『踊りませんか?』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ステップを踏むように歩く君に、思わず言いたくなった。
「踊りませんか?」
いや、僕、踊れないか。
「踊りませんか?」
小さい頃に、一度だけ。
ただの悪ふざけの一環で、お姫様ごっこをした事があった。
《よろしければ...私と踊っては頂けませんか?》
綺麗に跪き、手の甲に口ずけを落とした。
その姿は、あまりにも美しく、まるで咲き誇るバラのようで--
思えば、あの時から。
俺はあいつの手の中だったのかもしれない
踊りませんか?
78作目
コロナから解放された娘が、今日から登校した。
疲れたのだろう。帰ってくるなり、ゴロンと転がって眠ってしまった。
約2時間後、娘がムクッと起きた。
見ると、今までにないくらいの寝ぐせ。
ショートヘアの短い髪の毛が、ぴょんぴょんと跳ね回っているようだ。
中でも、向かい合うように立っている様子は、
踊りませんか?
とでも言っているようだ。
私の頭の中に
ビリー・ジョエルの
〝AllYouWannaDoIsDance”が流れた。
paki
この冷えた小さな胸の中に光る希望は、あたしが捨ててはいけないもの。舞台の上でだけは、彼女に成れる。あたしに成れる。
踊りましょう
人生という舞台で
踊りましょう
好きな音楽に合わせて
踊りましょう
手を取り合って
いつまでも いつまでも
楽しく
陽気に
踊りませんか?
いつまでも一緒に…
【踊りませんか?】#9
テーマ:踊りませんか? #325
みんな踊っていた。
文化祭の最後にダンスをペアで踊る。
私はペアが作れなかった。
男子とも女子とも……。
そんな子他にいないのに…。
私はため息を付きその場を離れようとした。
「一緒に踊りませんか?」
急に後ろから手を引かれた。
私は振り向く。
そこにはクラスのお調子者。
馬鹿にしているんでしょ。
運動音痴な私を。
私は手を振り払おうとしたが離れない。
私がキッと睨むと相手の顔を見てそれをやめた。
馬鹿にされているような気はしない。
真剣そのものだったから。
きっとこれも演技よ。
騙されちゃだめ。
絶対に踊れない。
私は首を横に振る。
「大丈夫。俺に合わせて」
同時に体を引き寄せられる。
ダメだって!
笑いものにされちゃう。
私はぎゅっと目をつぶる。
「大丈夫。ちゃんと見て。俺だけ見ていればいい」
いつものお調子者の彼とは思えないほど落ち着く声。
私が目を開けるとそこにはふっと笑う、
私の知らない彼がいた。
踊りませんか?
夢の中へ行ってみたいと思いませんか?
『踊りませんか?』2023.10.04
ダンスを教えてくれ、とあの人にそう請われた。いつものようにのほほんとした顔で。
何を言うのか、とツッコミたくなった。彼は謙遜するが、芝居も上手ければ歌も上手い。そしてダンスもそこら辺の役者と比べるとかなり上手いほうだ。
しかも、アメリカの演劇のメッカにいたのだから、実力もある。それなのに、出演する作品にダンスがあるたびに彼はオレにダンスを教えてくれと請うてくる。
今回はどうやらワルツらしい。彼はオレをダンスのプロかなにかだと勘違いしているのではなかろうか。すぐに踊ってくれと言われても踊れるわけではない。
「簡単なステップでいいから」
お礼に飯をおごるからと言ってくれたので、了承するしかないだろう。
「よければ踊りませんか?」
そうセリフを口にして、彼はオレの手を取った。話が違う。ステップを教えるはずじゃないのか。
「さすがに相手役いないとつまんないでしょ。女性側のステップ踏んで」
彼はそう言って、迷いなどないようにAのステップを踏んだ。ワルツのなかでも基本中の基本だ。踏み込んでくる足に合わせて、こちらは足を下げる。
背中に触れる彼の手の武骨さ。強引さはなく、リードしてやるという気概が感じられた。
教えてくれという割りに、少しも不安要素が感じられない。
何を教えてくれというのかわからず、素直にそう口にすると彼は、
「たんにお前と踊りたかっただけ」
といつも通りに、のほほんとした笑顔を見せた。
【踊りませんか?】
嫌なことは全部忘れて、踊りませんか?
好きなことだけ考えて、歌いませんか?
君の手を取り、踊って歌おう。
はじめて会ったあの日みたいに。
はじめて浴びたあの光みたいに。
僕と一緒に踊りませんか?
人生と言う名のダンスを♪
なんてカッコつけてしまって
今になって恥ずかしい…
君は満面の笑みで
はい、ぜひ♪
と返事をしてくれた。
これが僕のプロポーズだった…
ちなみに出会いは社交ダンス教室。
君のダンスを初めて見た日から惹かれて
僕は通うのが楽しみになって
もっと極めたくなってそれから
君と友達になり仲良くなり猛アタックの末に
交際がスタートしたのだった♡
そして交際6年が経ち…
僕は君と過ごして
ほんとに喜怒哀楽が増えて
毎日がキラキラして今かなって
カッコつけたプロポーズした訳さ!(照)
しかも社交ダンス教室で!
何はともあれ…
これからも共によろしくお願いします♡
愛してます。
運動音痴で歌も下手で勉強もできなくてアイドルばっか見てる俺と一緒に踊りませんか?
踊りませんか?
明日を、明後日を、そしてその先までもを…
毎日は目まぐるしく変わっていき、
今日さえも楽しめない。
機能したことさえ忘れてしまった。
毎日を楽しみたい、
その何気ない毎日を惜しみたい。
だからダンスを踊るかのような…
パートナーが目まぐるしく変わるダンスのように、
生きていきたい…
大切なものを胸に抱いたまま…
運動神経が
悪過ぎて
リズム感もない
わたし。
ダンスを見て
それを真似する
なんて
到底
出来ない。
でも
動きを
ゆっくり
1つずつ
教えてくれた
先生。
拙いけど
みんなと
踊れて
楽しかったよ。
#踊りませんか?
『踊りませんか?』
足を怪我して辞めた
二度とここに来るとは思ってなかった
君は私に原因をくれる
今日も君は私を困らせる
踊りませんか?
そう声をかけてきた君は緊張していたね。
顔を見たらすぐにわかったよ。
いつも先生先生と子犬のような君が、
隊服姿しか知らない君が、
タキシードなんて着ちゃってさ。
ふふ、失礼。
今のは別に似合ってないとかそういうのじゃないよ。
うん。そうだね。踊ろうか。
井上陽水かな
まだまだ探す気ですか♪
それより僕と踊りませんか♪
夢の中へ夢の中へ…
昔この曲がエンディングのアニメが
あったな~
単行本も持ってたんだけど
アニメはめちゃ中途半端で終わって
確かにあの内容をアニメにするには
難しいかも…??
今日はわかる人にはわかる話
漫画とはいえ普通の高校生が
体験することじゃないなと思いつつ
キャラクター達がいってたセリフは
わりと人生のなかで合致することが
あったな~
私のわりと好きなセリフは
『理解できないって思ったら、
よけい好きになった』
です…
こんな感じだったかな…??
うん、昔はまってた漫画を
思い出すと…なんとなく
センチメンタルになりました
今日もあの子が向こうから走ってくる
いつになっても話しかけることはできない
いつもすれ違うだけ
明日こそは、明日こそは、って
わたしの手の中で
踊ってみませんか?
今日は喜苦楽家の設立記念日。
キクラゲをこよなく愛する我が家そして我が社は毎年世界一のパーティを開くのだが……。とても憂鬱でならない!
一度思い描いてほしい。
職人の魂が意匠を込めた重厚な扉を開けると、会場の中には白く美しい様々な器にぷるぷるなキクラゲ料理が燦然と輝いているのだ。
歩みを進めれば右手にキクラゲサラダ。左手にキクラゲの味噌汁。ご安心ください、キクラゲパフェもご用意しております。
ボクは幼い頃までキクラゲが好きだったのに。
キクラゲの美味しさをマイク越しに熱弁する祖父、聴きながらキクラゲのフルーツポンチを勧めてくる兄。片手に持ってるの何それ……キクラゲどら焼き?
すると突然大きくなった祖父の声が会場に響き渡った。
「さぁ皆様、キクラゲの栄光を捧げ踊りましょう!」
今はもう、食べないのではなく。食べられなくなった。
キクラゲのようなふりふりの衣装を着た参加者が曲と共に踊り始める。悪い夢でも見ているようだ。
ボクはキクラゲに執着している人をこう呼ぶ。
『キクラゲってる人』
『踊りませんか?』
今は踊る気分じゃないかな。
でも、3ヶ月後、半年後…1年後の僕はきっと踊りたくなっていると思う。
僕は慢心していた。
そしてそれに気がついた。
今の気分はどん底だけど、己の至らなさに気がつけた。
だからもっと満足のいく自分になった時、僕は最高の気分で君と踊りたい。
「一緒に踊りましょう?」
彼女が突拍子もないとこを言うのはいつもの事だが、今回のはいつにも増して意味が分からなかった。
「構わないけれど、どうして急に?僕達はショーキャストでもダンサーでもないのだけれど。」
「急でもなんでもないわ。目の前にステージがあるのだから、踊らない訳にもいかないでしょう?」
なるほど彼女には夜の公園さえもステージに見えるらしい。街灯はスポットライト、そのほかの場所は客席というわけか。まぁ、案外それらしいのかもしれない。
「僕は社交ダンスどころか、オクラホマミキサーも踊れないよ。不格好だって笑わないでくれよ。」
「笑うなんてしないわ。もし笑ったとしても、それはあなたが愛おしいからよ。」
彼女に手を引かれステージに上がる。観客なんて誰もいやしない、自己満足の演目だけど、僕には世界中どの演目よりも価値のあるように思えた。
このステージの主役は彼女。僕は終わったあとに誰も覚えていないような脇役でいい。ただ、彼女と同じ舞台に立てただけで幸せだ。
必死に踊りながら、彼女を見つめる。彼女も踊りの経験は無いはずだが、彼女のそれはひどくそれらしいように思えた。踊る彼女の視線の先は僕。慈愛に満ちた目で見つめられていた。
彼女の人生の名のない脇役でいい。それは本心だ。でも主役はそれを許してくれないのかもしれない。
脇役に名前が与えられるとき、脚本はどのように変わるのだろう。ぽっと出の登場人物に、僕達以外は大騒ぎだろう。でも、主役はそんなことを気にしない。素で演じられる役で、最期まで舞台の上で躍るだけ。
「××さん」
僕に意味付けをしてくれるあなたの声は、僕には神の声のように聞こえる。僕はこの神の一瞥を噛み締めて生きていく。
「楽しいわね、××さん」
「うん。とても。」
観客のいない、僕達だけの舞台がいつまでも続けばいいと願う。