてもらうことは⋯あ、はい、お願いします。あとおでん皿も」
えーと、確か付き合い始めたのはゴールデンウィーク前で、今が9月だから5ヶ月位か。
今回も半年持たなかったか。
まぁ、そうだよな、正直俺でも嫌だもんな。
朝起きたらおはよう連絡、昼は何食べたとか、夜は夜で寝る直前まで通話だっけ?
んで週末はお泊まりで休みはデート三昧、時には旅行。
まぁ、デートも旅行も費用は先輩持ちだけどさ、それこそ付き合い始めはいいんだろうけど、そのうちうざくなってくるよな、自分の時間が取れないってのもあるし。
3ヶ月もすればお腹いっぱいになって、この先ずっとこのままなのかって考えたら、そりゃ逃げたくもなるって。
悪い人じゃないんだけど、寧ろ良い人なんだけど、何でか恋愛関係だけは重すぎるんだよな、先輩って。
あー、もしかしたら相手は日本人じゃない方がいいのかもしれないなぁ。
「宝条ぉ、俺の何がダメなんだァ」
う、何て言ったらいいんだ⋯⋯。
あ、そうだ!
「先輩、秋に始まる恋ってのは長続きするらしいですよ。秋恋ってやつです」
「ん?何で秋恋は長続きするんだ?」
「秋って肌寒くなって人肌が恋しくなるじゃないですか。それに、クリスマスにお正月、バレンタインデーにホワイトデーとイベントが盛りだくさんですし。秋は食欲、読書、芸術、スポーツと色々とできます。それに紅葉を見に温泉旅行なんてのも最高です!」
「⋯⋯温泉か、良いな温泉⋯⋯⋯」
そう呟いてスマホを弄り始めた先輩を他所に、俺は運ばれてきたおでんの大根を頬張る。
この味の染みた大根が、最高に美味い。
「なぁ、宝条。お前、おすすめの宿とかある?」
「おすすめ?⋯⋯先輩、俺、彼女いない歴=年齢ですけど?」
「いや、ほら。友達ととか家族旅行でとかあるだろ」
「三連休の初日に先輩から誘われてすぐ居酒屋に来れるくらい友達いない暇人ですし、うち、俺が5歳の時に両親離婚して貧乏だったので、家族旅行とか行ったことないんです。先輩の方が色々な所知ってるんじゃないんですか?」
「俺、兄弟6人の大家族でさ、家族旅行は大抵キャンプだったんだよ。まぁ、キャンプは楽しいから良かったんだけど、ホテルとか旅館とか、家族旅行で使ったことなくて」
「え、でも今までの彼女さんと行った所とか」
「また別れそうで嫌じゃん」
「あ、あー、デスネ」
どこかって言われてもなぁ⋯⋯うーん。
あ、ホッケ美味い。
一人暮らしだと魚とかあんまり焼かないからな、こういう時に食べるに限る。
あー、そうだ、あれならいいんじゃないか?
「先輩、グランピングとかどうです?紅葉見て、温泉入って、星空を見る。最高じゃないですか」
「グランピングか、いいな、ソレ」
ツイツイとまたスマホを弄り出した先輩は、どことなく楽しそうだ。
さっきまでの嘆きは何処へやら、だ。
ただ、何となくだけど先輩の愛の重い理由がわかってきた気がする。
「先輩って長男ですか?」
「あぁ、そうだぞ」
「ご兄弟と年は離れてたりします?」
「うん?なんでわかるんだ?えーとな、すぐ下がお前と同い年の5歳離れた妹、その一つ下に双子の弟、それから双子の3つ下に弟で、一番下が今度12離れた妹だ」
「なるほど。賑やかそうですね」
「まぁな。静かなのは寝ている時くらいで、それ以外はずーっと煩かったな。っと、良いグランピング施設見つけたぞ。来月に予約入れた」
「え、早っ、って、先輩一緒に行く相手は?」
「大丈夫、来週にはいるはずだ」
「⋯⋯ソウデスネ」
くっ、リア充め⋯⋯。
いや、充実しているようでしていないのか、この人。
「あー、横溝先輩」
「うん?」
頼んだ日本酒を飲みながら、先輩はホッケをつついでいる。
俺と同じく幸せそうな顔をしているところを見ると、先輩も焼き魚はしない方の人間なのだろう。
「犬、飼ってみたらいいんじゃないですか?」
「犬?」
「先輩のところのマンション、ペットOKでしたよね?」
「まぁ、そうだけど」
「夫婦仲をとり持つのが子供だって言うなら、恋人同士の仲をとり持つのはペットじゃないかと思いまして」
「⋯⋯なるほど」
先輩の愛の重さは寂しさから来てるんだと思ったんだ。
だから愛を向ける先を分散すればいいんじゃないかっていう、発想だったんだが、まさかあんなことになるとは、想像もしなかった。
とりあえずその日は、俺もだいぶ飲んで先輩の家に泊まることになった。
でっかいキングサイズのベッドに男二人で寝るとか、どんな罰ゲームだ!とか思ったけど、寝心地があまりにも良すぎてあっという間に夢の世界に引きずり込まれてしまった。
翌朝がっちり先輩にホールドされた状態で目覚めた時は、地獄かと思ったけれど。
尚、先輩は俺の助言通り犬を飼い始めた。
1匹から始まり2年経った頃には3匹に増えていて、ついには犬の為にと広い庭付きの一戸建てを購入してしまった。
因みにその間、彼女はできておらず、同じく彼女のいない俺が時折呼び出され犬たちと一緒に旅行に行く羽目になっていた。
うん、先輩の愛が重いのは寂しいからじゃなかった、元から愛が重いだけだった。
俺は最近、近所の神社でのお祈りが朝の日課になっている。
「早く彼女ができますように⋯⋯」
俺でも先輩でもどちらでもいいから。
じゃないと社内の女子の間に流れている、俺と先輩のただならぬ関係の噂が広がる一方だ。
━━━━━━━━━
(´-ι_-`) 秋恋なんて初めて知ったよ⋯⋯。