いつだって優しい言葉をくれるし
いつだって正しい道を示してくれる
「良い人」であるための
マニュアル通りに
型にはまったように
判で押したように
面白みのないセリフを画面の向こうの能面が紡ぐ
私がエーアイを心底嫌うのは
その中核に善意なんて人間臭い指針がないにも関わらず人間っぽく振る舞って見せるから
じゃない
実際には善意に欠けているくせして
良い人と見られるために
相手の耳を柔らかく撫でる言葉ばかり宛てる
そんな等身大の自分を
鏡に映して突きつけられているみたいだから
頭上の空は昔も今も変わらず澄んでいるはずなのに
いつからか
あの青さは酷く眩しい
もし君が
認めてよってその拳を握りしめるのなら
私がその手をとるし
受け入れてよって声を張り上げるなら
私は君の好きなとこを十個叫ぶ
どうしてあたしを見てくれないのって肩を震わせるのなら
私はその肩にふかふかのマフラーをかけるし
どうして妹ばっかりなのって膝に顔をうずめるのなら
私が君を抱きしめるから
私が君をちゃんと見てるよって何度でも言うから
伝わるまで、
言葉をかき集めて、
花束みたいにして手渡すから
だから、
どうか、
泣かないで
わたしがどんなにびしょびしょになっても
大切だと言ってくれる人がいる
背中をさすってくれる人がいる
何重にも言葉をあてて
何時間でも隣にいてくれる人がいる
わたしはこの人たちに恩返しがしたいんだ
かつての夢見る少女は
つまづいて
転んで
もう立てないって何度も泣きじゃくった。
どうして自分にできないんだって何度も叫んだ。
それでも
なんとか体を起こして
血が滲んだ膝小僧なんてものともせず
もう一回やってみるって
笑ってた。
でも声が震えたの気付いてたよ。
ねえ
君は一人じゃない。
物理的には離れてても
心は隣にいるから。
ずっと君の手を握ってるから。
もう大人だから
なんて強がらないで。
こわいときはこわいって呟いていいし
逃げたいときは逃げたいって目をつぶっていい。
お願いだから
一人で全部どうにかしようとしないで。
あなたが、大切なんだよ。
電話しようだとか
一緒に温泉行こうだとか
そんな提案は恥ずかしげもなくできる
あなたの声が好きだとか
あなたの体温を感じてたいだとか
そんな告白だって朝飯前なんだ
でも
ずっと一緒にいたいだとか
ずっと私だけを見ていてだとか
優しい未来を少しでも想像させるセリフは
どうしても言えない
これはまだあなたのことを信用しきれていない証左
またあなたは遠くに行っちゃうんじゃないか
また他の子を選ぶんじゃないか
またひとりぼっちになっちゃうんじゃないか
そんな不安から逃げられない幼いわたしが
今もこの胸の中で怯えてる
他人に期待しちゃいけないって何度も何度も呟いて
あったかい未来を必死に拒絶してる
でもさ
こんなわたしだけど
いつか約束したいんだ
ずっとあなたを守るって
だからもう少しだけ、待っててくれませんか