未知亜

Open App
10/23/2025, 9:20:46 AM


「今年、秋風って吹いたのかな?」
 なんか、気づいたらもう冬じゃん! と、歩きながらスマホを取り出して侑子が口を尖らせる。
 確かに、ここ数日の気温の下がり方は異様だった。つい数週間前まで、夏のじめっとする気持ち悪さに文句を言っていた気がするのに。
「こうも乾燥してくるとさ、認識してくれなくなるよね、指紋」
 液晶画面に押し付けていた親指を諦め、侑子はポケットから右手を出して番号を打ち込み始めた。
 でもね、足元で枯葉の音をさせるこの風が、手袋を片っぽずつにできそうな冷たい風が、あたしは結構好きだったりするけど。


『秋風🍂』

10/22/2025, 7:27:50 AM


 急に気温が下がると、手足の先がざわざわする。上がるときはそうでもないのに。
 ほかにも、カレンダーやノートの残りが少ないと気づいたときとか、後ろから呼び止められたときとか。やり残したはずの何かを、どうしても思い出せない感じ。
 あなたの顔を目にした瞬間、そんなことを考えた。一見穏やかな表情ながら、目の奥だけは笑っていない。ざわざわした指先を無意識に握りしめると、すぐに慣れた感覚に収まってそれきり忘れてしまっていた。今思えばそれこそが、終わりの始まりだったのかもな。

『予感』


(スマホ無事修理に出しましたので、遡り編集しました。代替機の操作性がなかなか良きで。数日だけのご縁なのが残念です)

10/21/2025, 9:41:42 AM

「美和は?ㅤどうする?」
「そーだなあ」
ㅤ不意に呼ばれて、考える振りでテーブルに目を落とす。綺麗に揃えられた桃色の指先。
ㅤあれ以来二人きりで会わなくなった。他の人と一緒の時も、私とはあまり目が合わなくなった。そんなことにいちいち落ち込む日々を幾つも過ぎて。もうすっかり友達みたいな顔で話せるようになったけど。
ㅤ気を抜くと込み上げそうになる気持ちに、私はまだ泣きながら蓋をしている。


『friends』

10/20/2025, 9:49:13 AM

ㅤいつも一緒にいたから、そばにいるのが当たり前だと思ってた。
ㅤ君の注いでくれる愛を当たり前に飲み干して。それがどんなに特別だったか考えもしないで。

ㅤ今思えば奇跡みたいな夜。
ㅤ肌に重なった君の声が、耳の奥にこびりついて消えない。


『君が紡ぐ歌』

10/19/2025, 9:00:11 AM

歩きながら頭を整理してるうち
ふと光が差すかのように鮮明に
ひらめいたアイデアを試そうと
思うそばから全く別の関係ない
ことがたちまち霧のように垂れ
込めて何を思いついたのかもう
次の瞬間には思い出せもしない
そんな感じなんです、たぶん君。

『光と霧の狭間で』

Next