『遠くの空へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
遠くの空へ 【誰かの】
離れ離れになったあの夏。
いつもの山の、いつもの場所で、
高く高く伸びる入道雲を見ている。
もう会えないけれど、あの夏は戻らないけれど、
僕は大人になりました。
中学校の教員免許をとったよ。
僕が自暴自棄で、未来も今も見えないままだった時期を生きる子供達に、今を見させて未来を歩ませる仕事をします。僕も誰かの道の一部になります。
心配しないでね。ありがとう。
あなたはわたしの隣にいるのに、あなたの気持ちは私よりずっとずっと遠くの場所にある。
まるで遠くの空にかかっている大きな虹みたい。
綺麗な虹をくぐろうと思って、一生懸命走っても、絶対にそこへ辿り着くことはできない。
あなたを振り向かせようと努力しても、あなたの気持ちはこちらを振り返ってはくれないのと一緒だね。
遠くの空を眺めるみたいにあなたを見ているだけしかできない。
「ねえ、今日帰ったらそっちの家に行っても良いかな? お母さんとお父さんが今日いないから、夕飯なくてさ」
「おー」
「これ秘密なんだけど、お母さん料理よりおばさんの料理好きなんだよね!」
「おー」
「じゃあ私がおばさんに連絡しておくね!」
「おー」
「……ついでにおばさんにえっちな本を隠してる場所教えとくねー」
「おー…………って、はあ!? ま、待てッ! やめろッ! 言わなくて良いだろ、そんなこと!! というかなんでお前が知ってんだよ!?」
「知らないよ。前、遊びに行った時になんか焦って隠してたから適当に言っただけー。やっぱりえっちな本持ってるんだ……男の子だもんねえ」
「なんだよ、ブラフかよ……!!」
「だってわたしの話聞いてないし……どうせまたあの先輩のこと見てたんでしょ」
「……わ、悪いかよ」
「べっつに〜! 悪いとは言ってないけど、わたしの話もちゃんと聞いてよね!」
「分かった、分かった」
「すっごい棒読み〜」
空からしたら、わたしなんてちっぽけな存在。
それでもわたしは、今日も遠くの空へ想いをはせる。
――遠くの空へ
【遠くの空へ】
たまに今いる世界を飛び出してまだ全然知らない世界に飛び込んでみたくなる。
いつもと何も変わらない日常に飽き飽きして、新しい世界を見てみたい。
あの広大な空の下には知らない世界がたくさん広がっている。
まだ知らない世界を求めて飛び立ちたい、遠くの空へ向かって。
片道の 燃料乗せて 朝焼けを
遠くの空へ 遠くの空へ
仰ぎ見て けぶり揺れる ひとり寝屋
気持ちだけ今 遠くの空へ
茄子の脚 ふんばり立ちゆる 縁側で
遠くの空へ そっと手を振る
「遠くの空へ」 #96
拝啓、私の空へ
いつも上手く言葉にできなくてごめん。
いつもあなたに先導してもらってごめん。
いつも隠し事ばかりでごめん。
いつもあなたの寛大さに甘えてしまってごめん。
申し訳なさを感じてばかりなのに、これをあなたに言うことはできないほど、私は弱いです。
届いてしまわないように
「空」と濁すことを許してください。
敬具
今夜は、ひどく眠そうですね。
それなのに、俺のところに来てくださるなんて。
ありがとうございます、XX様……。
「そんなに何度も言わなくていいのですよ」
そう仰って微笑む貴女の顔の、どれだけ美しいことか。
貴女が遠くの空へ還る日が、必ず来るでしょう。
俺たちが貴女の魂と別れなければならない日も、必ず訪れます。
その日まで、俺はこの魂の全てを賭して、貴女を守り続けましょう。
遠くの空へ
あの空を飛べたなら…なんて、妄想したり…星空を見上げて、ギリシャ神話の星座を探したり…
空は、色々な想像をさせてくれたり、時には、自分だけのスクリーンになったり…空は、無限の物語を紡いでくれる…
そして、私の心のモヤモヤも、時折、吸い込んでくれる…ドロドロした、汚い私の心を吸い込んでくれるのに、まるで何事も無かったように、青く澄んだ空は、すましている…遠い手の届かない何でも包み込んでくれるこの青空みたいに…私の心もなれたらいいな…
満たされた世界は幸福か
籠の中の鳥、あるいは蝶、何だって構わないけれど
小さな瞳は蒼天の夢を見るか
ある人は言う
あるべき姿は自然の中に
見下して愛玩する、管理を慈しみと謳う哀しきエゴ
けして離さず浸らせて、呆けた童を絞殺するように
飾り立てた言葉で陶酔する偽善者
食い漁る命は美味しかろう
肥やした花月を彼等は二度と忘れられない
またある人は言う
輪郭を描く手、瞬くような奇跡
尊き命に慈悲の雨を、覚悟を超えて至る絆を
透明な涙はやがて乾くけれど、抱いた温もりは伝える
形なき価値、音なき呼吸、空の掌に積もる
それは消えることのない宝
何人たりとも奪うことのできない記憶という富
閉じ込められたか、籠ったのか
囚われたのか、選んだのか
蒼天はいつか真実を語るか
必要ないのだと思う
初めからそんなもの無くてもいい
答えを得る前に例え世界が滅びても
この目の映す視界だけが、私の選んだ生なのだから
(遠くの空へ)
あなたが飛んだ先には、何があるのでしょうか
綺麗な空でしょうか
瞬く光でしょうか
あなたが飛んだ雲の隙間から
優しい優しい太陽が、はばかりなく落ちてくる
また明日を迎えてしまう
くるしい、くるしい、朝日に
死にに征くと
大きく羽を羽ばたかせて
遠くの空へ
「由奈!これから…ずーっと親友だからね!」
「うん!ずーっと親友!」
私達はお互いに笑顔で言う。
そして窓の前に経って、さっきお互いの名前を書いた紙飛行機を遠くの空に飛ばす。
私達はずっと親友だ
楽しかった旅行
失恋の帰り道
旅立つ友人を見送った空港
一晩中見た流星群
思い出とともに
あの時の遠くの空へ思いを馳せる
遠くの空へ
響き渡るは、悲しき音色
悲しき想いの行先は
宛て無き手紙と化してゆく
宛て無き手紙を開く時
見えなかった真実を
初めて知ることになるであろう
初めて知り得る真実に
激しい衝撃と共に
私の中の何かが壊れゆく
まるで、私が私でないかのように
何のために生きるのか
誰のために生きるのか
心散りゆくこの瞬間
我を失い、闇に葬られる
辺りは闇に包まれて
さまよい続けるこの私
そこに差すわずかな光が
我を闇から救い出してくれるだろう
光があって闇を知る
闇があって光を知る
光と闇は、生きていく上で
必須要素であり、まさに共同体
それに気づいた者だけが得たもの
それが強さである
遠くの空へ
「最近遠くの空を見ているとなんだか悲しくなるんだ」
『なんで?』
「だって、あの空の下にはきっと誰かがいるけれど
それを僕はこの目で見れないんだよ」
『それの何が悲しいんだ。別にどうだっていいだろう』
「空は見えるのに誰かがいることを確認できないんだ。
それってなんだか自分一人だけ取り残されている気がしない?」
『そうかなぁ、見えないっていい事だと思うよ。
だって自分が想像しているよりずっと賑やかかもしれないじゃないか。』
「もしその逆だったら?」
『そんなことを考えるから悲しくなるんだ。
たまには遠くの空へ向けて夢を見るのも悪くないんだよ』
夜空を見上げると、僕の上空だけぽっかりと穴があいていた。
そう見えたのは、雲が周りを取り囲むように低い位置にあって、見上げた先に雲が一切なかったからだ。
僕の半径数キロだけが世界であって、その上に覆いかぶさった半円球のプラスチックが、星や月やその先の暗闇を映し出しているみたいだ。
僕が足を踏み出すと、天球の中の世界がぐぐぐと動く。
僕が歩みを進めるたびに、前から世界が湧いて出て、後ろへと沈むように消えていく。
それでも夜空は変わらない。
月はずっと同じ位置にあり、僕はずっと天球の中心にいる。
見上げた夜空の一番膨らんだところ、一番遠くて深い宇宙から、この世界を形作る全てのものが、僕のために降り注いでいるみたいだ。
#遠くの空へ
遠い空 頬の涙を飛ばしましょう
虹の樹の実が芽吹けるように
♯遠くの空へ
やまびこって知ってる?
放った言葉がそのまま自分に返ってくる。
それがやまびこ。
同じように行った事もそのまま自分に返ってくる。
嘘を吐いたら、嘘を吐かれて、
虐めたら、虐められる。
でもね、良い事も自分に返ってくる。
あなたが人に優しくしたことも、
あなたが人を救ったことも、
あなたが誰かの為に動いたことも。
だから、大丈夫。
疲れてしまうほどに優しいあなたは、
きっと周りに助けてもらえる。
それでもどうしても辛かったら、
遠くの空に向かって、
夢や目標、明るい事を言ってみて。
きっとやまびこのようにあなたに返ってくるから。
#8 遠くの空へ
遠くの空へ
目に浮かぶ紺碧の天の上座
我々がいくら手を伸ばしても掴むことなど無理である。
ただただ見つめることしかできない
何ヶ月、何年経ったとしてもどんなに表情が変わったとしても触れることなどできぬ
我々にとっては遠い存在である。
だが、山に行こうが海に行こうが未知の地に足を踏み入れたとしても見上げればそこに拡がっている
いつもそこで見守っているのだ
天には優しさも非情さもない
ふと立ち止まって心を露わにするのも
たまにの休息には必要だろう。
辛いなと思っても
たのしいなと思っても
あることごとに一喜一憂できない
ころころ機嫌を変えることがめんどくさい
それができる人にはある種尊敬の念のようなものを覚える
諦めてるわけじゃない
これでいいの
かったるく見られるときも
ちょっと頑張ってみよって
一喜一憂この頃の激動も
ぜんぶぜんぶわたし!
遠くの空へ
夢や希望を乗せて
僕は紙飛行機を飛ばす
どこまでも永遠に飛んでゆけ
たとえこの先何があろうとも
低空飛行をしてもいい
ゆっくり飛んでもいい
そこから、私は見えますか?
いつも笑顔で、多趣味で、
会いに行くと、大きくなったなぁと
頭を撫でてくれていたね。
固くてしょっぱいお煎餅が好きで
でも、海苔で巻いてあるおせんべいは
「好きだろ?」って私にくれて。
あなたの作ってくれる
つきたてのお餅を乾燥させて作る
揚げ餅が大好きでした
釣りに行っては、
魚を捌くところを見せてくれてたけど
残念ながら私には
技術も知識も不足していて
未だにできません、ごめん。
私が今の仕事を目指して
大学に入る時は、
なんの根拠もないのに、
「大丈夫、お前ならできる」
って、力強く頷いてくれたね。
国家試験をパスして
就職先が決まった時は
「よくやった、本当によくやった」
って褒めてくれて。
ご近所さんに自慢してたのよって
後におばあちゃんから聞きました
同じような仕事をしてたこともあって
とても奥深くて、楽しい仕事だぞって
コロナ禍での現場配属になる
私の不安を吹き飛ばしてくれたね。
誰かがやらなきゃいけない仕事。
その「誰か 」になれたことが嬉しくて
あなたが喜んでくれたことが嬉しくて
私は気合を入れて、社会人になりました。
その頃だね、病気になって、
在宅では介護できなくなって
入院して。
コロナもあって、
私が会いに行けた時には
たくさんの機械に囲まれて
目も開かなくなっていたね。
今までに見たことのない
あなたの姿に、私はとても混乱しました。
弟が一緒じゃなかったら
泣き叫んでいたでしょう。
いつも笑顔で、でも怒ると怖くて
お正月は駅伝を見ながら
親族みんなでご飯を食べたね
テトリスが強くて、
親族総当たり戦の決勝は
いつも私とあなたでした。
お酒が大好きで
午前中にしこたま飲んで、
昼寝して第2ラウンドを
始めていたね。
だから、初盆の今、
私はまだ信じられないのです
あなたが暖かな笑顔で、
「また来てな」と言ってくれる気がして。
帰ってきてくれてるかな。
あなたの愛した人は
みんな、あなたのことが大好きでした。
私も大好きだよ、おじいちゃん
おじいちゃんみたいに
誇りを持って仕事ができるように
私も頑張るね
たまには夢に出てきて
笑顔を見せてください
それだけで、私は元気になれます
今は空で、好きなだけお酒飲んで
詩吟に勤しんでいるんじゃないかな
辛いことがないといいな
全部、チューブ外せたもんね
おじいちゃんに
大切にしてもらった記憶は
私を強くしてくれます。
私がそっちに行くのは
まだ少し時間が必要なはずなので
それまでにテトリスの腕、
上げておいてね。
「遠くの空へ」