「ブラックホール」
まるでブラックホールだ。
吸い寄せられてしまったが最後、どうなるかわからない。
だから、視線を逸らしたい。
だけど、君の瞳から逃れられない。
君の瞳にうつる俺は、狼狽えていたり、驚いていたり、泣きそうになっていたり、碌なもんじゃない。
これ以上、君のことを知りたくない。
だけど、君のことをもっと知りたい。
君の瞳の奥の、もっと奥を覗き込む。
唇に君の唇が押し当てられて、シャットダウン。
そして、そのまま堕ちていく。
────君の目を見つめると
「プロポーズ」
ギャップが激し過ぎると笑われるかもしれない。
意外だと笑われてしまうのは覚悟の上。
星空の下で永遠を誓いたいんだ。
満天の星空っていうのは、意外と難しい。
民家も宿泊施設もない場所を求め、車を走らせる。
ぐねぐねと山道を登っていく。
慣れてるように思われてたら、ちょっと嬉しい。
実は昼間に何回かひとりで来てる。
国道最高地点。
標高二千百七十二メートル。
天の川を見上げる君を見つめる。
言おうと思っていた決め台詞が消えていく。
シンプルな言葉になってしまったけど、何も言わず笑顔で頷いた君を抱きしめる。
────星空の下で
「敗因」
俺だったら、君をそんな風に泣かせたりしない。
だけど、君を心からの笑顔にも出来ない。
友達付き合いが長過ぎたんだ。
ずっと隣にいられると信じて疑わなかった。
もしもあの時……と今なら思うことが、なかったわけではない。
ただ、この関係が壊れることが怖かった。
それに打ち勝つ勇気が持てなかった俺の負けだ。
君が幸せなら、それでいいんだ。
何度も、何度でも言い聞かせる。
君が幸せなら……
────それでいい
「あの頃の願い」
あの頃、ひそかに願っていたことは、ひとつだけだった。
絶対に、叶うことがないって、わかっていたから、神頼みもしていない。
人生何があるかわからない。
一年後はどこにいるか、何をしているか、わからないような、そんな年頃になった私たち。
住んでいるところも、立場も変わってしまえば、考え方だって変わってしまう。
もう二度と会うことすら出来ない子もいる。
あの頃に願っていたことは、恋愛成就でも仕事のことでもなくて、ただ、ずっとみんなとこうしていたい、ということだった。
絶対に叶うことのない願い。
だけど、あの頃、なによりも大切だった。
──── 一つだけ
「失わないために」
大切なものは、肌身離さず持ち歩く?
それとも、誰にも触れられないように家の奥に仕舞っておく?
持ち歩いていたら、落としてしまうかもしれない 。
家に置いても留守にしている間に盗まれたり火事などに遭うかも。
どちらも避けたい。
出た結論は、大切なものは作らない、だった。
大切なものが無ければ、失う心配も不安もない。
そう、思っていたのに。
君を常に連れて歩くのと、閉じ込めてしまうの、どちらが良いんだろう。
────大切なもの