『紅茶の香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
紅茶の香り
夕方4時私はいつもこの時間にベランダで紅茶を飲む
夕方4時俺はいつもこの時間に紅茶の香りがする家の前を通る
紅茶を飲んでいるあの人はとても美しく、惚れてしまいそうになる
【紅茶の香り】
別に紅茶は悪くない。
紅茶も美味しいよ?
おれは珈琲を片手に、隣に座る恋人の顔を伺う。
おれが心を込めて淹れた珈琲を飲みながら「紅茶もいいよな」なんて、デリカシーのないことを口にするんだから、ホントに君って人は。
ほっぺたを膨らませるおれに、「可愛い」とか言ったって珈琲の機嫌は直らないよ。
おれじゃない、珈琲の機嫌だから。
デートに誘ったって──珈琲の機嫌は直らないけど、おれの機嫌は君との紅茶の香りで直るかも。
お題 紅茶の香り
紅茶の香りがするフレグランスを見つけた。ふわりと香る濡れた茶葉の匂い。なぜか不思議と心が落ち着く。小洒落たカフェでシフォンケーキを頂きたいような気分。
「紅茶の香りはストレス減少と、寝付きを良くする効果もあるそうですよ」
側にいた店員がそう話しかけてきた。確かに落ち着くと眠くなりそうな香りだ。私は香水をつけたりはしないが、夜寝る前くらいなら構わないだろう。
「これ、いくらですか?」
今夜が楽しくなりそうな予感だ。
目の前の机に紅茶が2つ置かれる。
俺の分と客の分である。
紅茶を置いていった母は、俺にだけ見えるように親指を立てながら、部屋を出ていく。
うるせえ。
母が出ていったあとの部屋に気まずい空気が流れる
紅茶もとても飲む気にならない
机の反対側の客の方に目線をやる。
客は同い年くらいの女の子、容姿は俺の好きな女性のタイプをそのまま体現したかのようだった。
そんな彼女は熱い紅茶をふーふーと冷ましていた。
話が進みそうにないので、こちらから切り出す。
「で、お前、誰なの?」
彼女がこちらを見る。
「最初に言った通り、あなたに助けてもらったツルです」
「‥俺、ツルを助けた覚えないんだけど。人違いじゃないか?」
「間違いありません。私はあなたに救われました」
そう言うと彼女は居住まいを正す。
「あれは昔むかし、具体的には1時間前くらいのことです」
「さっきかよ」
彼女の話は大げさすぎて、さっぱり分からなかったが、話を聞きながら1時間前のことを思い出していた。
放課後、天気がいいので、クラブのみんなで部室を掃除することになった。
ロッカーの裏から千羽鶴が出てきたのだ。
俺たちが生まれたくらい昔に、大会優勝を願って折られたものらしい。
捨てるという話になったのだが、もったいないと思い、俺が持って帰った。
「分かった。お前千羽鶴のやつか」
「はい」
俺は納得した。
「なるほど、それで恩返しと」
「それは違います」
思わず彼女の目を見る。
「私は千羽鶴です。願いを叶えるために存在します。今日はあなたの願いを叶えに来ました」
「えっと、俺の願いを?大会優勝は?」
「私が生まれたときのことですか?あれは結局人数が足りなかったので大会自体に出ていません」
衝撃の事実に言葉を失う。
願い事の優先順位おかしくない?
「なので願い事を叶えられず、私はずっとモヤモヤしていました」
彼女は俺の目を真っ直ぐ見てきて、どきりとする。
「あなたの願い事が大会優勝というのなら叶えましょう。でも違いますよね。あなたの願い、それは恋人ー」
「チガウヨ」
食い気味に否定する。
「恥ずかしがらなくても大丈夫。私には何もかもお見通しです。この姿もあなたの好みに合わせました」
「勝手に頭の中覗くなよ」
うわ、俺の好み知られてて恥ずかしい。
「さっそく結婚式を挙げましょう。そして子供の数は、えーと」
「話進めのんな。頭覗くな」
「待ちなさい」
声の方を見るとドヤ顔をした母親がいた。
なんでいるんだ。
「話は全て聞かせてもらいました」
「いや、聞くな」
母親は俺を無視して話を進める。
「ツルさん。何事にも段取りというものがあります」
「段取り‥」
彼女が俺の母親を真っ直ぐ見る。
母親のことを無視するのが俺の願いなんだけど、彼女は叶えてくれそうにない。
母親は続ける。
「そう、デートをたくさんして、思い出をたくさん作り、絆を深めるのです。そして息子からプロポーズ。結婚はそれからですよ」
「なるほど。私は結論を急ぎすぎたようです」
彼女がなんか納得した。
「待て待て。本人不在で話を進めるな。俺はー」
「なら恋人は必要ないと、今ここで断りなさい」
俺は一瞬言葉に詰まる。
「でもお互いの気持ちというか」
「あら、それなら問題ないわ。この子あなたのこと好きよ。一目惚れね」
驚いて彼女の方を見ると、彼女は赤くなっていた。
「だって恋人役、自分じゃなくて、他の女性でも良いものね。彼女、あなたを独り占めしたいの」
唐突に来たモテ期に動揺する。
「でも、俺はー」
「あんまグダグダ言うと、お小遣い無しよ」
「僕が間違ってました。お母様」
母親はこほんと咳払いした。
「さしあたって、今月末ハロウィンがあります。そこでデートしてきなさい。もちろんコスプレも。準備も絆が深まるわ」
「分かりました」
「ワカリマシタ」
オレたち同意する。
「ただ、ツルさん。デート以外にもすることはたくさんあります。花嫁修業です。まずは息子の好きな唐揚げを作りましょう」
「分かりました、お母様」
そう言って二人は部屋を出ていった。
あまりの展開に心を落ち着かせていると、台所から母親の楽しそうな声が聞こえてきた。
そういえば娘が欲しいと言ってきたような気がする。
思えばいつもより強引だった。
過ぎたことを考えても仕方がない。
とりあえず、デート用の服を買いに行こう。
立ち上がろうとして机を見ると、冷めた紅茶が目に入る。
どうしたものかと考えていると、紅茶の香りが漂ってきた。
顔を上げると、部屋の入口に彼女が立っていた。
手には2つ紅茶を持っている。
「さっき飲みそこねてしまいましたからね。一緒に紅茶を飲みませんか」
ハロウィンまであと4日。
ローズティーは薔薇の香り
そして紅茶の香り
ふたつが相まって
ローズティーという名の香り
紅茶の香りが自分の鼻をくすぐった。
自分は、この香りが嫌いだ。大嫌いな両親が、これを飲んでいたから。
きっと、両親は紅茶自体が好きなのではなく、そこに隠して入れた薬が好きなのだろう。
何故隠したか?そんなのは知らない。知りたくもない話だから。
「ねぇ先生。アンタもこの紅茶好きなんですか?」
気になったから問いてみる。彼はこう言った。
「いいや、大嫌いだ」と。
「薬が、無いからね」
大嫌いな両親が好きでいれる時間は、先生でいてくれる時間だけだった。
一言だけ言っておく。自分は、紅茶は好きだ。
薬なんて、入れないから。
ウチは母が紅茶を楽しむのが好きなようだ。
茶葉が何種類か普通に置いてある。
ティーポットの保温袋なるものを自前で作っていて驚く。
自分の中にあの血が流れてるか疑問だ。
そういえば、名状し難いあの器具。
ガラスで出来た円筒形を立てた物体。
中に金属で出来た、ところてんの突き棒みたいなのが入っている。
それに茶葉とお湯を入れてブンガブンガやるあの器具。
茶葉が中で高速で暴れまくって面白い。
あれを使うとなんかスゴく濃い紅茶が出来てたな。
ブンガブンガやり過ぎると、そーっと下ろせと怒られるけどね。
まあ私が飲む紅茶はどうやって淹れても
最終的に牛乳と砂糖を大量投入するので
香りとか以前の代物になるな。
僕らの中に紅茶を嗜む人間はいない。
きっと本体が紅茶を好まないからだ。
僕らは一人なのだから。
#1 紅茶の香り
オレ達モンスター三姉弟☆
ハロウィン近くになると、都会やらにバリバリ外出致します。
なぜなら、獣耳と尻尾丸出しで街を歩けるからです♪︎解放感抜群で御座いますっ。
ファミレスのハロウィンフェア、オレが、今しか食べられないメニューの“ハンバーグカボチャドリア・チーズ山盛り”を半分食べたところで…。
テイちゃん(兄)が、紅茶の茶葉を入れた茶漉しとオレ宛♡の烏龍茶を右手に、両手いっぱいにガムシロップを包み持つ姉さんを左腕に抱えて、ドリンクバーから戻って来た。姉さんを膝の上に乗せたままオレの向かい側に座るテイちゃん。定位置です。
「え?姉さん紅茶飲むの?」
「メロンショージャば、すなぎれでにょお、しょれにテイちゃんが紅茶美味しょににょんでがらよぉ~♪︎」
ドリンクバーに目を戻すと、店員さんと店長さんが、開店後一時間で飲み干されたメロンソーダの謎解きに頭を抱えている。すいません。
姉さんは、ウルトラジョッキパフェを食べた後にメロンソーダを入れて飲んだジョッキに茶漉しを乗せ、ようとしたがサイズが合わず、直ぐにテイちゃんがフォロー、両手の空いた姉さんはガムシロップのフタを全て開けると、茶漉しの茶葉にガムシロップをかけ始めた。
「…お湯は……?」
「ぬげぇもんばにょめにぇいっ」
…知ってますけど、まぁいいか。
99%ガムシロップを飲む姉さん。
「をを、こりが紅茶のきゃおりじゃびが…!」
1%の紅茶の香りを感知した姉さん。
ガムシロ漬けになった茶葉で、本物の紅茶の香りを堪能するテイちゃん。優雅!!
ハロウィンフェアを満喫したところで、姉さんが配膳ロボットに付いていく遊びを始めた。
テイちゃんが『チチチチチ…』と舌を鳴らして姉さんを呼んでいる。
「あいっ♡」
姉さんに勢いよく飛び付かれてソファに押し倒されたテイちゃん。
「……そろそろ帰ろう?」
真っ直ぐに掲げられた、テイちゃんのグ~ポーズの腕は、長くて筋肉質で美しい♡
赤い香り
良い匂い
全て終わったんだ
夕空を目の前に、私は座り込んだ
まるで映画の一部始終を観ているかのように
綺麗な景色だった。
それでいて残酷で、もう終わってしまうのかと
何かを悟らざるを得ない。
赤く、赤く、綺麗で堪らないその液体を
私は愛でるように眺めた。
庭には赤い、紅茶の香りが漂っている。
連勤が終わった私には、今は天国にも感じられる。
肌寒くなった私は、その庭をあとにした。
決まった香りのこの場所で。
ドアを開けるとカランコロン。
まばらと言うには人が多く、会話が混ざって聞こえる程度。しかし、ところどころに空席が散らばっているのも目に入る。表すのに言葉が見つからない、中途半端な人の数だが、でもまだ見当たらない。
どの席に座ろうかと考えていると、またもやベルがカランコロン。
聞き慣れているはずなのに、心臓が一瞬跳ね上がる。
客か、いや客ではないはずはないが、何だ誰だと思ってしまう。
臆病な性格は昔からで、いささかなことにも体が反応する。怖い、そういう感情ではない。不安に似た何かだ。いつ来るだろう。
席に座って、少し優しくカランコロン。
音に目が移って、すぐ戻る。音が違う、なのに見てしまうのは前述の通り。
テーブルに腕を置いて、とん、とん、とん、と一律に指を机上に当てる。自分でしているのに、その動作が苛立たしい。すぐに止める。
自分が発する音に対して、苛立ちを覚えることがある。決まってこの店に来たときで椅子を引きずって耳に嫌に響く音。頭を掻いて、かりっ、かりっ、とする音。ときに、空気を吸って、息を吐く音が苛立たしい。来る前に落ち着こう。
ベルが鳴る。その前に見てしまう。
ドアを開けて入ってくる。心臓がどくどく跳ねる。
こっちに近づいてくる。心臓の音に苛つく。
席に座る。思考が止まる。
「それで、なんでいつも店に呼び出したの?」
気づかなかった、ポケットに入った小さな箱。
出会ったこの場所で、紅茶の香りがするこの場所で、彼女に伝える。
「紅茶の香りの特徴とひとの特徴」
紅茶には色々な匂いや味、見た目が違うよね
紅茶の香りで癒される人、紅茶の味で癒される人
人それぞれだよね。
紅茶には色々な特徴があるように人間にも特徴がある。
自分には出来て他の人はできないこと。
他の人には出来て自分にはできないこと。
自分が得意なことが、他の人は苦手だったり、
他の人が得意なことが、自分には苦手だったり。
それが「個性」だと思う。
紅茶にも必ず欠点があるように人間にも人それぞれ欠点がある。
でも、それを責めるのはどうだろう。
完璧な人は絶対にいないし、だからってなにもかも出来ないってわけじゃない。
だから、人の個性は紅茶と同じように色々と特徴がある。自分の個性はこの世界でたった1人の人という証でもあるから、自分の個性を大事にして欲しい
私は友人の結婚式の帰りにとあるカフェにきた。
「はぁ~。新郎かっこよかったなー。私にも運命の相手現れたらいいのに。」
そんな勝手な妄想を1人で呟いても現れるわけないと分かっているのに、そんなことを言ってしまう。
はぁー。お腹空いた。一応式で食べたけど、満腹になるまで食べると引かれるからちょっとしか食べてない。運命の相手が現れるかもしれないという絶対に無い可能性をちょっと信じてた自分が馬鹿だった。
何かあるかなーとメニューを開いてみる。
えーと
○アイスコーヒー
○ホットコーヒー
○紅茶
○オレンジジュース
○カヌレ
○ラスク
どうしようかなー。
ラスクは苦手だしカヌレにしよー!あとは、アイスコーヒーかな!店員さんが近くを通ったので声をかける
「すみません。アイスコーヒーとカヌレ下さい」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
店員さんがキッチンの方へ消える。
それにしてもこの店は紅茶のいい香りと周りの観葉植物が綺麗に並んでいて好きだな。とりあえず近くのカフェにググって来たのは正解だったなー!周りの人を見渡してみると、平日の昼頃であまり人がいない。
でも、1人だけ20代後半らしい眼鏡をかけた男性の人が紅茶を飲んでいた。顔はイケメン。こんな人を新郎にしたかったな。そんなことを考えていると
「失礼します。アイスコーヒーとカヌレです。
ごゆっくりどうぞ。」
軽くお辞儀をする。カヌレを食べながらさっきの男性のことを考える。ずっと見ているのが気づかれたのか男性がこっちを見る。軽く会釈をしてきたのでこっちも会釈をすると男性が紅茶を持ってこっちの席に来る。何で?面識のない人がこっちに来るとか何で?
「こんにちは。間違っていたらすみません。今日の結婚式にきていた人、、、ですよね、、?」
あぁ。新郎の友達か。スピーチをしていた気がする。
「あぁ。スピーチをしていた方、、、ですよね、?」
「はい!そうです!こんなことを言うのは気が引けるのですが、、、ずっと気になっていて、、。お話ししたいと思ってました。」
えええええええええええええええええーーーーーーー
なんで、、!体全体の体温が高くなっていくような気がする。気になっていてって、、、、、、。とりあえず話合わせるか。
「えっ?私も気になってました!」
「よかったー。どんどんお話ししましょ!」
どんどんお話ししていくうちにいい人かもしれないと思った。
そのあとは3年の月日が経ったあと2人は結婚した。
人生にはいい出会いがどこで現れるかはわからない。
彼は彼女が大好きだった。ある日、彼女のために、彼は紅茶を淹れることにした。彼女は紅茶の香りがすると、彼が淹れた紅茶を受け取った。
彼女はその香りに包まれ、彼の優しさに触れて、幸せな気持ちでいっぱいになった。彼の愛を感じた彼女は、彼に心を開き、彼を愛するようになった。
それからというもの、彼女は彼と一緒にいるときに、いつも紅茶の香りを感じた。彼女は彼との思い出を紅茶の香りと一緒に大切にしていた。
そして、ある日、彼女は彼と一緒に紅茶を淹れることになった。彼女が淹れた紅茶の香りを彼は嗅ぎ、彼女が彼に与えた幸せな気持ちを思い出した。
彼女との思い出を紅茶の香りとともに胸に刻み込んだ彼は、彼女を愛し続けることを決めた。紅茶の香りは、彼女と彼の愛の証であった。
アフタヌーンティーの時間に合わせてメイドが紅茶を入れている。
ポッドに注がれる湯から湯気と共にダージリン特有の甘い香りが私の鼻を掠める。
私は紅茶の香りが嫌いだ。
この甘い匂いは私に厳しい令嬢教育の過去を思い出させる。
美しいウエストを維持する為に肋骨が変形するまで巻くコルセット。
主人となる男を立てる為に与えられる知識は女の自立に役立たない。
飲食のマナーの時間には、いつもこの紅茶を出されていた。
「ご主人さま、アフタヌーンティーです。」
「ありがとう。」
私はカップの取っ手を摘み、鼻先に近づけより香りを堪能する。
私は負けない。
不敵な笑みを浮かべて私は紅茶を飲み干した。
《紅茶の香り》
【 紅茶の香り 】
温かいお茶の香りは、思い出の鍵だ。
小学生の頃、一番仲良しのあの子の家にお呼ばれして、
初めて飲んだ。
苦いな、という印象だったが、砂糖を入れ忘れただけだ。
中学生になると、好きな子とペットボトルを買った。
ミルクティーは、とても甘かった。
高校では皆してレモンティーを。
大人気分を味わったものだ。
オシャレなフレーバーティーを楽しめる歳になって、
当時の仲間たちと語り合う。
思い出のお供に、一杯の紅茶はいかが?
紅茶の香り
コーヒーよりも紅茶が好きだ。
ミルクと砂糖は入れず、ストレートで飲む。
口中に広がる紅茶の香りは、どこかホッと安心できる。
一口、また一口と飲む。味も匂いも楽しみながら、のんびり本を読む。
この時間は誰にも邪魔されたくはない――
皆さんお元気ですか?今日は土曜日なのでずっとお昼寝してます。何もしない日もいいものですね。明日私は友達と出かける予定があります。ワンピースを見に行くんです。久しぶりに友達と映画を見に行くのでワクワク(っ ॑꒳ ॑c)してます。好きな人も来るので気合いを入れるために今日は睡眠を確保してます!明日11時45分までに駅に着いておかないといけないので11時25分くらいに家を出る予定です!早めに起きないといけないので今日はめっちゃ寝ます!
「紅茶の香り」
わたしには、大好きな古本屋がある。
少し小難しい哲学書や歴史書から、有名な文豪の作品などが置いてあり、アンティークな雰囲気のあるお洒落な古本屋だ。
店内にはいつも、クラシックの音楽が流れていて。
少し小さいお店の中に、沢山の本が置いてある。
今日もまた、足を運ぶ。
チリンチリン
木製の扉の鈴がなる。
「ごめんください」
ゴロゴロと喉を鳴らしながら、黒猫がこちらにすり寄ってきた。
その猫を撫でていると、目の前に人影が現れた。
「いらっしゃいませ。」
「店長さん!こんにちは!」
慌ててスカートを叩き立ち上がる。
茶色のカフェエプロンをした、白髪のオジサマがたっていた。
「少し久しぶりですね。」
「そうですね…来たかったのですが、大学のレポートが立て込んでいて…」
「そうだったのですか!もしよければ、ここで作業していただいてもいいですからね。」
「本当ですか!ありがとうございます!」
一時の休息を思わせる優しいオジサマも、このお店が好きな理由の一つだ。
コト、といつもの紅茶を机に置く。
「では、私はこれで。ごゆっくりどうぞ。」
ふわり、と紅茶の匂いを漂わせ店長さんは裏に戻っていった。
ギシギシとなる椅子に腰かける。
ダージリンの匂いが、私を妄想の世界へと誘っていく。
今日は、どんな人生を生きようか。
本の背を撫で、1人紅茶を揺らしながら考える。
今日もまた、偽りの世界へ浸っていった。
子供の頃、母と訪ねたどこかの家。
住宅街の中にある、ごく普通の一戸建てだった。
私たちは乾いた落ち葉を踏みながら
呼鈴を押した。
玄関で迎えてくれたのはおばあさん。
案内された部屋には小さな引き出しがついた壁一面の棚、
その前に置かれた木のテーブルの上には、たくさんのガラス瓶が並んでた。
母が鉛筆で何か書いて渡す。
その間おばあさんは私をじっと見て、目が合うとニッコリした。
間もなくいくつかの瓶と、抜いた引き出しがテーブルの上に置かれた。
いつの間にか眼鏡をかけていたおばあさんは、木のスプーンで茶葉を掬うと広げた紙の上に次々と出していった。
空中で何度も何度も混ぜ合わされる小さく捻れた葉っぱたち。
独特の香りが部屋の中を私の周りを包み込んでいく。
誰も喋らない静かな空間に乾いた音だけが響いてた。
おばあさんは平たい袋にそれを全て詰め終えると、熱で口を閉じる機械のペダルを踏んで封をした。
はい、こちらです。
母はお辞儀をしながらそれを受け取り、代わりにお札が入った封筒を渡した。私も母に倣って頭を下げた。
玄関のドアを開けると、門の向こうに父の車が停まっていた。
私は落ち葉を踏みながら車に向かって走った。
ずいぶん後になってそのお茶を飲んだ。
ごく普通の紅茶、少しだけ苦い紅茶だったと思う。
乾いた季節、乾いた音、乾いた記憶。