《失われた響き》
「あ、雪……」
もう数日で12月、という今日、俺(齋藤春輝)はひとり部活帰りの夜道を歩きながら空を見上げる。
ひらりはらはら、はらひらり。
初雪が、くるくると舞うように降ってくる。そっか、もうそんな時期か……。
「……姉さんのお墓参りに行かなきゃな」
手を伸ばしたら、手袋の上に白い雪が乗った。ふっと息を吹きかけると、そのままどこかへ飛んでいって、見えなくなった。
俺と、俺の双子の弟、蒼戒には姉がいた。名前は雪音。その名の通り、雪みたいな美しい人で、とても強かった。でも、10年ほど前、公園の池で、溺死した。
「……会いてえなぁ、姉さん」
姉さんが死んだ後、蒼戒は何度も何度も姉さんを追って逝こうとした。それを俺がこっちに引き留め続けた。だけど、俺だって姉さんに会いたくないわけじゃない。ただ、蒼戒に死んでほしくない。それだけ。
「……っていけね。感傷に浸るなんてらしくねーや。早く帰ろ」
そう思って夜道を駆け出すと、ふと「春輝」と小さく名前を呼ばれたような気がした。
「姉、さん……?」
その声が、響きが、姉さんのものによく似ていたような。
「……っ……、違う、姉さんは死んだ。わかってる」
振り返りかけて、頭を振る。
姉さんは、姉さんの声は、愛おしそうに俺たち双子の名前を呼んでくれたあの響きは、もう戻ってこない。そんなの、わかってる。
「疲れてるんだろーな、俺も。……今日は早く寝よ」
こんなんじゃ、蒼戒に心配かけちまう。あいつの方が姉さんっ子で、今でも辛いはずなのに、俺のことで心配かけらんねーよ。
「さーて、夕飯何かなー?」
俺はわざとそう言って明るく笑って、改めて夜道を駆け出した。
(終わり)
久々だし結構めちゃくちゃだな……フィーリングで読んでください……🙏
2025.11.29《失われた響き》
《心の深呼吸》
書けたら書きたい
2025.11.27《心の深呼吸》
《時を繋ぐ糸》
ものすっごく書きたい気持ちはある
2025.11.26《時を繋ぐ糸》
《君が隠した鍵》
おもしろそうだから書きたい気持ちはある
2025.11.24 《君が隠した鍵》
《紅の記憶》
「秋ですねぇ」
「ああ。この時期は落ち葉で滑るから足元には気をつけろよ」
「君、ロマンありませんねぇ」
「うるさい。元々夢も浪漫も持っちゃいないからな」
随分と秋が深まってきた11月中旬。僕(紅野龍希)は珍しく同じ剣道部の蒼戒くんと共に並木を歩いていた。ここに蒼戒くんの双子の兄のハルこと春輝がいればまあ自然な構図になるのだが、今日に限っては2人で道場で剣道でも、ということなので僕たちだけ。
「夢もロマンもないって悲しいですよ、蒼戒くん。
続きは絶賛製作中!!
2025.11.22《紅の記憶》