「君と紡ぐ物語」
こんにちは。
よかったら、私の友達になってくれない?
キラキラと輝くあなたの笑顔。
あなたはいつも私の手を引っ張って、いろんな場所に連れて行ってくれた。
いろんな景色を見せてくれた。
私はそんなあなたが大好きだった。
でも、みんなに優しいあなたに嫉妬した。
私だけを見てくれないあなたが嫌いだった。
あなたは私だけを見てくれるようになった。
涙ばかり流して、傷ついてしまったあなたを抱きしめることが幸せだった。
ごめんね。ごめんね。でも、あなたから声をかけたのに、私を見てくれないのが悪いのよ。
あなたはすっかり落ち込んで、弱ってしまった。
「私と一緒に死んで、、、」
もちろん!喜んで!!
ああ、これで本当にあなたは私のもの。
大好き。
大好きよ!!
君と紡ぐ物語に、そっと句点を打った。
ああ、私は世界でいちばんの幸せ者ね!!
「失われた響き」
好き。
私も好きだよ。
あなたの笑顔。
、、、人は声から忘れていくらしい。
まだ大丈夫。
脳裏に鮮やかに蘇るあなたの声。
大丈夫。大丈夫。まだ、忘れていない。
、、、
好き。
私も好きだよ。
まだ、大丈夫。
、、、
好き。
、、、
あれ?
「霜降る朝」
外へ出ると、はぁーっと吐く息が白い。
凍てつくような寒さ、草の上を歩くとサクサクと音がする。
心地の良い朝だが、こんな日は、大抵良いことがない。
あなたと行った山登り、笑いかけるあなたはふっと姿を消した。
後日、早朝、行方不明から“発見”されたあなたのまつ毛にも、今のように霜が降りていた。
白く、冷たいあなたの姿を思い出す。
あなたはいつだって美しい、私の最愛の人。
だけどきっと、あなたを思い出す時はあの姿を思い出すだろうと思った。
あなたは本当に美しい。
霜の降りるような早朝は、大抵良いことがない。
それでもやっぱり、私は冬の寒い朝が好きだ。
「心の深呼吸」
すぅーっと息を吸い込む。
冬の寒さを感じる朝。
本の香り。
落ち着く、この匂い。
ぱらりと本を捲る。
心の深呼吸。
外の喧騒とは離れて、幻想に身を任せる時間。
本を読むことは、私の呼吸。
「時を繋ぐ糸」
あなたのせいだよ。
ぽつりとつぶやく。
そう、あなたが悪いの。
あなたが、私との糸を断ち切ろうとするから。
だから、そっと手繰り寄せただけなの。
そう、たったそれだけのことなんだよ。
そうやって、弁明するようにあなたに笑いかける。
もう何も言わなくなった愛しいあなた。
これであなたの時を繋ぐ糸は永遠に私の手の中。
ほんと、あなたのせいだよ。