昔、本で見た理想郷は
年中花が咲き乱れていて
働かずともご飯を食べられる
歳を取ることもなく
日々を楽しく過ごせる場所だった
しかし、そこで暮らしている人々は
無表情で時折涙を流していた
帰りたいと……
与えられた理想郷は
いつしか退屈になりつまらない場所になるのだろう
試行錯誤を重ね
苦労しながら作った理想郷は
大切にするだろうし
理想郷を維持する為に努力を惜しまないだろう
歳を重ねると
懐かしく思うことが増える
可愛がってくれた近所のおばちゃんは元気だろうか?
仲良しだった友達は自分を覚えているだろうか?
よく行ってたお店はまだあるだろうか?
昔の写真を見てふと思う
昔見た景色が変わっていなければ懐かしさでいっぱいになるが
跡形もなく変わっていれば寂しさになる
懐かしさと寂しさは表裏一体かもしれない
自分の今歩んでいる人生を一つの物語として
今までの人生の岐路で
選んでいなかった方をもう一つの物語とする
きっと素敵な物語になるだろう
美化して想像するのだから
夜のドライブは好きだが
街灯の無い夜道を走るのは嫌だ
子供の頃、旅行の帰り道に
父が道を間違えて
街灯の無い山道を走ったのが
トラウマになっているのだろう
ナビもスマホも無い時代
あげく、車もしょっちゅう故障していた
前にも後ろにも車は無く
暗がりの中で恐怖に怯えていた
やっと麓の民家の明かりが見えた時は
子供ながらにホッとした
今となっては笑い話だが
二度とあんな体験は御免だ
家にいながら色んな店の気分を味わいたくなった
数種類の炭酸ジュースを飲みながら
朝から漫画を読み漁る
まんが喫茶にいるような気分を味わう
紅茶の香りに包まれながら
語学入門書を読む昼下がり
喫茶店にいるような気分を味わう
アルコールは苦手なのでノンアルコールを飲みながら
旅行雑誌を読む
居酒屋にいるような気分を味わう
飲み物や本のジャンルで雰囲気を変えてみた
ささやかだが、贅沢な時間