『突然の君の訪問。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
前の私なら、突然君が現れたら、動揺して、でもきっと飛び跳ねるくらい嬉しがると思う。今の私は君に、俺のこと好き?って聞かれてすぐに好きだよって言えるかな。君に振り向いて貰えて、私のことを見てくれて。それを世界一望んでたのは私のはずなのに。なんだか今は、君に嫌われないようにとしか考えられない。突然の訪問なんて絶対やめてね。君に家にいる時の私とか見せられないから。でもね、一緒にいたいとは思うよ。いつもありがとう。ごめんね。
突然の君の訪問。
コンコン
部屋のどあが鳴る。扉を開けるとそこには僕の大好きな人が立っていた。その人と会える世界線はどこだろうな。きっとはるか遠くの島。なんてね。
2024.8.29(水)
インターホンが鳴る。少しだけ動悸がする。
この動悸は彼女を恐れているからか、申し訳なさか、それともまだ好きだからなのか。よくわからない。
ドアスコープをのぞくと彼女が立っている。
居留守を使おう。
スマホが鳴る、彼女からのDMだ。もう3日も返信していないDMは気づけば未読が40件を超えていた。
「今日のところは帰ってくれないか」
そう送るとすぐに既読がついた。
「もういい」と一言だけ返信がくる。
この瞬間、僕と彼女の関係はだんだんと広がっていったヒビのところから綺麗に割れた。
彼女は僕に依存していた。
友達だった頃はよく笑いながら「メンヘラだから彼氏できないんだ」と話していた。
それを承知で付き合った。しかし応えれば応えるだけ加速していく彼女の要求に疲弊してしまった。
1週間が経ち、彼女に近いうちに話せないかとDMを送った。既読無視された。それ以上はなにも送れなかった。
次の日、大学で彼女の友人にそれとなく彼女のことを聞いてみた。その子曰く、彼女は冷めたらしかった。
あんなに尽くしたのに、こんなにあっさり終わってしまうのか。そんな思いがふつふつと湧き上がる。
と同時に彼女の要求に応えられない僕に存在価値はないのだとも思った。
彼女は絶対に僕から離れていくはずがないという根拠の無い自信だけが僕を守っていたみたいだ。
彼女しか僕を生かしてはくれないのだ。
僕は彼女の部屋のインターホンを押した。
反応はない。
突然の君の訪問。
急にどうしたんだ兄弟
すまない。
少しかくまってくれないか
(きちゃだめだ)
お、そのくらいええぞ
俺たちの中じゃないか
中に入れ
おーありがとう
(だめだだめなのに)
カチャッ
これはどうなってるんだ兄だぁ…
(あ…)
じゃあな
なんで…
突然の君の訪問
あの人と別れたって
そんな時しか、来てくれないのね
「本能が、それは訊くなと言っている」
大学入学を機に上京し数年。
東京はあらゆるものが高い。
俺は社会人になってからも大学入学時から住んでいるアパートに住み続けていた。
ある日曜日。
長らく空室だった隣に誰か引っ越してきた。
都会では引越しの挨拶はあまりしない。
だから、インターフォンが鳴るなんて思わなかった。
「すみません、私、隣に引っ越してきた者なのですが……」
若い女性と思われる声。
おいおい、防犯意識低くねーか?
ちょっと気をつけるように言っておいた方がいいか……?
親切心半分、どんな子なのか見てみたい好奇心半分でドアを開けた。
そこに立っていたのは、なんと、疎遠になっていた幼馴染。
「え……なんで……」
「……いや、なんでって、それこっちのセリフ」
この再会が、すべての始まり。
まるで止まっていた時計が動き出したような感じだ。
田舎の感覚が抜けきらない彼女に防犯面でアドバイスしたり、夜コンビニ行く時に付き添ったり、そのお礼にと食事を作ってくれたり────
そのうち、俺の部屋に彼女がいる時間が長くなり、じゃあいっそ一緒に住むか、ということになった。
人生何があるかわからない。
ところで、彼女が隣に引っ越してきたのは本当に偶然なのだろうか。
────突然の君の訪問。
「ただいま」
そういって突然訪ねてきた、死んだはずの人間。
なんで生きてるんだとか、教えた覚えのない自宅の場所をなぜ知っているのかとか、色々考えたけど、
もう一度対面できたことが嬉しくて嬉しくて、「おかえり」と返しながら思い切り抱き締めた。
そんな夢を見るほど、アイツが好きだった。
【突然の君の訪問。】
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
こんこんこん
【突然の君の訪問。】
住所、教えてないよね?
何でここを知ってるの?
「あっ」
突然の君の訪問は、いくつになったって慣れない。
*****
「いじっちぃぃ!!助けて助けてたすけて〜!!」
一人黙々と自習をしていた伊地知のいる教室に駆け込んできたのは、一つ上の先輩だった。
「くっ、来曲先輩!?どどどうしたんですか!?」
救助を求める言葉に、思わず声と椅子がひっくり返る。
「ぼくらの教室にぃ!襲来したの!……襲来?というよりセールス?」
「は、え?」
「訪問販売…押し売り?みたいな?今日ななくんもはーくんもいなくてぼくひとりなのにぃ…!」
「えっ……な、何がでしょうか?」
珍しくパニック状態の来曲は支離滅裂で、伊地知には何かが教室に侵入したらしい、ということしかわからない。
しかし、要塞レベルのこの学校に一体何が入れるというのか。侵入できてしまう、ということはそれ以上の……
伊地知は自分の想像に体を震わせる。
が、椋の話の続きで流れが変わった。
「いきなり求愛してきてぇ!!」
「は、はいィ!!?」
「びっくりして逃げてきたのぉ!助けていじっち!!」
「いや、」
「とりあえず来て!」
「ええええまっ待ってくださ…あっ鉛筆…」
意外にも力強く腕を引っ張られ、転がった鉛筆も拾えないまま教室から連れ出された。
学年が変わろうと代わり映えのしない教室の前。
特に何かが起きているようには感じない、いつもの景色。
「…扉は閉まっているようですが。……この中にいるんですか?」
「いるよぉ!!だって聞こえるじゃん!」
「聞こえる…?」
耳を澄ましても物音などは全く聞こえない。
窓を開けているのだろうか、自分の教室にいた時より蝉の鳴き声がずいぶん大きいくらいで、特に変わった様子はないし、気配もない。
「何も聞こえませんが…」
「うそぉ!!だってこんなにおっきい音でミンミンミンミン言ってるじゃぁん!!」
「………ミンミン?」
突然の訪問者の正体は、蝉、というオチに、伊地知は肩の力がガクリと抜けた。
教室の前方、黒板の上に掲げられた校訓の額縁に、大声で鳴く蝉が止まっている。
来曲の言い方があまりに紛らわし過ぎるのは、おそらく、否、絶対わざとだ。
口には出せないが、恨めしさを目に乗せて後ろを振り返る。
伊地知を楯にして肩にしがみつく来曲には上手く伝わったようで。
「だってぇ、あぁ言う言い方したら来てくれるかなって思って」
しれっと言い訳を返される。
こういうところは、二つ上の先輩に似ているなと現実逃避していると、来曲に肩を揺さぶられ、現在に戻ってくる。
「ね、セミ追い出してくれる?…掴める?」
「えっ、それはちょっと」
恐ろしい侵入者に比べれば大したことはないが、蝉だって極力関わりたくはない。
「何か、長いもので飛ばせて、窓の方に誘導しては?」
今二人がいるのは、蝉から一番遠い対角線の、後ろの扉の前。
ななめ後ろのロッカーに掃除用具があるはずだ。
箒の柄などを使えば、と伊地知はアドバイスをしてみるが、猛反対を食らう。
「えー!あいつ飛ぶ時なぜか人の方に向かって飛んできがちなんだよぉ!?しかもセミっておしっこかけてくるらしいしぃ!?こっち来たらどうするのぉ!絶対やだぁ!!」
ゴホッと咽ながら無駄に詳しい蝉情報を披露して嫌がる来曲をなだめていると、なんの前兆もなく、ミン……と突然鳴き声が止まった。
なぜか2人も動きを止めてしまう。
蝉の挙動をじっと見つめること30秒。
飛んだ。
威嚇かと思うような音を立てて、しかもこちら目掛けて。
「ぴゃあああああ」
「うわあああああ」
さながらゾンビに見つかった生存者のごとく、扉をガタガタ揺らしながら勢いよく開け放ち、廊下に転がり逃げる。
が、来曲が扉を開けてすぐ、黒い壁にぶつかった。
その勢いで跳ね返り、それに巻き込まれる形で伊地知も尻もちを付く。
「おい、うるさいぞ。何をしている」
壁……ではなく、ガタイの良い教師の胸板を呆然と眺めていると、そこに追い掛けてきていた蝉が飛んできて。
「「あっ」」
*****
その後、しれっと蝉を掴んで窓から逃がした先生―夜蛾に説教をされたなぁ、と伊地知は懐かしく思う。
なぜそんな回想をしているのか。
それは、あの時のように、突然の訪問に見舞われているからだ。今、現在。
車内に響き渡る大音量の鳴き声。
外に出ようと動こうものなら、その反動でこちらに飛んでくるかもしれない。あの時のことがトラウマとして蘇る。
音の方向的に後部座席のどこかにいるのは間違いないのに、バックミラーで様子を伺ってもどこにいるのか発見できず、ますます恐怖心が煽られる。
もっとひどい目になんて山ほど遭っているのに、どうして蝉ごときに。
あの日、来曲に思ってしまったことが、ブーメランとして己に返ってきて、心の中で来曲へ謝罪する。
そして一言、情けない声が漏れた。
「たすけてください夜蛾学長ぉ…」
【突然の君の訪問。】
「見ろ!まだくそあっちぃけどもう秋を見つけたんだ!」
彼が、窓を開け放して籠り切った空気を入れ替えていく。
蒸し暑い、けれど微かに秋の訪れを感じるような不思議な風と匂いを感じた。
ああ、もうそんな季節なのか。外に出られない僕はふと思う。
まだまだ暑さが続いてて大変だとか、それでもいろんなお店で秋の味覚が出回り始めたとか、ツクツクボウシやアキアカネが飛んでいたとか、汗に濡れながらもとても嬉しそうに語る。
いつも平坦な僕の日常に唐突に現れては、季節の移り変わりと共に色々なことを嬉しそうに教えてくれる君の笑顔はとても眩しい。
語るだけ語ったらまたすぐに出て行ってしまいそうな君を留めたくて、僕は毎回同じ言葉を返す。
「そうなんだ。ぜひ詳しく聞きたいから、窓じゃなくて玄関から来てくれないかい?その間にお茶とお菓子を用意するから」
#突然の君の訪問 -ちなみにここは三階の部屋-
【突然の君の訪問。】
急に人が訪ねてくるのが、ムリ
サプライズとか、もっとムリ
だから、そんな時は居留守をつかう
悪いとは思ってるよ
嫌いになったとかじゃないんだ
ムリなものはムリなんだ
理解してもらおうとは思わないけど、
こんな人種もいることを知っておいてほしい
今日学校の帰りみち
ふと横をみたら
太陽がおちるとこだった
ギラギラの宝石みたいな
ルビーみたいな感じ
不思議と眩しくなくて
どっちかっていうとマグマみたいだった
私の下を流れる川も飲み込めそうなのに
でも私に届く前に消えそうだった
_街
2024/6/03 20:19:49
作品No.150【2024/08/28 テーマ:突然の君の訪問。】
二十三時も過ぎた頃。突然にきみが、私を訪ねてきた。
他愛もない話を、日付が変わってもし続けて、やがてきみは帰っていった。「また」と、声をかけたのに、それには答えないきみに、違和感をもったのに、知らぬふりをした。何度も振り向いて去っていくその背中が、やけに遠く思えたのだが、私は気にしないことにした。
朝になって、きみが永遠にかえらないと知ったとき、私は悟った。
あれはきっと、別れを言うための訪問だったのだ。
君はいつも
何の前触れもなく僕の前に現れる
夜中に突然来た時は驚いたよ
一瞬にして鼓動が速くなっていくのがわかる
出来る事なら連絡くらいしてほしいな
...無理か、連絡手段なんかないもんな
この前だって夜中に友達なんか連れてきてパーティーなんかしちゃってさ、正直大迷惑だよ
昼間はぐーたら寝てるくせに夜になると大はしゃぎ
黒ギャルでフッ軽だし、パリピかよ(笑)
あの時は怒って頭叩いたね
友達もびっくりして隠れてたよ
君と最後に会ったのはいつだったかな?
僕があのボロアパートから勝手に引っ越したのが去年の夏頃だから一年くらいかな
本音を言うと君の事が嫌いだったんだよ
顔も見たくないし、なんなら足音さえも聞きたくなかった
今は新築で前の部屋より広い2LDKのアパート
しかも門部屋
南向きの窓から吹き抜ける風はとても気持ちがいいんだ
だからさ、だから絶対に面見せんじゃねぇぞ
ゴキブリ
俺が貴女の庵に押し入ったことが、俺と貴女との物語の始まりでした。
貴女はもしかしたら、そのことを「突然の来訪」とでも表現するかもしれませんね。茶目っ気たっぷりの貴女の顔が想像できて、微笑ましい気もしますし、申し訳ないとも感じられます。
貴女は俺のような者のことも、受け入れてくださいました。
その愛に浴することができて、俺は全く幸福です。
今、そのいただいた愛を、あるいはそれ以上のものを、貴女にお返しできているでしょうか。そうであることを、日々祈り続けています。
突然の君の訪問。
チャイムが鳴る
戸を開く
君がいる
意味がわからなくて
僕はフリーズする
僕と君は
お互いにそこまでの仲ではないはず
君が急に訪ねてくる理由もわからない
混乱する僕に君は
申し訳無さそうに口を開く
「どうしても
君に話を聞いてもらいたかったの」
期待してもいいのだろうか
僕が密かに君のこと想い続けているように
君も僕のこと頼りたいと思っていると
突然のことでびっくりはしたけれど
幸い僕の部屋はあんまり物がないから
散らかったりはしていない
「よかったら、どうぞ」
家の中に上がるように促す
僕も緊張しているけれど
君も緊張しているの伝わってくる
勇気を出して訪問してくれた
君の気持ちに応えたい
突然の君の訪問。
いや、本当に突然すぎてびびった。何急に。今何時だと思ってんの?夜中だよ?外とか超暗いよ?何はともあれ、久しぶり。
…へぇ、家出ねぇ。君の家は厳しいっていつも言ってたもんね。夜中ぐらいしかチャンスはないか。そしてウチ以外に行くあてが無かったと。
普通さ、こんな時間にどこ行ったって追い返されるよ。まったく…まぁ、とりあえず上がりなよ。うちも親寝てるから静かにね。しーっ。
…あっ、そうだちょっと部屋片付け…まぁいいか。とりあえずここだけ寄せて…よし、ここ座っていいよ。ごめんね汚くて。なにしろ普段誰も遊びに来ないからさ…
まぁゆっくりしていけばいいよ。…親に秘密のこの感じ、ちょっと楽しいかも。
…なんでこの時間に起きてたのかって?うーん。君って口が堅いほう?そっか。家出の理由教えてくれたら教える。
ふんふん…思ったより重いね…なるほど。自分は…実は死のうと思って準備中だったんだよ。ほら、あそこにロープを結んであるし、遺書は書き途中。そこに運良く?運悪く?君が訪ねてきたわけだ。
自分はここから逃げたい。君はあそこから逃げたい。目的が一致している。そして自分は、君と遊ぶのが楽しい。
ねぇ、一緒にどっかに逃げて心中しない?
…賛成ありがとう。準備するからちょっと待ってて!
完全に休日だった。
今日は一日中、ダラダラと怠惰を貪っていた。
畳んだ布団を枕に、床に寝転んで。
余暇時間を贅沢に食い潰していた。
読破済の本を流し読みして、読み潰した漫画をなんとなく捲って、視聴済の動画を視聴して、たまに気を引くおすすめ動画があればそれを開く。
脳を使う気なんて微塵もなかった。
今日の用事は、数時間前に行った病院くらい。
微熱と軽い頭痛。それから軽い食あたり。
動けないほどではないけれど、動く気はしない。そんな体調不良。
一応、内科にかかって薬はもらって、後はもう何をする気もない。
布団にくるまって眠り込むやる気も深刻さもないけど、学校に行ける気はしない。
だから欠席連絡を入れて、とりあえず体力を使わずにゴロゴロすることにしたのだった。
ぐずぐすの体調管理の一日。ダメダメだけど、忙しい毎日にふと恋しくなるそんな一日。
今日はそういう日になるはずだった。
突然の君の訪問。
間の悪いことにそれは今日だった。
君は元気で強い人間。
誰よりも努力をして、誰よりもエネルギッシュで、誰よりも正しい、普通…いや、努力の才能に恵まれた人間。
君がインターホン越しに用件を告げた時、正直、気持ちが落ち込んだ。
君に何が分かるだろうか。
今日、ここで君と会って休みの理由を正直に話したとして、幻滅されてズル休みと見做されて、最悪、噂になって…そんなことになるのがオチだろって。
君は、学校でも人生でも一番の友達だった。
人としての出来は全然違うけど、君が眩しかったし、君に憧れていたし、ずっと仲の良い友達でいたかった。
だから、絶望した。
ここで友情は終わってしまうんだって。
今まで隠してきた、怠惰を極めた本性に呆れられて、疎遠になるんだって。
そんな葛藤を知ってか知らずか、君は家にやってきた。
とりあえず、迎え入れる。
麦茶を出す。
向かい側に座る。
くらくらする。
なんだか頭痛が痛い。酷くなってきた気がする。
緊張からか、心臓がすごく嫌な音を立てている。
君の顔をまともに見れない。
いつも通り、明るく笑って、君がプリントを差し出す。
夕日が窓から差し込んでいる。
君の次の言葉が怖い。
君が麦茶を一口含む。
喉を湿らせて、それから何か言おうとする。
顔を上げられない。
身体が熱い。
頭痛い。お腹も痛くなってきた気がする。
君が血相を変える。
慌てて向かいの席から立ち上がる。
目が霞む。
脂汗と冷や汗が止まらない。
瞼が重い。
君の慌てた顔が見える……
…
目が覚めた。
布団の上で、君が隣で声を掛けてくれた。
どうやら、緊張と行きすぎたネガティブ思考からか、あの後、倒れてしまったらしい。
上半身を起こす。
目に涙を浮かべ、大袈裟に喜ぶ君を見て、一抹の罪悪感と、胸いっぱいの安堵感が込み上げる。
…ああ、君はよくできた人間で、最高の友だ。……それに比べて僕ときたら……
複雑な気持ちから、ようやく君宛の言葉を絞り出す。
「…ありがとう。君が友達で良かった」
ズル休みスレスレで休んだ日の、突然の君の訪問。
…心臓に悪すぎる。
いつの間にか、外はだいぶ暗さを増していた。
突然の君の訪問。
バンッと開かれたアンティークのドア。
隙間から涼しい風が吹き込んできた。
彼はいつも秋の匂いを連れている。
「1年ぶりだな、アキタカ!」
「久しぶりだねルカ。ところで、
そろそろチャイムの存在を覚えてよ。
百歩譲ってノックでもいいんだけど?」
「だって、この1年間で話したいことが沢山できたんだ」
「」