「living」
永遠のものなどないと、君はいつも言っていた。
楽しい時間も、綺麗なものも、永遠ではない。
そのかわり、苦しいことも、辛いことも、ずっと続くものではないって。
それは、救いであり、不安でもある。
だから信じるために誓うのだと、君は笑った。
ゆれる炎。
薪ストーブとソファは魅惑と誘惑の組み合わせ。
猫のように微睡む君。
これからもずっと、こんな風に君を隣で見ていたい。
君は今、夢の中。
その夢の中でさえ隣にいたいと言ったら、君はきっと呆れながらも「当たり前でしょ」と言うんだろう。
永遠などないと、俺たちは知っている。
それでも、信じたい。
だから誓った。
今も、これからも、きっと生まれ変わっても。
君が今、ここにいることを確かめたくなって、手を伸ばす。
これからも、ずっと隣で、同じ気持ちでいてくれるって、信じてる。
────君は今
「降水確率30%」
いっそ降ってしまえばいいのに。
持ってきた長傘の出番がないまま、交差点が近づいてくる。
今度会える約束なんて、ない。
いっそ振ってくれればいいのに。
はっきりと言わない貴方。
はっきりと言わないのは私も同じ。
狡さを比べる。
認めたくなくて。
いつだって前向きでいたくて。
「じゃあ、またね」
もう会わないという決意は、私の中でだけ。
振り返らない。
雨音は拍手。
赤い長傘に零れ落ちるものを隠す役を与えて歩き出す。
────物憂げな空
「mother」
出生の秘密────なんて大袈裟なこと、知りたくなかった。
だから、母親のことなんて、名前すら知りたいとも思わない。
遺された子供の気持ちなど、まったく考えていない。
自分の命と引き換えに産むなんて、虫と同じだ。
二度と会えない男の子供を命懸けで産むなんて、正気の沙汰とは思えない。
俺はずっとそう思っていた。
だが、母のことを知る人物から語られる真実は、それを覆すことばかり。
俺にこの世界を見せたかった母。
最期の言葉は光を灯し、道標となっていく。
────小さな命