【冬の足音】
私は、高校時代、好きだった人がいた。
顔もイケメンで、頭も良くて、運動もできて
まさに、アニメの世界のひとだった。
社会人になった今、恋愛はあまりしなくなった。
ただ出勤して、顔面と向き合う日々。
ある日、いつもの電車に乗ろうと、
すると、横からいい匂いがした。
私の好きだった人の匂いに似ていた。
横を見ると、そこには彼がいた。
すると、彼がこっちを見た。
「おっ、久しいじゃん。」
とっさに返事ができなかったのでニコッ
笑顔を返事をした。
その隣には、私が見たくない人がいた。
女の子……………彼女かな…
そして彼はいってしまった。
彼の足音が、どんどんと遠ざかる。
【贈り物の中身】
私は過去、少年院に行っていた。
入ることになった理由は、殺人。
友達を守るために、いじめっ子を殺した。
いろんな部位を刻んで。
今日は、私の誕生日。
郵便には、一つのプレゼントが入っていた。
「…重いな。」
その異様な重さに、すぐにプレゼントを開けた。
そこには、きれいに冷凍保存された友達の
部位が、入っていた。
かつて私が切り刻んだやり方と同じように。
【君と紡ぐ物語】
この世界では赤い糸が伸びれば伸びるほど
年を取り、いろんな経験をしたという
証になる。
そして、私は今日、
失恋した。
布団の中で泣きじゃくっていると
また、赤い糸が伸びたような感じがした。
【失われた響き】
「彼女の声は、みんなに伝染していく。」
「彼女の声は響きだ!」
私の声は、いつの間にか
響きと言われるようになった。
でも、ある日
「近いうち、声が出なくなるでしょう。」
「え…………、何かの間違いですよね?」
【霧降る朝】
私には夢がない。
もうすぐ受験だというのに、
私は、気分転換に外に出た。
外は霧が一面に広がっていた。
あるはずの太陽がない。
すると、霧がゆっくりと晴れ、
太陽があらわになった。
なぜが、心がスッと軽くなった。