小絲さなこ

Open App
4/6/2024, 2:06:36 PM


「ブラックホール」




まるでブラックホールだ。
吸い寄せられてしまったが最後、どうなるかわからない。

だから、視線を逸らしたい。
だけど、君の瞳から逃れられない。

君の瞳にうつる俺は、狼狽えていたり、驚いていたり、泣きそうになっていたり、碌なもんじゃない。

これ以上、君のことを知りたくない。
だけど、君のことをもっと知りたい。



君の瞳の奥の、もっと奥を覗き込む。


唇に君の唇が押し当てられて、シャットダウン。


そして、そのまま堕ちていく。




────君の目を見つめると

4/5/2024, 2:27:29 PM



「プロポーズ」



ギャップが激し過ぎると笑われるかもしれない。
意外だと笑われてしまうのは覚悟の上。

星空の下で永遠を誓いたいんだ。


満天の星空っていうのは、意外と難しい。
民家も宿泊施設もない場所を求め、車を走らせる。
ぐねぐねと山道を登っていく。
慣れてるように思われてたら、ちょっと嬉しい。
実は昼間に何回かひとりで来てる。


国道最高地点。
標高二千百七十二メートル。

天の川を見上げる君を見つめる。
言おうと思っていた決め台詞が消えていく。

シンプルな言葉になってしまったけど、何も言わず笑顔で頷いた君を抱きしめる。



────星空の下で

4/4/2024, 2:18:29 PM



「敗因」



俺だったら、君をそんな風に泣かせたりしない。
だけど、君を心からの笑顔にも出来ない。

友達付き合いが長過ぎたんだ。
ずっと隣にいられると信じて疑わなかった。

もしもあの時……と今なら思うことが、なかったわけではない。

ただ、この関係が壊れることが怖かった。
それに打ち勝つ勇気が持てなかった俺の負けだ。


君が幸せなら、それでいいんだ。
何度も、何度でも言い聞かせる。

君が幸せなら……


────それでいい

4/3/2024, 2:06:59 PM



「あの頃の願い」


あの頃、ひそかに願っていたことは、ひとつだけだった。
絶対に、叶うことがないって、わかっていたから、神頼みもしていない。


人生何があるかわからない。
一年後はどこにいるか、何をしているか、わからないような、そんな年頃になった私たち。

住んでいるところも、立場も変わってしまえば、考え方だって変わってしまう。
もう二度と会うことすら出来ない子もいる。


あの頃に願っていたことは、恋愛成就でも仕事のことでもなくて、ただ、ずっとみんなとこうしていたい、ということだった。


絶対に叶うことのない願い。
だけど、あの頃、なによりも大切だった。


──── 一つだけ

4/2/2024, 2:22:34 PM


「失わないために」


大切なものは、肌身離さず持ち歩く?
それとも、誰にも触れられないように家の奥に仕舞っておく?

持ち歩いていたら、落としてしまうかもしれない 。
家に置いても留守にしている間に盗まれたり火事などに遭うかも。

どちらも避けたい。

出た結論は、大切なものは作らない、だった。



大切なものが無ければ、失う心配も不安もない。



そう、思っていたのに。


君を常に連れて歩くのと、閉じ込めてしまうの、どちらが良いんだろう。



────大切なもの

Next