『雪を待つ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
外に命が灯らない頃
無音の交響曲が開く時期
内で生命をせかせか起こし
静かに生きる活気たちよ
忙しい時代に終わりを告げ
安寧という業務を開始する
ふと目をやる死んだ外に
いつか夢見た白銀の世界よ
――サメの言うことにゃ、
雪を待つ
てのひらにふわり
あなたのまつ毛にふわり
優しくふりつむ
優しくキスする
「寒くなってきたね〜」
妹はそう言いながらこたつでみかんを食べていた。
「ねぇ!今年も雪降るかな!?」
妹は雪が降って欲しいみたいで、この時期になると雪が降っていないかいつも外を眺めている。
私は雪は降って欲しくない。なんせ道路が雪で満たされてしまい学校に行くのが困難になってしまう。
電車ならまだ遅延で許されるだろう。しかし私はバス通学だ。バスに遅延なんてない。
雪のせいで遅れたと言っても遅刻扱いだ。
「私は雪降って欲しくないな…」
「なんで!?雪が降ると楽しいじゃん!! 」
妹は信じられないと言った顔をしてこちらを見ていた。
「雪だるまとかも作れるし、友達と雪合戦もできるし…色んなことできるじゃん!!」
そう楽しそうに話す妹を見て「犬」みたいだなと思った。
だとしたら自分は「猫」なんだろうか…
そんなことを思いながら私はみかんの皮を剥いた。
雪を待つ
朝、目が覚めると、隣で寝ていたはずの彼女がいないことに気がついた。
階段を降りて、リビングへ向かう。
そこで窓に張り付いて、外を眺める彼女を見つけた。
「何してんの?」
鼻声の俺に顔を向け、ニット笑って答えた。
「雪を待ってるの」
「雪?」
「そう、雪。」
そういえば、空はワタのような雲で覆われている。確かに今にも雪が降り出しそうだ。
「天気予報でもこれから寒くなって行くっていってたからさ。もしかしたらもうすぐで降るかなぁって、そう思ったら寝てらんなかったの。」
いかにも楽しげに話す彼女。
「ふーん、でもなんで雪?去年そんな楽しみにしてたっけ?」
コーヒー片手に彼女と同じように窓の外を眺めた。俺の質問に彼女はなぜか赤面した。
「?どしたの?」
俺が聞くと、彼女はスッと幸せそうな顔になった。
「ほら!去年、北海道に旅行に行ったでしょ?そこで雪合戦したり、鎌倉作ったりしたじゃん。それがさ、なんていうか、凄く楽しくてさ、、」
彼女の言いたいことが分からず、小首を傾げて続きを促すと、
「私、雪って今まで好きじゃなかったんだけどね。寒いし、冷たいし、歩きづらいし。でも、あんな楽しいの知っちゃったら、好きにならないわけないじゃん。だから、また去年みたいに遊びたいなって。」
太陽のような笑みを浮かべ、俺を見る彼女。
「ふーん、そっか。」
俺はあえてそっけない返事をし、そっぽを向いた。赤くなる顔を見られたくなかったのだ。
「雪、まだかな。俺も、待ち遠しくなっちゃったよ。」
もう北海道とか、東北とか、関東でも雪が降っているらしい。雪とは無縁の生活を送る僕からすれば、雪ダルマを作って、雪合戦して楽しそうと思うくらいだが、豪雪地帯の人にとってはふざけんなという感じなのだろう。
待っても待っても来ない。雪なんて、滅多に降らないから。だから、数年前から待つことを諦めた。雪が振らないからといって支障は何もない。晩飯は美味しいし、勉強は捗るし、ゲームも楽しい。でもね。何か、寂しいんだ。物足りないような。やっぱり、冬にはサンタと雪がほしい。そのどちらもここ数年、見ていない。だから、冬が嫌い。他の季節に比べて暗いから。冬らしい事なんて、暫くしていない。
十年に一度レベルの寒気らしい。冬に受験を控えている人は風邪を引かないように。豪雪地帯の人は、無理しないように雪掻きを頑張ってください。
【雪を待つ】
YouTubeとかだとたくさんの雪が降って
遊んだりしてるのを見たことがあるけど、
田舎となると雪が降るのは、
年に一度、降るか降らないかなんだよな。
去年の冬は、雪が一度降った記憶があるな。
朝にカーテンを開けると、雪が降っていて
急いで外に行って雪を触ってたな。
今年の雪は、どんな雪か、または
どんくらい降るのか、何回降るのか。
そう思って雪を待つ。
雪を待つ、貴方には、怖くなっていく、古い記憶
溢れ出す、貴方は、また、期待をして待っている
何も叶わない事を知らぬまま、ただただ時間だけ
過ぎていく、忘れずに、過ぎていく、けれども、
貴方には、幸せを噛み締めたいあまりにも、醜い
醜態を晒してでも手に入れたいもの、雪の中から
見つけてみたい、貴方の、身体の一部に、欲しい
忘れずに、また、探し出す、知らぬ間の夕暮れに
"焦がれて焦がされ何も残らないのが、寂しいな"
それを言ったら終わりだか、
何も忘れられずにいられるよりかはまだマシかな
【雪を待つ】
思えば、あなたを想い続けてきた人生だった。
晴れの日も、雨の日も、曇りの日も。
悲しくても、寂しくても、楽しくても。
私にとってあなたは全てだった。
あなたの力になりたいと願い続けた。だから、この結果は本当に私のせい。
「ありがとう」
目の前で美しい花が咲く。それは、私が育てて、別の誰かに摘み取られた花。手間をかけただけ、その笑顔はかえがたいものとなってそれが酷く私の胸に突き刺さる。いっそ、見なかった振りをしたい。
けれど現実は残酷なまでに目を逸らさせてくれない。
「あなたのおかげ。大好きだよ」
「ずーっと」
「友達でいてね」
それは世界で1番可憐で、そして私のみを傷つける刃物だった。
初めは、ただの友達だった。
いつしか窓際で微笑む君を見て目が離せなくなり、恋だと気づくまでそう時間は要らなかった。けれども彼女は友達しか必要としていないみたいで、だからこそ唯一の男友達だった私を信頼してくれた。特別感に酔っていて、将来君のとなりにいるのは自分だと信じていた。
だからこそ、『自分だけ』で君を寂しくさせる時間があってはいけないと思って男友達の輪に入れたり、逆に女子の輪に友達を連れて一緒に遊びに行ったりした。独りよがりではなくて、君も嬉しそうに楽しそうに笑っていた。
独りよがりでは、本当になかった。だからこそ。
「好きな人が出来たの」
何を言っているか分からなかった。いや、君から1番聞きたくなかった言葉だからこそ最も理解していたが、耳に入れたくなかった。
「君の友達の𓏸𓏸くんなんだ。ね、親友、協力してくれる?」
私が見た事のない、ラズベリーの笑顔。
私以外に向けられているその笑顔を、それでも私は守らなければならない、とそう思った。まだ思っていたのかもしれない。必死に君のために頑張れば、私の良さに分かってもらえていつか告白してくれる、なんて。
皮肉にも私には仲人の才能が有り余るほどにあった。
何より周囲の人間は、憎い友達も含めて良い人間だった。だから恋心を知って身を引こうとしたそいつを説得し、全力で友達のために動いた。涙が零れていた。ああ、人のために動くのがとてもとても素晴らしい。
「君がいたから、僕はここまで来れたよ。人を好きになれるようになった。ありがとね」
イタズラげで、照れ隠しで、それでも感謝だけは痛いほど伝わってくる言葉を原動力に私は、止まれなかった。
その結果が。
彼女と別れた帰り道。冬が体にしのびよる夕方。
どう答えたか、なんて記憶に残っていない。
ただ、精一杯の愛想笑いと激励でその場をやり過ごした。きっと私の人生の決定的なハイライト、観客が涙するほどの名演だろう。その観客は開幕から終わりまで一人しかいないのだろうけれど。
そう考えると笑いが込み上げてくる。口を開けると堰を切ったように喉の奥から感情が込上がってきた。
灰色の空に独つ、その狂ったような声がいつまでもいつまでもひびき続ける。
私は、雪を待つ。
きっと降って私のか誰のか分からない足跡を消してくれるまで。
『雪を待つ』
雪を待つ。
冬の訪れを肌で感じ取って、その冷たくて柔らかい結晶を手のひらで溶かす。
息が白く凍りついて、去年の冬には隣にいた君を、やけに思い出させた。
寒い夜の日
君と眺めた雪を思い出す
隣にもう君はいないけど
またいつか出逢う誰かと
一緒に見れることをを
祈って雪を待つ
雪を待つ
私は暑い地方で生まれ育った。
雪を見た事がない。
雪を見たいと、ずっと願っていた。
大人になり、自由に旅ができるようになった。
そろそろ冬だ。
「雪を待つ」とかけまして
「パンダ」と解きます。
その心はどちらも「しんしん/シンシン」です。
孫 「ねーおばあちゃん雪はいつ降るのー?」
ばぁば「んーいつだろねぇ」
婆ちゃんは気づいていた地球温暖化がどんどん進んで雪が余り降らなくなってきた事を
【雪を待つ】*188*
雪はキレイなんだけど、寒いの苦手なんだよね笑
ちょっと雪景色を楽しめたらいいかな
子どもの頃は通勤のこと考えたりもしなくてよかったから
ただただ盛り上がってた気がする
あの頃が懐かしーーい
今年はWhite Christmasになるかな…
雪を待つ
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.12.16 藍
窓枠に肘をついて、ヘンリエッタはずっと外を見つめている。その視線の先にあるのはどんよりと厚い雲に覆われた曇天だ。窓に当たる呼気で白く曇ってしまうほど、外の気温は低いらしい。
「おい、ヘンリエッタ。お前、何をしているんだ」
一心に外を眺める彼女を訝しげに見ながら、ローレンスが口を開いた。
「んーと……」彼女は振り返ることなく答えた。「雪が降らないかなって、ずっと見てるの」
彼の眉間の皺が濃くなった。苦虫を噛み潰したような渋面を作ると、大きな溜息をついた。
彼の溜息の音を聞いて、彼女は振り返った。渋い顔をする彼を見て、くすくすと笑い声を上げる。彼は寒いのが嫌いなのだというが、話をするのも嫌がるとは。彼女が笑うので、彼はますます眉間の皺を深くした。
ヘンリエッタは窓枠に面したベッドから飛び下りると、てくてくと暖炉の傍をで本を読む彼の元へと歩いていく。
「ねえ、ロロ」
すり寄りながら甘えた声を出すと、彼は嫌そうに顔をしかめながら、口を開いた。
「何だ」
「お外、行こっ」
「断る」
即答すると、ローレンスは彼女を氷のように冷たい眼差しで見やる。その眼差しの冷たさは、おそらく外の気温より冷たい。
「お前、私が寒いのが嫌いなのを知っているだろう」
だってぇ、と彼女は唇を尖らせた。
「ずっとお部屋の中にいるのつまんないんだもん」
そうだ、と何かを思いついたらしいヘンリエッタが顔を輝かせた。
「じゃあ、わたし一人でお外行ってくる!」
「馬鹿を言うな。私の目の届く範囲にいろ」
間髪容れずに却下されて、彼女は頬を膨らませた。けち、と彼をぽこぽこっと叩くと、しゅんとして窓辺に戻っていく。その様子を横目で見ていたローレンスは、彼女があんまりにもしょんぼりとしているので、深々と溜息をついた。
ヘンリエッタ、と声をかけると、近くのポールハンガーに掛けてあったコートを掴んで、彼女に向かって放り投げる。真正面からそれを受けた彼女は、小さな悲鳴を上げた。
「な、何?」
困惑したようにコートを握り締める彼女に、ローレンスは自分もコートに袖を通しながら言った。
「雪が降るまでなら付き合ってやる。さっさと用意しろ。全く……好き好んで、寒い中に出たがるとは酔狂な……」
見る見るうちに顔を輝かせて、ヘンリエッタは満面の笑みを浮かべた。いそいそとコートを着込んで、マフラーを巻く。あっという間に用意した彼女は、扉の前で早く早くと彼を急かした。その無邪気な笑顔を見て、彼は知らず知らずのうちに口許を緩めていた。
雪を待つ
雪を待つ。これを越えれば春だから、と、信じていられる冷たい光。
手の冷たさはポケットで誤魔化して、じりじりする耳に耐えて、コンビニに入る。
ほぅ、と息を吐く。いらっしゃいませの声。暖を取りにきただけではないと言い訳するように、まっすぐ、なんとなく、あたたかい飲み物の棚を見る。別に、飲みたいものは無い。ガラス張りの外を見ても、雪は一向に降ってこない。雲の少ない、薄い色の空。風に揺れる街路樹の枝。
…模試の結果が、ダメだった。
入りたい大学。友達や家族。自分のやってきたこと。あともう少ししか時間がないのに。何がいけなかったのか。
雪が降れば良いのに、いっそ。雪が降ればいいのに。白く埋もれて仕舞えば良いのに。私だけがそこから芽吹かない春。
ペットボトルのレモネードを買って、コンビニから出る。ありがとうございましたの声。冷たい風に怯んでなんかいないと見栄を張って、足を止めずに出ていく。
はぁ、とため息をつく。レモネードをひとくち、ふたくち、冷めないうちに。
…あったかいや。
こんなに悪かった模試、今まであったっけ。
本番じゃなくてよかったや。…うん。
これを超えた春に、花を咲かせたいと思う。
12月15日(金)
しんしんと雪の降る日、
「一晩留めていただけませんか」
そんな声が聞こえた。この館の扉が開くのは何時ぶりだろう。この言葉を聞き、私はとても喜んだ。階段を下り玄関へと急いだ。
玄関の扉を開けると、顔が青白くなっている女性が立っていた。ボロボロのフードを被って震えている。私は彼女を館に招き入れた。
彼女にココアを差し出したが、ぎょっとしたような顔をして、
「すみません。ココアは苦手でして…」
と断られてしまった。ならばと思い、マフラーを渡した。渋々彼女は受け取ってくれた。
12月16日(土)
朝になり、彼女はお礼を言うと帰っていった。朝ごはんに目玉焼きでもと思い差し出したが、またもや断られてしまった。貴重な人間だっただけに、食べ物を食べてもらえなかったことをとても悔いたが、きっと、次の雪の降る日に彼女はまた訪れるだろう。そのときにでも、何か食べ物を食べてもらおう。
雪を待つ。
雪を待って、雪は好きなだけ降ったら自分をここにおいていくんだ。
雪はいいよな。
どんなに嫌なことがあっても溶けるから。
僕は溶けないんだよ。
どんなに怖くても嫌なことがあっても悲しくても。
何で僕はこんなにとろいの?
何で僕は現実より夢を求めるの?
何で君は手を差し伸べて突き落とすの?
僕の疑問は積もっても解けることはない。
夕暮れ時になっても雪は降らない
雪が降ったらという約束はまたしても守られない
君がここに来てくれるまで私は雪を待ち続ける