『鏡』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」
有名な童話の、魔女のセリフ。
「なんでこんな自信たっぷりに問いかけられるんだろう…?」なんて、幼いながら不思議に思った記憶がある。
あれから年月が過ぎて、大人になった現在も、この魔女のセリフに対しては、あの頃と同じように変わらぬ印象を抱いている。
きっと、自分はこの魔女のことを、理解できないままなんだろう。
鏡よ、鏡
なんだか疲れ切った自分の顔がうつってるよ
ごめんな
お前もこんなネガティブな顔、うつしたくないよな
どうせならハッピーな顔をうつしたいよな
でも生きてると、うまくいかないこともあるんだ
いつでもごきげんってわけにはいかないんだよ
けどな、こっちだっていつまでも落ち込まないぞ
やつれた自分の顔を見て
このままじゃいけないなと思えたよ
鏡よ、鏡
お前が疲れた表情をうつしてくれるおかげで
明日は笑顔をうつすために頑張ろうと思えるんだ
一日だけ待っててくれ
明日はとびきり爽やかな笑顔をうつしてやるから
けど明日も疲れ切った顔だったら
その時はすまん、気長に待ってほしい
題【鏡】
鏡の前には毎日、たぶん、ぶさいくな私がたっている。
自分の顔は見たことがないから分かんないけど。
小さい頃からウイルスのせいで、マスクは絶対だったから。
しかも、メガネも掛けていて、女子力はゼロ。
鏡を見るたんびに吐き気がする。
みんなは顔、顔、顔ってうるさい。
性格しか取り柄がない…と思っていた。
あのときまでは。
今は、性格も完璧で、顔も最高に可愛い美少女になった。
実は、学校の文化祭で美少女コンテストがあったの。
でも、一群女子がふざけて、ぶさいくな私を推薦してきた。
私は、断れないので、はいと言っちゃった。
そして当日。
係りの人にお任せしたら…。
「前髪とメガネで顔が隠れてる!メガネを外して、コンタクトに!前髪きって良い?」
「えっ!?まぁ、はい。お願いします。」
チョキンチョキン バサ!
「仕上げにマスクを取って着替えると…。」
「か、可愛い!こんな自分初めて見た!」
「メイクもなにもしてないよ。これが自分。自信もって!」
「ありがとうございます!」
そして、コンテストで1位をとっちゃったってわけ。
このお陰で、私の人生は大きく変わったんだ!
猫に鏡を見せると、自分ではなく他の猫がいると思うらしい。鏡の中の猫にじゃれてみたり、鏡の後ろにまわって探したりする猫をテレビで見たことがある。
期待してうちの猫にも鏡を向けてみたことあるけど、気付く様子もなく素通り。抱っこしてわたしと猫の姿を映してみたけど、眠そうに目を細めるだけで全くの無反応だった。つまらんなぁ。
トンネルに入り車窓に映るのは君を見送り終えた虚ろな眼
題-鏡
「鏡よ鏡、この世で一番...」
「あなたじゃないです。あり得ないでしょフツーに。」
鏡
鏡よ、鏡、この世で一番美しいのは誰?
ああ。そんなこと考えて鏡の前に陣取ってる私は誰よ。なんか悲しい。綺麗な人がいいなら最初から声かけてくんな。
昨日は泣いた。さんざん泣いた。
私は振られたのだ。2年も付き合ったのに急に「別れたい」と言われた。
私にとっては急でもアイツはそうでもなかったらしく、別に付き合っている綺麗な人がいたらしい。二股かけられて振られた。
白雪姫の真実を写す魔法の鏡があれば、もっと早くアイツの悪事を知ることができたかもしれない。欲しかった魔法の鏡。
とはいえ、薄々別れ話が出ることに気がついていたが、気がつかないフリをしていた。どうせならこっちから振ってやるば良かった。なんか、こっちから別れ話を切り出すのは負ける気がしたのだ。
しかたがない。私にもプライドがある。小さいけど立派なプライドが。そのせいで、振られて惨めな気持ちになっているのだから世話ないけど。
鏡よ、鏡、この世で一番不幸なのは誰?
自宅の姿見に問うてみる。もちろん答えはないが、私はそれほど不幸ではない。
美味しい物を食べ、友達がいて、仕事があり、次は楽しい恋愛をしてみたいと思っている私は不幸ではない。
あ!
もし、アイツの不幸を望んでいいなら「彼女と2人で水虫になれ」くらいかな。
鏡がなくても幸せに生きていける
5分以上鏡を見ていれる方は、
尊敬します。
私は自分を見るのが嫌いです
【創作/散文/鏡に閉じ込められたバケモノ】
鏡を割って
私が写るから
鏡を割って
私が映るから
鏡を割って
私が、移るから
こんなにも粉々に砕けたのは、
拳で割られて
崖から落とされたから
鏡に閉じ込められた私は、
あぁこれで誰も傷つけずに死ねるって、
たしかにそう思ったのよ。
だけどいま
割れた破片の数だけ起き上がる「私」を見て
互いに顔を合わせ
気まずそうに微笑んでいる。
これから夜になる
さぁ、バケモノの時間だ
行きましょう。哀れな私たち
今度こそ、退治されるといいわよね
『鏡』
鏡はいらないと思う。
だって、鏡のせいで傷付いている人がいるんだもん。
顔に自信がある人はいいよ。 でも・・
顔なんか気にせずに、生きれるといいな
終
鏡は貴方の全てを映し出す
目を逸らすな
映る全てを受け入れなさい
そこに何も映らなくても
映らない事実を受け入れなさい
『鏡』
目が綺麗。
初対面で一言目に言われるのはいつもその言葉。
鏡を見るたびに思っていた。
にんにくのように大きな鼻。
たらこのように分厚い唇。
そして、大きな目。
目が綺麗と言うのは、
他のパーツが見劣りするあまり
口先から出る相対的な形容詞だと
捻くれた考えをしていた時期があった。
だからよく高い襟の服を着て鼻まで隠していた。
ある日、君は私に聞いてきた。
「そうやってしているのが落ち着くの?」
「自分の鼻と口が好きじゃないからだよ、
目ばかり褒められて余計に気になってしまうんだ。」
私は素直に打ち明けた。
キョトンとして君は言った。
「へぇー、私は好きだけどなぁ」
それからも僕は高い襟で鼻まで隠した。
それをしながら君の言葉を思い出す。
今ではその癖をする意味が昔とは違っていた。
『鏡』
鏡を見る度、
人と比べてしまうけど。
私には私にしかない良さ、
あなたにはあなたにしかない良さがある。
自分に自信もってね。
午前十時を過ぎたので、手洗いに立つ。
小用を足し、しっかり手洗いをしながら、鏡を見る。
顔色、特に異常なし。
近ごろはすっかり仕事にも慣れたからか、職場で“体調を崩す”ことはなくなった。
しかし、油断は禁物。調子に乗りやすい気質があると自覚しているならなおさらだ。
席に戻ると、隣の青年が体を乗り出して話しかけてくる。
「おかえりっす。いっつもこの時間トイレに行くっすよね」
にやりと笑って言う青年はサボりっすか? と暗に言いたいようだ。こういう時は、確か……
「水分補給を意識的にしてて、トイレも意識的に行ってるんだ」
とでも答えておけばいいとアドバイスされたんだ。
「へえー、偉いっすねー」
青年は興味を失ったように自分のイス戻っていく。よしよし、うまくいったようだ。
とりあえずあと二時間。昼休みになったらまた便所に行かなくては。
顔色、特に隈が目立っていないか。異常を感じたら引き出しにストックしてる栄養ドリンクの出番だ。
ふと、隣を見ると、さっきの青年がデスクの引き出しから一口大のチョコレートを取り出して口に放り込んでいた。
よく見ると、まだ午前中なのに疲れた顔をしている。さっき話しかけてきたのは、自分もサボりたいという心情だったのだろうか。
なんだ、彼もおれと一緒なようなもんじゃないか。笑いたいような、安心したような吐息がふっと漏れ、誰かに聞かれてないか慌てて口を抑えた。
昼休みまでお互い頑張ろうぜ。
『鏡』
鏡
私は自分の顔が好きじゃない。
鏡に映る私はとても不細工だ。
せめて痩せたらいいんだろうけど、
痩せる気はない。
「“鏡”よ“鏡”、この世で1番美しいのは、だーれ?♡」
いやいや。だからってわたしなんてものを写さないでよね。1番美しいのは、彼なんだから、♡あの鼻筋の通った横顔に…♡しゅっとした短めの眉毛♡切長の魅惑溢れるおめめ♡わたしがこれから福耳にさせちゃうヒラ耳♡ひらたーい唇♡少しだけ焼けた肌♡私たちに週2時間講義してくれる、その声♡14歳差なんてこと、忘れてしまうほどの愛おしさ♡バツイチなところもだいすき♡書いても書いても、まだ書き足りないほど彼には魅力がいっぱいなの、、、今宵は、いつにも増して、自我が強くて、彼への愛が溢れてしまう1日でございます…、
ぁっ…!!♡そうだ…♡
「“鏡”よ“鏡”、わたしと先生が一緒になれるのは、
そんな夢のようなトキが来るのは、いつ…?♡」
いや…、こういうのは知ったらつまらないのかしら、そうだなぁ…、ぁ!♡
“鏡”も彷徨うほどのわたしたちの素敵な恋道を、これからの詩にまとめて差し上げましょう♡
【鏡】
今あなたの目の前にいる私は、
どんな顔をしているのかしら。
あなたが嬉しそうなら、
私もきっと嬉しい顔。
あなたが優しい笑顔なら、
私もきっと優しい笑顔。
あなたが悲しそうな日は、
きっと私が悲しい顔をしていたのね。
「鏡」
たまにびっくりする時がある。
仕事中にトイレに行き、手を洗っている時に
ふと鏡を見ると、ひどい顔の私がいる。
疲れた顔してるし、髪は少し乱れてるし…。
ため息が出てしまう。
パパッと身だしなみを整えて仕事に向かうけど、
なんか悲しくなる。
鏡を見ると、そこに映るのは醜い醜い自分の顔で。
今にも死にそうなその瞳は、じっと鏡の自分を見つめていた。
嗚呼、嫌だ。見ないで欲しい。
私を嘲笑う人たちのように。私を私を蔑む人たちのように。
ぎ、と歯を食いしばる。
嗚呼、居なくなってしまえばいいのに。
「よし、それじゃあ居なくなろうか」
「は?え?」
私の言葉がどこからか聞こえた。
私は一言も喋ってない。何。誰。なんなの。
困惑する私の視界の端で、何かが蠢く。
それは鏡。鏡の方。
恐る恐る視線を向ける。にんまりと笑う私が、そこに居た。
「鏡の世界は良いよ、誰も笑わないし誰も蔑まないもの!」
ほらおいでよ。と腕を伸ばされる。
ああ、嫌だ。なんて。居なくなってしまいたいと思っていた感情が消え失せるほどの恐怖が私を襲う。
そんな私の心境の変化など知る由もないもう一人の私の手が、私に触れた。
ぐ、と鏡の方へ引っ張られる。
嫌だ。嫌だ。誰か、誰か助けて。
なんて、言える暇などなくて。
私はもう一人の私に、鏡の世界へ引きずり込まれた。
「鏡/20240818」
鏡よ鏡、この世で最も愛されているのはだあれ?
キミじゃないことだけは確かだよ。
烏滸がましい。哀れで不要で不必要なゴミにも満たない分際で何を言ってるのか。
鏡よ鏡、この世で最も嫌われているのはだあれ?
キミじゃないことだけは確かだよ。
嫌われているなんて、存在証明してもらえるだけありがたいじゃないか。その存在にすら足らないものであることにすら気づいてないのかい?
無機質な目は無機質な目を馬鹿にして見返してくる。
流れてくる耳馴染みの良い言葉の羅列に乗せた音は、君は素敵だ大好きだって嗤ってる。
だから、私は黙って次のつまらない曲を流しながら、無機質な目をした私を見つめ返すんだ。